第17話 男女の距離(物理)

「5メートル以上近づかないでもらえるかしら」


 藤島さんが冷たい声で言い放ってくる。

 吉岡と田中は、仕方なく離れる。


 今は、基地から数km離れた岩山。


 爆発した基地から離れ、身を隠している。


 この国は・・日本とは違って、森や林なんてない。

 一面の荒野。たまに小さな岩山がある。


 その岩山の、岩の陰に隠れて休んでいる。


「藤島さん。このあとどうしよう?」

 吉岡が話しかけると、藤島さんがじりじりと離れていく。


「臭い!におうのよ。近づかないでくれる?」

「ごめんなさい・・」


 そう言われても、田中はこたえていないようだ。


「何言ってるんだ、結果として爆弾ができたんだ。この匂いくらい我慢してもらいたいね」

「あんたが作った爆弾じゃないでしょ!」

「まぁ、誰が作ったかは知らんが。結果オーライだろう」

「なにがオーライよ!今は私たちは追われているのよ。捕まったら殺されるわ!」


 あの後、兵士たちに追われなんとか巻いたところだった。


「アノ・・・」

 エリザベスさんが話してくる。

「マズは、水のアルところサガしませんか?」

 なるほど。吉岡は感心した。

「サバイバルの基本はまずは飲み水ですね!」


「イエ・・・」


「マズは体をアラッてくれまセンか?」


 やっぱり臭いんだ・・

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