幽霊なんかいない

語り手の女性の「自分“にも”非はあるけど」的な在り方はズルいと思うんですけれど、すごく理解できてしまいます。
それが作品をより『実話風』にしています。
また、それは問題の女の子を寂しげにしているようにも感じました。
最初はただ「面倒な女」という印象だったんですけれど…。

　僕自身の経験ですが、学生時代のサークル合宿にて、先輩が霊感持ち(って話)で合宿所の中を、何人か引き連れて霊感ツアーみたいなことをしだしたんですね。それで僕が寝ていた部屋の布団のそばで「ここ、強い」と言い出したんです。乗り気な面々は神妙になったり悲鳴をあげたり……しばらく何やら解説をしていました。僕はね「うるせええ！出て行け！」と言いました。それで霊も消えたらしくて笑ってしまった。わかる、わかるんですよ。霊感ホニャララの鬱陶しさが。

　とまあ雑談はこれくらいにして、霊的な現象よりも際立っているのが人の情念。それは距離を越え、壁を抜けてでも辿り着いてやるぞという勢いだ。好かれたほうはたまった…続きを読む