SCENE:Ⅱ-ⅱ 〖テストと殺し〗
9話
昨日は全て座学の授業だった。
異能学も歴史も異能実技も全て基礎を再確認するようなものだった。
基礎中の基礎すぎてちょっとつまらなかった。
まあボクは暇だったから寝てたけど。
ただ異能実技の先生はそれを見逃さず、チョークを飛ばしてきた。
無論ボクは先生の意識がこちらに向けられた瞬間に起きていたが、このタイミングで起き上がると少し怪しいのでわざと避けずにチョークに当たった。
つむじにクリーンヒットだった。
その後はボクが先生にわざとらしく抗議したりチョークを投げられたりで授業が終わった。不服です。
まあとりあえず、そんな感じで昨日は一日が終わった。
てことで今日がテストの日なのだ。
だからか、なんだか今日はクラス中がピリピリとしている。
多分他のクラスも同じような感じだろう。
ボクは別に蒼炎サンと一緒ならどこのクラスでも良いしなぁ。
ボクは昨日の夜に初めて知ったんだけど、アゲハは生徒会長らしいから絶対一番上のクラスにするだろうな。
アキちゃんは……どうなんだろ。
まあいいや。後で聞けば良いし。
朝のホームルームが終わり、校庭に直行したボクと龍真は、ただっ広い敷地を見回す。
うわぁ広すぎて……もう学校なのこれ?
「凄いな……本当に学校か? ここ」
蒼炎サンと意見が一致した。
そりゃそうだよね。この学園の校庭ってただでさえ一軒家が10戸は余裕で入るような校舎の二倍はあるもんねぇ。
「にしてもあの
校庭の一角には案山子が100体ほど並んだコーナーがある。
ボクが呟くと、蒼炎サンは知っていたようで案山子について語りだす。
「あの案山子はダメージコントラストと言って、まあ攻撃を撃ち込むための道具だな。攻撃の強さによって案山子の色が変わるんだ。確か一番強いと赤になるんだったか」
「へぇー、よく知ってんな!」
まぁ蒼炎サンなら当たり前か。
《青霧》にも設置されてるらしいし。
確かあの案山子って異能学園と《青霧》にしか置かれてないんだよね? なんで龍真クンが知ってるのかなぁ?
「よっ、弥生」
と、そこで突然後ろから声がかけられた。
「アキじゃん。なんでいんの?」
「俺も試験だからな」
うん、それもそうだね……。
見た感じ、まだ学年別に並んでるとかはないし、まだ歩き回っても大丈夫なのだろう。
「それにしても弥生、そっちの奴は昨日もいたよな? もう友達出来たのか?」
「ふふん、まあな。オレにかかればこんなもん朝飯前よ」
「うわぁウゼェ」
アキちゃんがボクに暴言を吐く。
ねえアキちゃん、それ本心だよね? ボクが今このキャラだからってここぞとばかりに日頃の鬱憤晴らさないでくれるかな。
「俺は時雨秋、二年だ。弥生がとてもめちゃくちゃ迷惑を掛けるな」
「おい」
「俺は霧崎龍真です。分かっているでしょうが、一年です」
なんだろ、アキちゃんちょっとウザいな?
蒼炎サンもそれスルーの方向? ああそうですか。
ボクが密かに黒いオーラを纏っていると、そこで教師から号令がかかった。
「じゃ、ここでまたお別れだな」
「おう、またなアキー!」
さっきの事はかなり気に食わないけど、とりあえず気持ちを切り替えよう。
まぁ、適当に龍真クンに合わせるとしますか。
ああ、楽しみだ。
キミは一体どうやらかしてくれるのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます