第4話 ちょっと用水路の様子を見て来る(´・ω・`)

 こんにちは。最近寝返りがうてるようになり、ちょっと嬉しい最強裏ボス予定令嬢セレスティア・ラル・シャンデール0歳です。

 天井しか見えなかったのに、寝返りが出来るおかげで自分の意思で周りの景色が見えるようになりました。

 大人にとって当たり前の事でも赤子にとっては大きな一歩であると私は思います。

 身体が動く、なんと素晴らしい事なのでしょう。

 大人の思考で赤子を体験したからこそわかる嬉しさです。

 私は嬉しくて毎日だぁだぁ歓声をあげながら、ごろごろするのがお気に入りです。

 ですが現在兄sが部屋に押しかけてきて少し困惑しております。


「兄上―!可愛いー!赤ちゃん可愛い!!」

 と、ぷにぷにと人のほっぺを容赦なく突ついてくる、私の闇の力を目覚めさせた元凶アレス(4歳)に、私はやや不機嫌になりました。

 男児というのはとにかく遠慮と容赦がありません。

 赤子の柔肌をそのようにぷにぷに突ついたら普通に痛いじゃないですか。

 全力魔力で弾き飛ばしてやろうかとも思いましたが大人げないのでやめておきましょう。

 まぁ0歳児なのですが。


 ……そういえば前世で私は何歳だったのでしょう?


 どうでもいい疑念が頭に沸きますが


「こら、アレス。赤ちゃんをむやみに触っては駄目だよ?」


 と父親似の金髪長男リュート(7歳)が止めにはいります。

 ゲームでは勇者の仲間になる神官戦士予定です。

 確か裏ダンジョン攻略ラストメンバーのお勧めキャラ上位にいつもいるほど使い勝手のいいキャラだったと思います。

 流石長男。亡国の王子。ラストメンバー候補。わかっていらっしゃる。

 そうです、赤子の絹のような柔肌をぶしつけに触るのは感心できません。

 今日は魔王を倒す予定だったのにすっかり気がそがれてしまいました。


「リュート、アレス、ここに来てたのか」


「父上」


「お父様!どうしてここに?」


「みんなが可愛くてついね。仕事を抜け出してきたんだ。

 他のみんなには内緒だよ?

 大好きな息子と娘と一緒にいたいからね」


 と、満面の笑みを浮かべて子供たちを抱き上げる父。


「もうそのセリフ聞き飽きました」


「僕もお父様大好き!」


 と、微笑ましい光景を繰り広げております。


 ……私もよちよちでも歩けるようになったらあの輪の中に入れるのでしょうか?

 少し楽しみではあります。

 前世で親に抱かれた記憶がないような気がするのは思い違いであればいいのですが。

 

 明日はちょっと用水路を見て来るノリで邪魔な魔王を倒しておきましょう。


 瞼が重くなってきたので今日はやめにして寝ておきたいと思います。

 お兄さま、お父さまおやすみなさい。

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