あがいてもがいて振り絞り、真っ向勝負でチートをちぎる!

 深山シロウは大学のロードレース競技で名を馳せていたが、勝負に疲れて休部し、競技から去っていた。そして今度はのんびり楽しもうと出場した市民レースで、チームDTAを名乗る者たちに完敗する。DTAはアマチュアレースでは検査されないドーピングで力を増しているらしい。ならば——ドーピングに頼ることなく、奴らを負かしてやろう。シロウと心あるレーサーたちはチームを組み、行動を開始した。

 コミックでも近年大きく盛り上がっているロードレース、その闇と光の対決を描いたお話です。

 おもしろいのは、悪役の行動に合理があって、ドーピングはあくまでルールの中での作戦であることを明確にしているところですね。その正論があればこそ、競技者の正義を貫かんとするシロウさんたちの意気が対比として、それ以上に一途な努力を最後に咲かせる美しさとして光る。少年マンガというジャンルが紡いできたカタルシスをど真ん中に決めてくれる気持ちよさ、最高です。

 細かなレース知識も満載な正々堂々のレースロマン。おすすめです!


(「駆れよバイシクル!」4選/文=高橋 剛)

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