レイナ

 ローランス学園1年1組にレイナ・フィニアンという“良くも悪くも”有名な生徒がいる。

 腰まである美しい金色の髪に、宝石のように澄んだ青色の眼、きめ細かい白い肌。パーツも配置も完璧だと言わざるを得ない美少女だ。フィオと並んだらさぞかし絵になるだろう。

 容姿というものは第一印象に非常に関わってくる。それだけで彼女が良い意味で有名になるのは想像に難くないだろう。

 付け加えて名門貴族であり、尚且つ1学年トップクラスの魔力保持者とくれば、注目の的にならないほうがおかしい。実際、始まって二週間たらずで告白された回数は二ケタを余裕で上回っているのだから恐ろしい。

 日本人の中では行動力にあふれている、との評価をもらっていた俺だが、そのアグレッシブさには驚かされる。

 まあ、すぐに告白するのはどうかと思うけど。まともに話をかわしたことすらない人も多くいるだろう。フィーリング重視と言われればそれまでの話なのだが。

 俺も自分の感覚に重きをおくタイプだが、流石にそれなりに交流をしてみないことには告白できない。……仲良くなりたいと思っていることがモロばれらしいが。

 話を戻そう。これが良い意味でだ。告白された回数は微妙なところだが。

 問題は悪い意味の方だ。

 先に言っておくが、決して彼女は悪い人間ではない。むしろ、真面目で努力家な良い子だと思う。

 しかし、悲しいことに彼女の長所であるはずの部分が短所にもつながってしまっているのだ。

 ローランス学園の試験方法はほぼ才能――魔力に準ずる。そして、魔力は遺伝に大きく左右されるらしい。

 何が言いたいかと言うと、半数近くの生徒が特にやる気もなく、義務として学園に入学したのだ。もちろん、統計などとっていないため正確にはどれだけいるかわからないが、少なくとも彼女の現状を見る限り、そこそこの人数がいると考えられる。

 入学式から一カ月、彼女のクラスでの立ち位置は絶世の美少女から近寄りがたい人へと変わっていた。

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