第28話 土竜、土竜、進化 ※

 第28話 土竜、土竜、進化 ※

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「ふぅ」


 処理し終わった。

 デカかったけど、結構簡単に終わったな。

 これも成長の証か。


 いまだこのドラゴンはおろか外のモンスターにも勝てる気がしないが、確実につよくなってるのは事実だ。

 ドラゴンが破壊できないこの地面を破壊できるっていう、俺特有の強みも見つけたし……


 モグラに転生したとはいえ、詰んでなかったんだな。

 あの時絶望してあきらめていたら、今の俺もなかったというわけだ。


 モグラに転生して良か……


【特定の条件を達成しました】


「お!?」


【土竜への進化が可能になりました。進化しますか?】

【はい】

【いいえ】


 ……もぐらに転生して良かったか?


 いや、落ち着け。

 早まるな。


 というか、土竜?

 これ結局モグラになるだけでは?

 いや、それじゃ進化って言わないか。


 というか条件ってなんだ?

 もしかして、ドラゴンか?

 ものすごい生命力で生きていて、俺がとどめを刺したとか?


 いやいや、落ち着け。

 一つずつ確かめよう。

 まず、


【土竜:情報が取得できません。アカシックレコードとの接続を確認してください】


 ……なるほど。

 この土竜はモグラじゃないのか。


 もしかして、ほんとにドラゴンなのか?

 ドラゴンに、進化できるのか?


 条件ってのも、このドラゴン処理したことだよな?


「ステータスオープン」


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 種族 土竜(モグラ)

 総合評価:中動物レベル

 配下:1匹

 exp税:1%

 スキル

 土竜下級 レベル126 exp1

 土竜中級 レベル13 exp51

 土竜上級 レベル2 exp251

 土竜特級 レベル1 exp1251

 女神の加護 ーー

 最高神の興味 ーー

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 スキルレベルのキリがいいわけでもないし、総合評価も相変わらず中動物レベルから変化なし。

 やっぱり、このドラゴンを処理したことが条件で間違いないらしい。


 最強種族、ドラゴンへの進化か。

 今でも強烈に覚えている、あの圧倒的な気配。

 俺が、あれになれるのか。


 ……大空を自由に飛び回り、好きなように生きる。

 あこがれる。

 実に楽しそうだ。


 でも、ロティス……


 彼女を捨てて、一人で空に飛び立つなんてことできない。


 もちろん、俺から捨てるなんてことはあり得ない。

 ただ、種族の差は壁になる。

 それも、ドラゴンなんて巨大で強力な種族。


 ロティスが受け入れてくれるかわからない。


 ……でも、力がなければ守れるものも守れない。

 いや、でも……

 俺は、今も確実に強くなっている。

 だから、


 拒否される可能性があるのなら……

 たとえ受け入れられたとしても、大きな壁ができるのなら……


【いいえ】


 俺にこんな選択肢はいらない。


【ステータスに『進化』を追加しました。いつでもそちらから選択できます】


 あ、これっきりじゃないのね。

 変に覚悟決めた俺が、バカみたいじゃん。


 もし、進化する事があるとしたら……

 それは、ロティスが死ぬかもしれないときだ。


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 ー名無しの女神様ー


 仕事もひと段落ついたかのう。


 そういえば……信者のことを知るのも神の勤めじゃ。

 人間のことについてはいろいろとわかってはおるが、われの一番の稼ぎ頭はモグラじゃからのう。


 えーっと、何々。


【土竜とは、土を掘った後がまるで竜のように見えたことからつけられた漢字である】


 なるほどのう。


 あながち、あやつが竜と勘違いしたのも間違いではなかったのかのう。

 ま、あやつが勘違いしてくれたおかげで、我にチャンスが回ってきたわけであるし。

 あまりバカにするものでもないか。


 ん?


【と言われているが、もともとはミミズを指す漢字であり、伝わる際に誤ってもぐらに土竜があてがわれたという説も……】


 あやつ、もぐらどころかミミズで転生してた可能性もあったのか。


 いや、ミミズは土中の掃除屋なんて呼ばれるらしいし……

 死体でも掃除してれば、もしかしたら今からでもミミズになるかもしれんのう。


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 少しでも続きが気になる、面白いと思っていただけましたら『ブックマーク』『評価』よろしくお願いします。


 ーー次話予告ーー

『第29話 チュートリアルは終了しました 〇』

 明日更新

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