第24話 土竜VS地竜 〇

 第24話 土竜VS地竜 〇

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 気配の方向には、翼を広げ空中に浮かぶ巨大なドラゴンの姿があった。


「や、ヤバ過ぎる」


 とにかく、一目散に木の内部を駆け下り地下に潜らなければ。


 そうか、ここに人が住みつかない理由が分かった。

 ここはドラゴンの縄張りだったのだ。


 この前いた人たち?

 きっとバカだったんだろう。

 ありえないほど強力な気配だ。

 とても彼らが勝てるとは思えない。


 ロティスたちを連れて、巣の大移動を考えた方がいいかもしれない。

 いや、それはむしろ危険か?


 外に魔物らしい魔物がいなかったのは、ドラゴンを恐れてのことだろう。

 ドラゴンを恐れ魔物がいないからこそ、動物たちが栄えている。


 地下も同じかもしれない。


 ここはモグラしかいないが、ほかの場所。

 ドラゴンの縄張り外は、どうなってるかわからない。


 アントみたいな、アリの魔物が存在する可能性もある。


 今後のことは、あとで考えよう。

 今はとにかく……


 ドゴォォッ!!


「え!?」


 突然、体にものすごい衝撃が。

 そして、浮遊感。


 何がどうなってる?

 とにかく、まずい!!


 死の危機に瀕し、思考が加速する。

 そして出た結論は……


 あ、これドラゴンに木ごと吹き飛ばされた。


 ヤバい、マジで死ぬ。

 まだ死にたくない。


 再び衝撃、地面に落ちたのだろう。

 滞空時間からかなりの距離飛ばされた気がするが、ひとまず俺は無事だ。

 生きている。


 レベル上げしておいてよかった。

 もしレベルが低かったら、きっと初めの衝撃で絶命していた。


「は!?」


 急速に、強力な気配が接近してくる。


 まずい、

 まずい、

 まずすぎる。


 どういうことだ?

 なんでドラゴンがこっちに来る?


 俺に気づいてるなんてことはないだろう。

 というか、気が付いていたところで、わざわざドラゴンが俺なんかに手を出すか?

 ありえないだろう。


 とりあえず、この場から離れれば。

 なめるなよ、俺の日々のレベリングの成果。


 とにかく真下に、掘り進め!!


 早く、一秒でも早く。

 下へ、下へ……


 ドゴォォッ!!


 ものすごい轟音とともに、地下に強力な衝撃。

 地震のように、地面そのものが振動した。


「ドラゴンが、地面に突っ込んだ?」


「グゥオォォ!!!!」


 ドラゴンの雄叫び……

 声ですら地面を揺らすのか。


 ……なぜドラゴンは木を吹き飛ばし、地面に突っ込んだのか。

 まさか、俺を狙ったということはないだろう。

 外には、もっと腹にたまりそうな魔物がいるのに。


 まさか……


 でも、試す勇気はない。


 ロティスの方に行くわけにもいかないし、今はとにかくより地下深くに。


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 ー女勇者ー


「この場所でってどういうこと?」


「はぁ……座学の内容もう忘れたか?」


「そんなこと言ってたかしら?」


「言ってはないが、考えればわかることだ。勉学とは暗記ではなく、知識を身に着けそれを生かせるように……」


「うんちくはいいから」


「ここは竜の縄張りだ、地竜のな」


「ええ、それは知ってるわ」


「そして、ここには魔物が存在しない。理由はわかるか?」


「地竜が魔物を襲うからでしょ」


「ああ、そして地竜が魔物を襲う理由は魔石だ。ここにいるのは、地竜から生き残るために魔石を進化で失った失石魔物たち。」


「純魔石は、魔石が地下で何年も自然の魔力にさらされ純度が高くなったもの。でも……そうか、魔石が好きなら当然純魔石も」


「そう、当然好物だ。地竜の名前の由来が、純魔石を求めて地中を掘り返そうとする姿からだといわれるぐらいだ」


「なら、なぜこんなところにあったのかしら? 純魔石なんて希少品が落ちてるなんてこと、ほかの場所でもまずないわよ」


「さぁな」


「ねぇねぇ、しかも見てこの純度」


「……これは、すごいな」


「その話聞いてふと思ったんですけど、もしかしてこれ竜の持ち物だったり……」


「……まさか、竜にそこまでに知性はない」


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 ーー次話予告ーー

『第25話 楽園の答え』

 明日更新

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