第23話 絶景

 第23話 絶景

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 もしかしてあの人たちが異常に強かっただけで、ここのレベルは人にはかなり高いのか?


 ……うーん、どうだろう。


 前見た人たち、めちゃくちゃ強そうだったけどそれは俺から見たらの話であって。

 言動が、初心者と教官って感じだったからなぁ。

 実際、一人気をそらして怒られてたし。


 強い人って、そういう部分しっかりしてそうなんだよなぁ。


 あの雰囲気はちょっと才能があって調子に乗った生徒と、最前線についていけなくなって田舎で教師をしているおっさんって感じだった。


 一流が弟子を育ててたって可能性もあるが、にしては起こられてた方があんまり尊敬してもなかったし、おっさんが弱い気がする。

 あの集団は、おっさんと少女の二強でほかの二人が一段劣ってる感じだった。


 そして強い1人が、もう一人を叱ってる。

 今思い返すと、結構不思議な集団だった。


 関係の予想が当たってるかはともかくとして、そんな集団が危険地帯に来るはずないだろうという予想は当たってるはずだ。


 うーん、人がいない謎は深まるばかりだ。

 土地に問題でもあるんだろうか?

 ちょっと外に顔出して周り見たところで、俺の視線じゃちょっと高い草にさえぎられるし。


 気になる。


 こうやって掘っててもあんまり木の根にも当たらないし、それほど木が生い茂ってるってわけでもないだろうし。


 ん?

 木か……


 ザク、ザク、


「……問題なく掘れるな」


 かなり地下深くまで掘れるぐらい、俺の前足は強化されている。

 当然木みたいな柔らかいもの、何の問題もなく掘り進められる。


 俺には、視線の高さが足りない。

 たとえ地表に顔を出しても、見えるのは生い茂る草ばかり。

 ならば視線を上げれば、高くから見下ろせばいいじゃない。


 というわけで、人生初の木登りタイム。


 木の根をたどり、幹の太そうな木を探す。

 うーん、これでいいかな。


 ぶっとい木を発見した。

 なお、自身の大きさがどれぐらいなのかいまいち不明なため、この木が本当にぶっといのかは謎だ。

 ともかく、俺が登れそうな木であることに間違いはない。


 ザク、ザク、


 木の内部をくりぬきながら、慎重に登っていく。

 間違えて外に穴をあけたりしないように、慎重に、慎重に。


 ザク


「あ、」


 やべ、やらかした。

 小さく空いた穴から、光が差し込んでいる。

 幹が二股に分かれていたのに気がつかず、直進し続けた結果穴開けちゃった。


 気を取り直して、より慎重に。

 年輪の入り方なんかも気にしながら、気が曲がって成長してる部分は進路を曲げながら。


 ……よし、これぐらいでいいだろう。

 結構時間がかかったが、結構上まで登れたと思う。


 今まで見てたのは、ただの草だ。

 これが本物の、気世界の景色。


 いざ、


「おお~~!! ……お?」


 何というか、うん。

 普通にきれいな景色だ。


 ディスカ〇リーチャンネルとかN〇Kとかで見ことあるような景色だ。

 綺麗だ。

 確かにきれいなんだが、これじゃない感がすごいというか。


 異世界という感じがしない。

 現代の人の手が入ってない秘境は、きっとこんな感じだろう。

 ちょっと動物たちが珍しいかなというレベルで、もともと動物に詳しくない俺にはちょっと……


 そうか、俺がイメージしてる異世界の景色って街並みだもんあ。

 中世ヨーロッパの街並み。

 実際の中世ヨーロッパがどうだったかは知らないが、異世界といえばあの景色だ。


 もしくはドラゴンとかだが……

 見た感じ、そういうのもいない。

 ゴブリンもいないし、スライムもいない。


 え?

 なぜ??


 ステータスとかめちゃくちゃ異世界っぽいのに、この世界を作った神の趣味がわからない。

 ここだけ特別こうなのかな?

 冒険者とかいたし、異世界物が好きな神様のはずなんだけど。


「グルル!!」


「バウッ、バウッ!」


「ガルルルル」


 え?

 木の上から観察していたら、地上の魔物たちが一斉に騒ぎだした。

 直後、強烈な気配が。


 ヤバい、気を抜きすぎてた。

 急いで巣に……


 気配の方向には、翼を広げ空中に浮かぶ巨大なドラゴンの姿があった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーー次話予告ーー


『第24話 土竜VS地竜 〇』

 明日更新


 少しでも続きが気になる、面白いと思っていただけましたら『ブックマーク』『評価』よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る