第14話 パワーレベリング ※

 第14話 パワーレベリング ※

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 俺の穴掘りに、ロティスが付いてくるなんてことはめったにない。

 というか、ロティス以外でもモグラが付いてくることがまずない。


 当然といえば当然だろう。


 意味もなく、ただ下へ下へと掘り続けるボスに近づいて何をするというのだ。

 もし余計な土が出るなら、せっせと地上に運ぶなり配下として仕事はあるが、そのごみすら出ずせっせと掘り進めていくのだ。


 ついて行ったところで、見る以外やることもない。


 それならば、縄張りのパトロール、巣穴の拡大や補修に回るのは当然だろう。

 ロティスはごろごろして、配下に運ばせたミミズを頬張っているが。


 そんな名前の由来通り、429なロティスがついてきた。

 一体どんな心境の変化だろうか?


 さて、掘り始めようか。

 壁に前足を当て、ひと掘りふた掘り……


「キュウ!」


 ん?

 鳴き声がしたので、ロティスの方に振り向くとそこには山盛りになった土が……

 なるほど、片付けろと。

 前足をひとかき、ふたかき、土を片付ける。


「キュウ、キュウ」


 土が消えたのを確認すると、ロティスは再び穴掘りを再開した。

 ……え?

 俺にずっと掃除させるつもりですか?


 ロティスは黙々と掘り続けている。

 どうやらそのつもりらしい。

 この前の抗争で、思うところがあったのかもしれない。


 確かに一対一では勝てたが、敵の配下は好戦的でこちらは及び腰だった。

 もし俺がたどり着くのが遅ければ、勝敗はともかくこちらにもそれ相応の被害が出ていたことだろう。

 もしかしたら、ロティス自身が負けていたかもしれない。


 そして、その敵を配下に加えボスとしてより力を欲しているのだろう。

 彼らをまとめ上げられる力を。


 あとは、駆け付けた俺が、圧倒的な力を見せつけたせいもあるかもしれない。

 中動物レベル。

 モグラの天敵と同レベルだろう。

 急激に強くなった俺を見て……


 上を目指してくれるというのなら、大歓迎だ。

 ずっと一人で鍛え続けるというのは、結構しんどい。

 一緒に頑張っている仲間がいる、それだけのことでモチベーションはかなり高まる。


「キュウ!」


 はいはい、片付けますよ。


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 名前:ロティス

 種族 土竜(モグラ)

 総合評価:小動物レベル

 配下:15匹

 所属:土竜(モグラ)配下

 スキル

 土竜下級 レベル36

 土竜中級 レベル2

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 ー名無しの女神様ー


「久しぶり、調子はどうかしら?」


「!……脅かすでない。また勝手に人の領域に上がり込んで、事前に一声くれるぐらいの気遣いあってもいいじゃろ」


「へぇー、想像以上に順調みたいね」


「また勝手に思考を……まぁ、おぬしにいくら言っても無駄か。おかげさまで、おいしい思いさせてもらっている。それにしても、結構時間が空いたのじゃな? おぬしならすぐにまた来ると思っておったが」


「私だって忙しいのよ。この土竜、あなたにとってはメインプランでも、私にとってはいくつも動かしてる計画の一つでしかないの」


「さすが、最上位神は違うのう」


「……あなたもなりたいんじゃないの? 土竜観察してるだけじゃなくて、ほかにも何か始めたら? おいしい思いしてるってことは、余裕あるんでしょ?」


「貯蓄がないと不安なのじゃ。危ないことに片足突っ込んでるわけじゃし……」


「はぁ……あのねぇ、そんなことしてて最上位神になれると思ってるの? 持てるものすべて注ぎ込むぐらいじゃないと、いつまでたってもなれないわよ」


「じゃがのう……」


「ま、運よく一つだけでもあたるかもしれないし、思うようにやるといいわ。……貯金好きはお金持ちになれない」


「なんじゃそれは?」


「私の信者がたくさんいる国で見かけた言葉よ。あなたにぴったりだと思って」


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 テンプレ

 ーー次話予告ーー


『第15話 マルチ?ネズミ講?税。』

 明日更新


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