第十七話 少女の尾行

 狩りへと出かける直前、村の出口でスミスの旦那が待ち構えていた。


「おーー、アキトの旦那探したぜ。やっとポンプアクション式のショットガンが作れたんだ。見た所、今日も狩りに行くみたいだし使ってみてくれ」


そう言われて、猟銃とその弾を十数発渡される。


「おおおお、スミスの旦那。ついに合点のいく作品が出来たんだな、それじゃあお言葉にお前させてもらってもらうよ」


俺はそう言って、銃の感触を確かめながら村を出る。


「アキトさん、その銃カッコイイですね。私、アキトさんがその銃を撃てるように動物を見つけてみます」


と、ヘカテリーナが俺に話しかけながら、がんばる宣言をする。


「まぁ、狩りなんて最後は運だし、そんなに力まなくて大丈夫だけど期待してるぜ。」


俺は彼女を頼りにしていると言って、気合いを引き出すのであった。



∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴



 そうして、ヘカテリーナと共に森へと入って行く。とりあえず、この辺りの地理はおおよそ把握していたので獲物がいる可能性が高い水場を目指しながら、奴らの痕跡などを探していく。


すると、ヘカテリーナが何かに気付く。


「アキトさん、なんだか動物っぽいにおいがします。くんくん・・・こっちです」


ヘカテリーナは匂いを嗅ぎながら、俺を先導してそれを追っていく。そのまま、どんどん進んでいくうちに水場とは違う方向に歩いていく。


 次第に水場の低い谷から、段々と岩肌が目立つ尾根を登っていく。


俺はなんなく進んでいくが、ヘカテリーナはこういう場所に慣れないのか、歩きづらそうであった。


「ヘカテリーナ、歩きにくかったなら、手を繋ごうか? 」


そう言って、俺は手を差しのべてやる。


「あ、アキトさん。ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えて・・・」


彼女は、そう言って俺の手を握る。すると、その柔らかな手の感触が伝わってくる。


そうして、ズンズンと進んでいくと木々は閑散としてきて、視界が広がってくる。


その時、ヘカテリーナが何かに気付いて、


「アキトさん、何かの鳴き声が聞こえました。ちょっと、止まってもらって良いでしょうか」


ヘカテリーナは、目を瞑り、耳をピクピクさせながらその声を必死に聞こうとしている


俺はそれを邪魔しないように静かに見守る。


そして、彼女の手がぎゅっと握ってきて


「アキトさん、向こうの方に動物がいます・・・」


そう小声で伝えてくる。


俺もその方向を見て、スキル「望遠鏡」でよく見てると、ようやく動く小さな点々を見つけるほどであった。


ヘカテリーナが、居なかったら気づかなかったであろうくらいの小ささだ。


「ヘカテリーナよく見つけたな、偉いぞ」


そう誉めると、彼女は耳と尻尾を嬉しそうに動かしながら、


「お役に立てて嬉しいです」


と言う。ヘカテリーナは役目を果たしてくれた。後は、俺が確実に仕留める番だ。


俺は彼女と一緒に身を屈めながら、静かに動物の群れに近づいていくのであった。

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