第19話 魔族が味方で味方が敵で?
「ここはどこだ? お前たちはヒト族か?」
女性が話しかけてきた。
言葉も通じるようなので、まずは丁寧に対応することにした。
「えぇそうです。ここは<ミリテリア>大陸という場所です。あなたはどちらからいらっしゃったのですか?」
女性は眉を顰めて訝しげにこちらを見た。
「どこからって、<フォーステリア>に決まっているだろう。お前たちが召喚で呼んだのだろう?」
「はい、召喚術を使ったのはオレたちです。ただ、初めて使う術だったのでどういう作用かもわからないままだったので……」
「初めてだと? それにしては完ぺきだったぞ。思わず私も応じてしまったほどだ」
「それはよかったです。召喚に応じるとか応じないとか決められるんですね」
「うむ。お前たちも気に入らない奴に呼び出されたくはあるまい? 媒体となる魔力が気に食わなかったら応じはせん。今回はなかなか面白そうな魔力だったことと、術式が見事だったこともあるが、召喚なんぞ数百年ぶりの事だったからな。面白そうだから来てみたわけだ」
「なるほど。応じて頂きありがとうございます」
頭を下げてお礼を言う。
実は先程から“スキャン”も掛けてみているのだが、何も手ごたえがない。
スキルがないのか、防ぐ方法があるのか分からないが、どんな魔族かはっきりしない今は、友好的に接して損はないはずだ。
しかし、魔族から召喚魔法の事を聞けるなんて思いもしなかったな。
話が通じる魔族の様だし、これはラッキーだ。
「ところで、何か分かったか?」
ニヤッと笑いながらオレをみて問いかけてきた。
“スキャン”がバレていたようだ。
嘘をついてまずいことになっても困るので素直に謝った。
「すみません。何もわかりませんでした。こんなこともあるんですね」
「そうだろうな。“ジャミング”を使っているから普通の“スキャン”ではわかるまい。そしてやはり先ほど言った『召喚が初めて』というのは本当らしいな。それだけの力を持っているのに力の使い方や知識が未熟だ」
声を出して楽しそうに笑っている。
こうやって会話をして笑顔も見ていると<ミリテリア>の住人も<フォーステリア>の住人も変わりはないんだろうなと思えてくる。
「3か月ほど前から使えるようになったばかりなので、まだ手探り状態なんです。色々教えてもらえるとありがたいんですが……」
「3か月前? どういうことだ? 突然使えるようになったという事か?」
しまった、喋りすぎただろうか。
今の所敵意は感じられないとはいえ、相手は魔族だ。
侵攻してこようとしている奴にあまりこちらの情報を与えるべきではない。
「あぁ、心配するな。私はお前たちやこの世界をどうこうしようとは思っておらん。もし思っていたら初めから召喚に応じておらんしな。まぁ言いたくなければ別にかまわないけどな」
しばし逡巡するが、正直に話すこととした。
「<フォーステリア>の魔族が<ミリテリア>に侵攻しようとしているという話はご存知ですか?」
「あぁ<シュゴット>のジルグラインがそんなことを企んでいると聞いたな。なるほど、それで神がまた人に力を授けたという訳か」
「ご、ご存じなんですか?」
「ある程度はな。聞きたいか?」
「教えて頂けるならぜひ」
「構わないが、少し長くなるな。それに折角来たんだから何か旨いものが食いたいなー。何か喉も乾いたなー」
悪戯っぽい笑みを浮かべながらこちらを見てくる魔族の女性。
神さまが言っていた、『魔族の全てが悪という訳ではない』というのがよくわかるし、こういう人たちばかりだったら仲良くできると感じた。
「大変失礼いたしました。あちらにオレたちの家がありますので移動してもよろしいですか? 魔族の方をお招きするのは初めてですので、十分なおもてなしが出来るかわかりませんが……。失礼があったら申し訳ありません」
「気にするな。そんなに堅苦しくせずともヒト族の友人と同じように扱ってくれればよい。むしろ召喚に応じて客人のような対応を受けるのは初めてだぞ。大体、使い魔として上から対応してくる奴か、崇拝するようにひれ伏す奴か、どちらかだったからな」
楽しそうに話すその姿は、人と変わらない。
初めての召喚でこの人が来てくれてよかったのかもしれない。
結界の外で待っていたタックたちに事情を話し、魔族の女性を家へと案内する。
「ほう……。これは見事だ。建築も素晴らしいが結界もかなり上等なものだな。至る所に付与術が施された道具もあるが、あれは何だ? 侵入者防止用か?」
「あれはただの生活便利道具です。“トーチ”、こんな感じで言葉に反応するようにしてあります」
「これは面白いな……。我が国でも採用したいくらいだ」
皆にお茶や食べ物の用意を頼んで屋敷の中を軽く案内する。
やはり食いつかれたのはお風呂の24時間システムや風魔法を使ったバブルバス、ジェットバスだった。
女性は人も魔族も変わらないようだ。
一通り案内した後、お茶やお菓子の準備が出来たようなので応接室へ案内する。
初めて応接室にお招きするお客さんが魔族になるとは思いもしなかったな。
「初めまして。私は“ブルータクティクス”というクランのマスター、セラーナと申します。プラントの召喚に応じて頂きありがとうございます。魔族の方との交流は初めてなのでとても嬉しく感じています」
セラーナに続いてオレたちも順次挨拶をしてくと、ウンウンと頷きながら自己紹介を聞いてくれている。
本当に人と変わらないな。
「私は<ブリザイズ国>の王女、リーベラという。よろしくな。因みにここはミリテリアのどこの国なんだ?」
「王女様だったのですね。ここは大陸東部にあるファイライン王国で、ティルディスという街になります」
「おぉファイライン王国か。たしか東側中央部分の国だったな。飯がうまいところだ」
「ご存じなんですか?」
「うむ。以前召喚に応じて来た際に立ち寄ったことがある。これは良い召喚に応じたものだ」
満足げに笑っており、ご機嫌の様子だ。
オレも気になる事を聞いてみる。
「ところで、召喚術に応じてきてくれた場合、その後はどうなるんですか?」
「それは術者と呼ばれた者にもよるな。その場限りで終わる場合もあるし、契約を結ぶ場合もある」
「契約を結ぶとどうなるんですか? 命を取られるとか?」
「命など取らんわ。本当に何も知らないのだな。基本的には報酬は魔力だ。魔族にとって魔力は寿命や健康に関係しているからな。美容にもな! だから力を貸す代わりに魔力の提供を受けるわけだ」
「召喚者の魔力が無くなってしまったらどうなるんです?」
「召喚者の魔力が枯渇してしまったら<フォーステリア>に強制送還される。契約自体は解約しない限り継続しているから魔力が戻ればまた召喚はできる。何らかの理由で魔力自体を失ってしまった場合、契約は強制解除になる」
「なるほど。魔力を提供する代わりにこちらはその力を借りられるし、そちらは寿命が延びたり健康になったりするんですね」
面白いシステムだけど、誰がこの魔法を構築したのだろう?
魔力を寿命や健康にというのは魔族のみなのだろうか?
魔族側から召喚はできないのかな。
「召喚されないと寿命がすぐ尽きる、というわけではないけどな。要はアレだ。ヒト族も経済活動があるだろう? 日々働いて一定の収入を得て、その範囲内で生活するわけだ」
「そうですね。魔族もそうなんですか?」
「基本的にはこちらの世界と変わらんよ。しかし、臨時収入があれば少し贅沢な生活ができるだろう? 召喚も同じようなものだな」
「なるほど。余分に使えるというわけですね。あと、先ほど面白そうな魔力と仰ってましたが、魔力によって何か変わったりするんですか?」
「何というか、波長のようなものだな。魔力も人によって相性みたいなものがあるわけだ。先ほどの例で言えば、雇う奴と合わなかったらいくら条件が良くても働きたくないだろ? そんな感じだな」
確かに雇い主との関係は重要だな。
グウェンさんはちょっとアレだけどオレの事を気に掛けてくれるし、仕事の腕は確かだもんな。
ちょっとアレだけど。
「魔族の世界もこちらと変わりないんですね。ではどうしてこちらに侵攻しようとしてくるのでしょうか?」
セラーナが本題へ移していく。
リーベラさんはグウェンさん謹製のコロンバインティーの美味しさに驚いてから答えてくれた。
「<フォーステリア>には13の国があってな。我が<ブリザイズ国>もその1つだ。基本的には<ミリテリア>と変わらず、他国と交流や交易をして暮らしておる。まぁ時に小競り合いもあるが、ここ100年くらいは大きなものはないな。ただ、それは平和だからというわけではなく、大体戦力が拮抗しているし、先に手を出した場合に周りから袋叩きにあうからだな」
再びお茶を口にして喉を潤して続ける。
「しかし、最近<シュゴット>の王が亡くなってな。息子に代替わりしたのだが、こいつが好戦的なやつでなぁ。<フォーステリア>を統一せんとしてるわけだ」
「あーお話でよくあるパターンですね」
「うむ。しかし先ほど言ったように戦力は拮抗しているから簡単に手出しはできない。下手すれば袋叩きになって自分の国が亡ぶからな。だからまず戦力を向上させようとして<ミリテリア>に目を付けたわけだ」
「魔力を貰うためですか?」
「そうだ。先ほどの話だと最近魔法を使えるようになったようだが、使えるか使えないは別として、基本的には人にも魔力が備わっている。これまでは垂れ流している状態だったわけだが、それに目を付けたのがジルグラインだな」
「でも魔力があっても召喚できる人は多分そんなに多くないですよ?」
神様に力を授かってから数か月経つが、召喚術を持っているのはプラントさんが初めてだった。
「召喚はあくまでも契約だからな。魔力を奪うだけならそんなものは必要ない。『魔力を生み出す道具』として使えばいいだけだ。また、強制的に従属させて戦力として活用することも出来るしな」
「道具として……」
ただ侵略するわけでなく、人を道具として扱おうとしていることに驚いた。
絶対にそんなことはさせない。
「それを防ぐために神が力を授けたのだろうよ。授けたというか、解放したといった方がいいかもな」
「なるほど。なぜ神様は魔法を使えないようにしていたんですかね?」
「多くの者は適切に使うだろうが、強い力を持つと使いたくなる奴がいるだろう? ごく一部でもそういう奴がいれば、そして、そういう奴が強い力を持てば持つほどその被害は大きくなり、弱いものが泣くことになる。神はそれを防ぎたかったのだろうな。まぁ実際の所はわからんがな」
リーベラさんはお茶のお替りを頼み、待っている間セラーナ御手製のお菓子を頬張って再度満足そうな笑顔を見せている。
「他の国は何か対策していないんですか? 要は戦争の準備をしているということですよね?」
「そこが難しいところでなぁ……」
『うーむ』と悩みながら腕を組むリーベラさん。
それによって主張を激しくする胸に目を奪われるが、横にいるセラーナから殺気を感じて慌てて目を逸らす。
さっきから視線がチラッと胸にいく度に殺気がチラッと出てくる。
プラントさんの目もマジで怖い。
目に力や光が宿っておらず、ダークサイドの人の目になっている。
この人大丈夫かしら……。
「戦争の準備ではあるんだが、他の国に危害を加えてるわけじゃないからな。例えば兵士を雇うのだって、装備を作るために鉱山を掘るのだって戦争の準備にはなるが、自国内でやっている分には文句は言えんのだ。それに裏でコソコソやっているから、表立って指摘すると今後の諜報が難しくなる」
「でも<ミリテリア>に手を出そうとしてますよ?」
「<ミリテリア>は異世界だからな。どの国のものでもない。むしろ<シュゴット>がやるならうちもという国もあるだろうな」
「げっ……。リーベラさんのところは……?」
「我が国はそういうことはしない方針だ。わが国にも<ミリテリア>の住人がいるしな。こちらの知識を広めてくれて感謝しているくらいだ。他の国も殆どが<ミリテリア>手を出そうとは考えていないから安心せい。そんなことを考えているのは<シュゴット>とあと1~2つくらいなものだな」
「それならよかったですけど、<ミリテリア>の人がいるんですか?」
「多くはないがな。<ワームホール>でこちらに取り込まれてしまう者が時折いてな。捨て置くのもかわいそうだから保護しているわけだ。他の国でも保護している所はあるはずだぞ」
神様が言っていた神隠しの件か。
異世界で保護してくれる人がいなかったら、すぐに命を落としていただろうな。
帰ってきたいだろうな……。
「オレが言うのはおかしいかもしれませんが、保護してくださってありがとうございます」
頭を下げてそういうと、リーベラさんは目を丸くした後、笑い出した。
「やはり人は面白いな。見知らぬ他人の為に頭を下げるとは。気に入ったぞ。ジルグラインの件は我が国も手を焼いている所だったからな。召喚の縁もあるし我らも協力してやろう」
「本当ですか!? すごく助かります!」
「といっても、表立って魔族と戦うわけにはいかんがな。これでも名は知れている方なので、私が<シュゴット>の魔族を倒したりすると、こちらの国が攻められる可能性がある。あくまでも情報提供と言ったところか」
「それでも十分です。オレたちは<フォーステリア>のことを何もわかっていないので」
「しかし、報酬はもらうぞ。これは召喚とはまた別だからな」
「魔力ですか? お金はオレたちそんなにないですけど……」
「魔力はプラントの分で十分だ。こちらのお金も必要ない。こちらに来たときに先ほどのお茶やお菓子のように美味いものを食わせてくれ。あと、これはもし可能だったらでよいが、この屋敷の部屋を1つ私にくれないか。滞在場所があれば存分に遊べるし、家出するのにちょうどよいからな!」
「そ、そのくらいでよければ……。魔族でも家出ってあるんですね。」
「あるぞ。私も面倒な立場だからな。ここなら見つかる事もないしな! それから私の屋敷にもここの風呂を作ってほしいところだが、それは難しそうだから我慢するか」
魔族と協力関係を結ぶなんて歴史上重大な出来事のはずだけど、その報酬が食べ物と部屋だなんていいんだろうか?
本人がいいならいいんだけども……。
「家出してくるにしても、こちらに自由に移動できるんですか?」
プラントさんが尋ねた。
「いや、できんぞ。その時は召喚してくれ」
「でもどうやって?」
「契約を結んだ場合はこちらとあちらで離れていても、会話は出来るんだ。私とプラントだけだがな。こんな感じだ」
「わっ? 頭の中に声が!」
「自身の内側に私の魔力を感じる部分があるはずだ。それに意識を向けて頭の中で話しかけてみよ」
「ええと……これかな? こんな感じかな?」
「おっ、聞こえたぞ。『プラントです。聞こえますか』とな」
「本当に通じた!」
「これで私がこちらに来たい場合は話しかけるから召喚を頼んだぞ! あと、何か情報が分かったら教えてやろう。それからそちらの都合で召喚する場合は前もって話しかけてくれるとありがたいな。風呂に入ってたら困るからな!」
「わ、わかりました! よろしくお願いします!」
魔族との協力関係に加えて<フォーステリア>との連絡手段も出来てしまった。
あまりの急展開に戸惑いを隠せないが、今後非常に役に立つことだろう。
プラントさんと、召喚で来てくれたリーベラさんには感謝だな。
「あとはお前の子種でも貰おうかと思ったが、それは順番待ちとするか」
リーベラさんがオレを見て、『わっはっは』と笑いながら笑えない冗談を言い放った。
瞬時に殺気を放つ3人。
えっ3人?
もしもし、プラントさん……?
「わっはっは。怒るな怒るな。優秀な子孫を残そうとするのは魔族も人も変わらんからな。ヴィトほどの者は<フォーステリア>にも滅多にはおらんぞ。どうだ? 私の所に来ればいずれ王になれるぞ?」
また悪戯っぽく笑いながらこちらに問いかけてくる。
「あの、オレ」
「お断りなのだ! ヴィトは王様より<タンブルウィード>の店主になりたいのだ!!」
「ヴィトは私のお父さんのお仕事を継ぐってもう決まってますから!!」
「<スーパースーパースパスパ>の店長になるんです!!」
またオレの知らないところで将来が決まっていた。
うーん、その中だとスパスパの店長はお断りかなぁ……申し訳ないけど。
親父さんもそうだけどお客さんも謎が多すぎて怖いもんね。
特に地下組織が。
あと、セラーナのお父さんも何をしている人か知らないんだけど、いつの間にそんな話になっているやら?
「そうか? 王になれば好きに出来るぞ? もちろん私のこともだ」
兵器を強調するようにやや前屈みになって言ってきたので、つい『よろしくお願いします!!』と返事してしまいそうになったが、グッとこらえた。
危なかった。
タックはフラフラっと吸い寄せられて、ススリーに後頸部を鷲掴みにされていた。
このままでは”ブルータクティクス”の男性陣が全滅してしまう。
「あ、あはははは! 魔族の人は冗談もうまいなぁ!」
「いや、別に冗談で」
「そういえば聞きたいことがあるんです! 先ほどの件なんですけど!!」
「う、うむ。なんだ?」
「申し訳ないですが警戒の為に“スキャン”をしたら全く手ごたえがなくそれは“ジャミング”のせいだと言ってましたがどういうものなんですか? これからジルグライン達が攻めてくるときに“スキャン”が通用しないと不便なので教えて頂きたいなと!」
まず笑って誤魔化し、畳みかけるように一気に早口で話して話題を変えた。
無理やりだが、こうでもしないとオレとタックは殺される。
魔族ではなく味方に。
「あぁそれか。通常の“スキャン”は魔力が波紋のように流れて、引っかかったスキルを検知するんだ。だから魔力を乱して、その波紋も乱して消やれば見破られない。また、“スキャン”する際も上手くやらないと使用していることも居場所もバレてしまう。魔力が飛んでくるわけだからな。だからやる時はこうやるんだぞ。“
ニヤッと笑うリーベラさん。
“スキャン”をされたようだが全く気が付かなかった。
ただ、召喚された直後と今、2回もオレに“スキャン”をしてくれたことで“
ラッキー!
“新型スキャン”は魔力が隠蔽されているのに加え、魔力の波紋も複雑に変化しているようだ。
試しにリーベラさんに使ってみる。
火魔法Lv7、風魔法Lv8、雷魔法Lv6と他にいくつかスキルがあるようだ。
“ジャミング”も突破したみたいだけど、今のはバレなかったかな?
「リーベラさん、気が付きました?」
「なにがだ?」
「“スキャン”したの」
「なっ!?」
「とりあえず火魔法、風魔法、雷魔法ですよね」
「もう使えるようになったというのか……? “ジャミング”を無視して“スキャン”が出来るのはそんなにいないんだぞ。 これが“
「それもう勘弁してください!」
殺気だった3人娘(?)を宥めていると、リーベラさんは一度自分の世界に戻るとのことだった。
どうやら会議中で退屈していたところに召喚されたので、面白そうだったから応じてみたとのことだった。
会議中の他の人からすれば、突然消えたように見えるらしく、おそらく大混乱だろうと楽しそうに笑っている。
帰るときも召喚魔法で帰るらしい。
どうやら召喚魔法は呼ぶ魔法と帰還させる魔法があり、契約を結んだ場合、その魔族専用の送迎用魔法が使えるようになるようだ。
プラントさんが帰り用の魔法を唱えると、地面に魔方陣が展開していく。
召喚魔法は見ただけでは“
自分が受けることも出来ないので、召喚魔法の習得は難しそうだな。
今度リーベラさんに聞いてみよう。
“ジャミング”は作用が何となく分かったので自分で作ってみることにした。
魔方陣に乗ったリーベラさんは『じゃあまたな』と言って手を振って、出て来た時と逆に魔方陣へ沈んでいった。
こうして魔族との緊張しつつも賑やかな初対面は無事に終わった。
……が、オレたちの試練はここからだ。
3人の番人がオレを取り囲み、オレを
果たして弁明させてもらえるだろうか……。
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