七話 イリスというメイドの少女

 七話 イリスというメイドの少女

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 ここにきて、もう数週間ぐらいたつ。

 ここがどこかはよくわからないけど、何となく他国なんだとは思う。


 王国は本格的にまずいらしい。

 イリスは大丈夫だろうか?


 結局あのパーティー以降会えていないし……


 何となく嫌な予感がする。

 それにこのままここにいたら、また夢を見てしまいそう。


「ねぇ、どうしても外に出ちゃダメ?」


「そういいつけられておりますので、私たちにそう申されましても……」


「そう」


 ここは、イリスが用意しておいてくれた場所らしいけど、いつの間にこんな場所用意してたのかしら?

 というか、いつの間にそこまで力をつけてたのかしら?


 私、イリスのこと全然知らないのね。


 イリスがすごいって、そんなの昔から知っていた。

 でも、どれぐらいすごいかなんて理解できてない。

 だから毎回驚かされる。


 毎回驚かせてくれるイリスも大好きだけど、もうそろそろ私にも横にいさせてほしいわ。

 みんなが驚いてる中、イリスの横で、私のイリスはすごいでしょってどや顔していたいわ。


 ねぇ、イリス。


 あなたの遊びに私も混ぜてほしいわ。


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 私は、私という存在そのものを不思議に思っていた。

 転生とかそういう部分ではなく、イリスという庶民の存在そのものを不思議に思っていた。


 ただのメイドの娘にしては、扱いが異常に良かった。

 そもそもからして、あの年齢で公爵本人と面会するということ自体がおかしい。

 そのうえ、失礼を働いた、たかがメイドの子を娘の専属メイドにするという……


 明らかに何かある。


 でも、そんな特別扱いの上で、影武者として他国に送られたとき一瞬勘違いなのかとも思った。

 ただ単に、公爵が私と母を気に入ってただけなのかと。


 商会とは別に、とある施設を作ってるときにそれは判明した。

 私のDNAに、あの国の現国王との親戚関係を示す配列があると。

 正直言って驚いた。

 ほかにもいろいろと判明したが、それはまぁ想定の範囲内だったので置いておく。


 よく考えてみれば、当たり前だ。

 公爵ほどの力を持つ家との王家の契約だ。

 窓口が、伯爵になっていたとはいえ、裏でいろいろと取引が合ったうちの一つだろう。


 そうなれば、私が影武者として他国に送られたのも、それ以外の危険事がなかったのも納得だ。


 私や母という存在は、いわば公爵家への贈り物。

 その贈り物を自国内で傷つけたとなれば……


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