五話 原作という枷がなくなりました
五話 原作という枷がなくなりました
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乙女ゲーの主人公は、選択肢を選ぶことしかできません。
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「クリュセイス」
「メティス、どうかしたか?」
「国王を暗殺しましょう。今の王国に彼は邪魔です」
「な!? 何を言って……」
「私たちに、手段を選んでる暇はありません。無理やりにでも実権を握って国を復興しなければ」
「……仮に父を手にかけ王になったとしても、今の貴族たちは俺に素直に従うとは」
「すべて粛清します」
「……メティス」
「それだけ切羽詰まっている。理解しているでしょう?」
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国王の急死、新王誕生ねぇ。
このタイミングで?
そもそも、国王の享年はもっと先……
盛大に動いた。
これは、私が原因じゃない歴史の改変。
考えられるとしたら……
ああ、主人公ちゃんか。
というかまぁ、こんなことできるのは王子か主人公。
性格的に王子はまずないから、はじめっから主人公一択なんだけど。
でも、それだけじゃない。
もうそろそろ、原作の終わる時間だ。
原作以降の物語を描いたものは数多くあるが、プレイヤーキャラクターの主人公ちゃんは設定から何からブレがすごい。
原作でも複数ルートあったが、その後のルートは数えきれない。
それにこのキャラ特有の矛盾も有する。
シナリオ上、進めるとレベルキャップが解放される仕組みだが、全クリ後の二週目の主人公ちゃんは異次元の強さを誇る。
そこまで原作に忠実じゃないにしても、引っ張られているのなら、制限がなくなった主人公は、王子以上の怪物だ。
だが、それは成長しきったらだ。
いまはまだ……
この混乱うまく乗りこなさないと、まずいことになりそうだ。
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「伯爵」
「これは、イリス嬢。お早いお帰りで」
「……確認だが、国内での影響力も順調に高まっているのだろう?」
「? はい、おかげさまで」
「国王の座、狙う気はないか?」
「……いえ。今は目の前の戦争を」
「戦争中の今こそチャンスだと思うぞ」
「私には正当性が、ありませんから」
「……イリスを使う」
「あなたを?」
「公爵家ほどの権力を持つ家が裏切る。そうなれば、お互いにそれなりのものを用意して疑念をなくそうとするのが常だ」
「は、はぁ」
「アルベード家のメイド長。私の母は、貴国の前国王と庶民の子供だ」
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