番外編 とある巨大商会の破綻(+F大学生レポート)一枚目

 番外編 とある巨大商会の破綻(+F大学生レポート)

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 突如現れ、瞬く間に王国の経済圏で巨大な城を築き上げた商会。

 戦争による消耗で国そのものが疲弊していた王国で、その商会は庶民貴族多くの人から期待を集め……


 大爆発を起こした。


「……え?」


「……嘘だろ」


 貴族、平民みな例外なく多大な衝撃を受けた。

 その余波は王国内だけにとどまらず、世界中に及んだ。

 それだけの規模を誇っていたのだ。


 のちに世界恐慌と呼ばれることになる、経済の冬の引き金となった事件だ。


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 とある商会は、通常ではありえないほどのスピードで成長し続けた。

 普通ではありえないのである。

 では、なぜこの商会はここまでのスピードで成長できたのか?

 普通ではなかったのである。


 この商会の肝は二つ。

 一つはお金である。


 何を行うにも金というのは必要不可欠である。

 ただ、この不景気な王国で多額の投資は望めないし、同様の理由で大きな事業を大国で行うものもいないだろう。

 そんな中突如現れた商会。

 この商会は、国の不景気とその原因をうまく味方につけた。


 ポンジ・スキームという言葉をご存じだろうか?


 利益の出ると嘘の情報で商品を販売し、その代金から利益と称して金を払う手法である。

 そして利益をさも出しているように誤解させ、さらなる資金を引き出し客を増やしと規模を拡大していく。

 実際は利益が出ているわけでも何でもないので、負債が増え続け配当が工面できなくなり破綻する。

 たいていの客は出た利益もそのまま商品に回すので、規模が大きくなり続けている間は利益が増え続けていく。

 そしてこれ以上利益が増えないというタイミングで、とんずらするのである。


 この商会は大きく分けて二回、ポンジ・スキームを行っている。

 ただ一度目と二度目で大きな違和感がある。

 過去の資料から調べたので、商会内の詳しい事情などは分からないが。

 一度目は誰にも気づかれず莫大な利益を得て、罪も身代わりに押し付けたのに、二度目は利益どころか莫大な損失を出し、商会そのものに終止符を打った。


 書面上、最初期以外代表が変わったことなど一度もなかった商会ではあるが、何かあったのではなかろうかと……


 ま、私の妄想だ。

 都市伝説のようなものだと聞き流してほしい。


 そして二つ目は人である。


 奴隷法、今なお何度も問題に上がる制度である。

 今の奴隷法の基礎ができたのがこの時代であり、制度の穴をついて問題となっているような使い方をしたのがこの商会である。


 これも都市伝説ではあるが、一説には事前にこの法改正を知っていたのではというお話もある。

 一度目のポンジ・スキームで得た莫大な資金で、事前に王国中の奴隷を買いあさっていたという記録もある。


 奴隷法の改正、その目的は弱者の救済であった。

 そして商会はその改正にのっとりいち早く行動を開始し、多くの人々に正義として見られたことだろう。

 実際は法にのっとり悪魔も青ざめるような行いをしたわけだが。


 この商会は王国と周辺国家の経済をめちゃくちゃにして、それらを下敷きに倒れ崩れ去ったわけだ。


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