——いがぐり集め


 天気予報はあまり見ない性格であるが、昨夜偶然見た。いがぐりが降るらしい。たしかに今朝から、いがぐりが降りはじめた。


 一ヶ月だけの契約で眼鏡工場に通う。しょうがないので傘をさす。しかしすぐにボロボロである。周りの人を見ても、ボロボロの傘をさして歩いている。しょうがない。


 仕事中も屋根からピンピンと音が降ってきた。いがぐりが衝突するのだ。

 仕事終わり、みんないがぐりを拾っているので、わたしも拾いながら帰る。


『市民のみなさん、踏まないように気をつけてください。いがぐりを、踏まないように、気をつけてください』


 町中にアナウンスで流れる。あそこから夕方の音楽以外が流れてるのを初めて見た。



 いがぐりはたくさん集まった。ネットで見てみると、市役所で回収してくれるらしい。それとお金を交換してもらえるだとか。わたしは三つだけ台所に残して、他を交換しに行った。長蛇のいがぐり行列。


 下を見ると点々と血が見える。みんなやられているのだ。

 後ろでぷすぷす、重たい音が鳴っている。見ると車が大変だ。車体も傷だらけな上、タイヤもパンクしてるのだ。


 もう散々である。こういう光景が近畿一帯で見られるのだろう。

 いがぐりが降らないようにだけ、国の力でなんとかできないものだろうか。

 国の力で、なんとかできるようなものでないのはわかっているが。

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