第56話 奪い返せ世界を

雪代先輩が連れ去られたというか捕縛された。

奪還しなくてはいけない。

その為に俺達仲間は大学に集まった。

とは言っても俺と代表者が何名かで行くつもりだが。

俺は部室に集まった目の前に居る者達を見る。


この場所には夜空、明日香さん、雪さん、照魔くん、長谷川先輩、遠山、千佳、健介などなど。

そういう者達が集まった。

そして俺達は顔を見合わせる。

奪還作戦の会議が始まった。


「という事で行っちまった雪代先輩を奪還しようと思う」


「それはそうとどうするんだ。侵入する訳にはいかないだろ?」


「それは確かにな。健介」


「.....悲しい。雪代先輩.....」


「確かに.....ね」


俺達はそれぞれ見合わせてから。

奪還作戦を練る。

とは言え俺達もテストなどの用事などが有る為にそんなに動けないのだが。

そう思いながら.....俺達は顎を捻る。

どうしたもんかな。


「いっすー先生。具体的には直接対決ですか?」


「それしかないだろうな。.....交渉するしかない」


「まあ確かにね。お兄ちゃん。.....でも交渉って言っても.....」


「そうだな.....材料が無い」


さてどうしたものかな。

俺達は思いながら.....ホワイトボードの作戦表を見る。

すると長谷川先輩が手を挙げた。


それから、俺が全責任持って雪代先輩を取り返すよ。俺は雪代先輩と付き合っているからな、と言い出す。

それは確かにそうではある。

だけど危険な目に遭わせたくないだよな。

俺もだけど、だ。

誰も危険な目には遭ってほしくない。


「材料ならありますよ」


「.....何?照魔くんマジか?」


「.....はい。結論から言って.....お姉ちゃんを奪還するには柱の埋め合わせが必要です。つまり.....お姉ちゃんの子供を産めば良いんです」


「.....いやそれ。極端だな。お前.....」


「やはり極端ですかね.....?」


「ああ.....それは無理がある」


となるとどうしたもんかね。

考えながら.....顎に手を添える。

それから照魔くんを見る。


どんな感じの親なんだ?、と聞いた。

照魔くんは、まあ簡単に言ってしまうと.....お金しか見てないです、と答える。

お金の為の重鎮を用意する様な感じです、とも、だ。


「つまりお金の為なら何でもしますね」


「それは.....また極端だな.....」


「でも考えてみたんです。じゃあこの作戦で行くかって」


「.....え?」


「.....簡単ですよ。.....僕がお姉ちゃんの代わりに会社の重鎮になれば良いんです」


俺達は愕然とした。

そして、だけどそれは最終手段だ、と言う。

それだけはやっちゃ駄目だろ。

春香とかはどうするんだ。

そして俺達の仲は?


「.....でも他に方法は無いですよね?」


「無いっちゃ無い。交渉材料が無いけど.....だが.....」


「.....じゃあやるしかないですよね」


「.....しかし.....」


これは本当に参った。

どうすれば良いのか、と思ったのだが。

ここで俺はハッとする。


それから全員に向く。

そして.....ニヤッとした。

それならどうだろうか、と、だ。

俺は喋り出す。


「俺が雪代先輩の恋人になれば良いんだ。潜入っていうか」


「.....たしかにそれは.....でも危険がありますよ.....帰って来れない可能性が.....」


そう言った所で。

突然.....部室のドアが開いた。

それから.....黒髪の女性が入って来る。

少しだけ白髪の混じった、だ。


中年の様な.....かなり上品な顔をしている。

俺達は目を丸くする。

何だこの人!?


「突然すいません」


「.....貴方は?」


「.....お母さん?」


照魔くんが驚愕する。

え!?ってか。

ふぁ!?マジか!?

思いつつ俺達は顔を見合わせる。

そしてその女性はゆっくりと頭を下げる。


「この場所に山寺イスカさんが居るとお聞きしましてやって来ました。初めまして。日向と申します」


「.....え?あ、はい?俺ですけど.....」


「.....真菜子をご存じでしょうか?」


「.....はい?え、あ、はい」


「.....突然申し訳ありません。貴方に御願いがあって来たのです」


「お願い?」


真菜子を助けて下さりませんか、と。

その女性は言ってくる。

照魔を解放したのは私です。


そして.....私は真菜子の安全を気にしています。

お願いです、と、だ。

俺達は突然の展開にまた顔を見合わせて驚く。


「私は.....真菜子に会社の重鎮を継がせるのはまだ早いと思っております。.....ですが主人が言う事を聞きません。協力者が必要かと思いました。.....あの方はとても強欲になってしまい.....私も協力します。真菜子を連れ戻して下さい」


「.....それは.....」


「お母さんが解放したんだね」


「.....そうね。照魔」


「イスカお兄さん。この人は信頼出来ると思います。嘘は吐いてないです。嘘が嫌いな性格なので」


「そうなのか?照魔くん」


はい、と頷く照魔くん。

俺はその姿に千佳を見る。

千佳も健介も頷く。

そうなると、だ。


「なんか突拍子に希望が見えてきた感じだ」


「そうだね。いー君」


突拍子の参加だが。

取り合えず.....雪代先輩を奪還する為に。

俺達は共同で動く事になった。


因みに作戦というと。

長谷川先輩を大金持ちの子息として.....紹介し。

そのゴタゴタの間に奪還する、という事になった。


取り合えず上手くいくかは神のみぞ知ると言った所だが.....。

因みに現地に俺、千佳、健介が長谷川先輩の知り合いとして作戦の為に向かう事になった。

隣県の山の住宅街らしいが。

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