第35話 三角関係?
夜空の意外な才能が判明してからの事だ。
俺は出来上がった雪さん用に作られているテストを持ってから。
雪さんの家に自動車で向かった。
それから何時もの玄関先に着いてから顔を向けると。
そこに.....春香ちゃんと雪さん.....と。
照魔君。
雪さんを春香ちゃんが守る様にしながら春香ちゃんが照魔君を睨んでいた。
何だこれは?どういう構図だ?
思いながら居ると困惑していた雪さんが俺を見てきて笑顔になる。
「あ。いー先生」
「.....雪さん?これは何事だ?」
「えっと.....春香が照魔君の事を恨んでいるんです」
「そういえば雪さん。照魔君に好きって言われてたな。それでか?」
「はい。えっとですね。私がいー先生と付き合えないと判明してから照魔君が真剣になっちゃって今に至ります」
それでプライドの高い春香ちゃんが許さない、と言っているんだな?
思いつつ俺は苦笑しながら2人を見る。
照魔君は意を決して顔を上げた。
雪さんに向いている。
その赤い顔を、だ。
それから花束を取り出した。
一輪の薔薇だ。
用意が良いじゃないか。
思いながら笑みを浮かべる。
「僕と.....その。お願いです。雪さん。付き合ってほしいです」
「だから!私のお姉ちゃんを渡さないって言ってるでしょ!!!!!」
「君は黙ってほしい.....」
「絶対に渡さない!」
何方もプライド満載なのだろう。
春香ちゃんはガルルと照魔君を思いっきり威嚇する。
俺はその姿に割って入った。
それから2人の頭に手を添える。
そうしてから、落ち着けお前ら、と言い聞かせる。
この言葉に春香ちゃんが、お兄ちゃん?、と俺を見てくる。
そして照魔君も、だ。
「俺じゃ何の助けにもならないけど.....取り合えず落ち着こう。それから話し合った方が良いよ。絶対に」
「でも!コイツ.....引き下がらないんだもんです!」
「それは君もだろう。話をしようとしているのに」
厄介だなこれは。
苦笑しながら俺は後頭部を掻く。
それから顎に手を添える。
そして雪さんを見る。
雪さんは照魔君にそれなりに注目していた。
「.....春香ちゃん。雪さんの為に動いているのは分かる。でもそれは我が儘じゃ無いかな?君のものじゃ無いよ。雪さんは。玩具じゃない」
「お兄ちゃん.....照魔の肩を持つんですか!?」
「肩を持つとかじゃ無いよ。こういうのは雪さんが選択権を持っている。そう話したいんだけど.....」
「.....でも私はお姉ちゃんが.....」
その様子を見る。
すると何だか知らないが春香ちゃんが.....照魔をチラチラ見ているのに気が付いた。
赤面をしている。
俺は?を一瞬だけ浮かべたが。
直ぐにピーンとくる。
まさか.....。
と思って俺は春香ちゃんに向く。
それからヒソヒソと耳打ちをする。
「.....もしかして照魔君が好きなの?春香ちゃん」
「.....!!!!!!!!!?.....ち、違います.....」
「.....」
俯いて顔を覆う春香ちゃん。
いや、反応が。
予想外に真っ赤になる春香ちゃん。
湯気を放つ様に、だ。
これは.....うん。
ややこしいことになってきた。
俺はキョトンとして俺達を見ている照魔君。
そして雪さんに向く。
顎に手を添えた。
さてどの様に作戦を整えたもんかな.....これ。
「.....お兄ちゃん。馬鹿ですねもう」
「.....すまん。まさかビンゴとは思わなくて」
「.....あ、あんな奴に惹かれた私も悪いですけど.....やめて下さい」
「.....」
赤い感じでモジモジする春香ちゃん。
雪さんが俺を見つめてくる。
それから、どうしたのですか?、と聞いてきた。
うーん.....説明して良いものだろうか。
考えながら俺は頭を掻いた。
すると、と。とにかく!、と切り出した春香ちゃん。
それから照魔君に指を差す。
「私は許さないから!お姉ちゃんが取られるのも嫌だから!!!!!」
「何でそんなに僕の告白を妨害するの。春香」
「良いから!!!!!」
恋はややこしいもんだ。
思いつつ俺はその光景に何も口出しが出来ず。
溜息を吐いた。
それから時計を見てからビックリする。
時間が迫っている。
「雪さん。勉強する時間.....」
「あ!.....ま、またね!照魔君!」
「ゆ、雪さん!?」
慌てる照魔君の制止を振り切ってから。
俺は雪さんに引き摺られて家の中に入る。
雪さんは俺を見てくる。
大変な事に巻き込んですいません、と謝ってきた。
俺は、いや、と首を振る。
それから苦笑する。
「大変だね。雪さんも」
「.....私はまあ。でも.....春香が」
「.....雪さん。えっとね。話しても良いかな」
「え?何をです?」
俺は雪さんを見る。
それから部屋に入ってから全てを説明した。
すると雪さんはビックリしながら俺を目をパチクリしながら見てくる。
それって本当ですか?、と、だ。
俺は頷きながら.....また苦笑い。
「好きなんだよ。春香ちゃんは照魔君が」
「.....そんな事が.....ビックリです」
「.....俺もビックリだ。だから不思議だよな。恋ってって思った」
「.....ですね。クスクス」
ツンデレって感じだな、本当に。
俺達は、フフッ、と笑い合う。
でもそれならどうしたら良いんでしょうか、と顎に手を添える雪さん。
その姿に俺も顎に手を添える様にする。
そして人差し指を立てる。
「じゃあ春香ちゃんが素直になれる様に何か努力しようか」
「.....それ良いですね。確かに」
「.....二人に気付かせる様にね」
「流石いー先生です。相変わらず.....優しいです」
「まあ幸せなものが良いからね。こういうのって」
俺はその様に話しながら.....雪さんを見る。
雪さんは俺に笑顔を見せていた。
それから.....俺の出したテストに集中する。
テストは数学やら英語やらの苦手部分を抑えた感じだ。
そして雪さんの苦手を無くすのだ。
「いー先生」
「.....なんだい?」
「いー先生に恋をして良かったです」
「そうか。有難う。俺も雪さんに恋をされて嬉しかった」
「アハハ」
雪さんと俺は勉強をし合う。
因みに春香ちゃんと照魔君はこの間、戸惑いの中一緒に居た様だった。
公園で、だ。
これも雪さんの作戦の様だったが。
思いつつ俺は色々有りながらのそのまま雪さんと共に勉強を終えた。
それから春香ちゃんと照魔君を探す。
さてどうなっていくのか、だな。
考えながら俺は公園で紅潮している春香ちゃんなどを見ていた。
面白くなってきた気がする。
頑張ろうかな。
幸せの為に。
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