矛盾

「俺を首にしてください」

会議場に凛とした空気が張り詰める。

警察官になってまだ何年も経たない新人刑事の言うことである。

皆緊張した。そうでない者も。いずれも彼の言葉が聞き入れられぬことを示唆した。

「俺を首に…してください」

決意を新たにするように言葉は発せられた。

実際には何も改めはしなかった。

現在は会議中である、と誰かが言った。会議中ゆえ発言権を持たぬものは常に無視されると。その諫言が、声色が、言葉が、視線が、前例が、新人の全てを否定していた。

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