クレイジー・ダイヤモンド:ダーリン・ダイアモンド( 決戦前)

「ケジメをつける余地はあるな」


「このままじゃあまりにもかわいそうです」


「オレが行く」


「無駄だ。君では為すすべもなく殺される。

俺が行くしかあるまい。なにより適役だろう」


「適役スか。

今度ばかりは止めます。そんな人斬り包丁で何が出来るっていうんです。

相手はダイヤモンドそのものです。なんでも切れる日本刀でもダイヤは切れない。

切れないからダイヤモンドなんです」


「…やけにシリアスだなみんな。

なんか悪いものでも食ったか」


「こっちのセリフなんだが。

…ダイヤモンドって割れやすいんだろ。だったら拳は剣より強しだ。

ここはおとなしく俺に出番をくれ」


「双葉くんの話を聞いてないな?

おっしゃるとおり、ダイヤモンドの語源はその絶対性を語っている。

ダイアモンドは絶対に砕けない。ダイヤモンド・ネバーブレイク本来ならば我々の太刀打ちできる相手ではない。」


「こっちのセリフなんだが…」


「待って下さい

…『本来』って今言いましたよね?

本当に勝てるんですか。彼女は今でも、傷ついていてもダイヤモンドなんですよ」


「心配するな。いつものように言ってくれ。

我々が、正義だと。」


「…フッ。

それじゃサムライじゃなくてまるで騎士ですね」


「えっ、サムライだったのか?」


「…その奔放な脳みそなんとかならんかね。

まあいい、我が愛しの王女たちマイリトルプリンセス。俺が騎士ならば名誉のために見送ってくれるな?」


「なあ今すげえバカにされた気がするんだが」


「気じゃない気じゃない」


「なんかもう騎士でもサムライでもないですね所長」


「さよう。単なる愚か者だ

しかし愚者こそが王を討つ。ならば騎士を討つのも難しいことではあるまい。

なにより、高潔であること。それが最大にして唯一の足かせになりうる。

少なくとも、彼女にとっては」


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