第23話 棚岡隆也とハル先輩-3-

「どうこうもないってのが、ほんとそのまんまなんだけどなぁ」


たなりゅーにぼやく


「んでも、なんもあらへんくても、あのハル先輩が性別男と頻繁に行動している。それだけでみんな驚いてますよ」


ハル先輩が男と関わると言うと基本的に空手の道場の関係ばかり


学校では一切無いようだ、理由は分からないけれど


大方、関われば告白されるのがテンプレになって面倒なのだろう




バンド関連もハル先輩のバンドはガールズバンドで、他のメンバーもそんなに男とどうこうってのがない人達らしく、兄貴が仲良くなったのも異性の友達というより、兄貴たちのグループが主催するグループのライブイベントに声をかけて、変に女扱いしない兄貴をハル先輩が信用してそこから割と頻繁に、ハル先輩のバンドも出演に誘うようになったというわけで、友人とはまた少し違う関係のようだ。

兄貴自身も、ハル先輩を女友達ってより粋のいい1人の後輩として気に入ってるようで、性別を気にしていない。

それに兄貴には彼女もいるし。


そう考えると、空手も音楽も関係ない僕がハル先輩といるのは確かに不思議なもんだ


「弟みたいに思ってるーみたいなくらいのもですかねぇ、でもなんかちょっと違う気がするんですけどねえ」



「んー、兄貴の弟だから、良くしてくれてるんじゃないの?」


「雪君が妹ならなんの疑問もないですけど、男は男ですからね、まあ確かに弟キャラ感ってのもあるのかもしれません。まぁその辺はハル先輩のみぞしるってことでっしゃろ。あくまで俺が見てて思った勝手な直感ですけど、それとはなんか微妙に違う気がするんすよね。なにか具体的には分からんすけど」


でも、とたなりゅーは続ける


なんにしても、凄まじく不可思議な事であると



モデルやってるやつ、そこそこ地元じゃ人気あるバンドマン、格闘技やってるやつ


みんな玉砕どころか友人にさえなれない


男嫌い説が出ているくらいのもんなのだから



「ハル先輩に、1番近い戸籍上男は雪君。それは紛れもないものですよ」


「やめろよ、なんかそう言われると変に気にしちゃうじゃんかよ」


「こんだけハル先輩と居て今まで何も気にしてなかった雪君が不思議で仕方ないっすね俺は」


男女関係においてはたなりゅーのが経験あるし、こいつに言われるとなんか的を得ている気がしてどうもむず痒い


1つしか変わらないのに、中一にして170mをゆうに超える身長に大人びた雰囲気、恋愛経験あり

バスケ部のモテ男たなりゅー


親の仕事の都合で関東と大阪を行き来している

地元大阪から小学生になる時こっちに来て、5年生の時に戻るも、中学入学と共にまた関東に戻ってきた


はじめにこっちにきてからの付き合いだからもう8年か


だからこそ、たなりゅーの言うことが妙に残る



いや、まさか



そう思いつつもその日から少しばかり僕の心境は変わっていった


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