第16話 爆薬大剣使いと魔法槍士

最近色々目まぐるしいので、気分転換に訓練場で対戦の訓練をすることにした。

相手は珍しい魔法槍士。魔力で4m程の槍を作り出す相手だ。


風の槍は、相手を吹き飛ばす。

火の槍は、相手の武具を壊す。(対戦の訓練ではマナー違反で使えない)

水の槍は、相手を単純に濡らす。

土の槍は、兎に角、一撃が重い。

そして、雷の槍は、槍を含め自身の動きが兎に角速くなる。


といった、具合だ。

相手の魔法槍士は、先ずは風の槍を創り出している。どうせ、途中で属性を変えるだろう。

対するオレは、小回りの効く、刃の反対側に20発爆薬がセットされてある自動装填型の連爆式

爆薬長剣二刀流だ。

刃は斬れないように、ラバー素材でコーティングしてあるから安全だ。


が、まあハッキリ言って分が悪い。

というか、魔法槍士というのは、こと対戦、対モンスターにおいて、どちらもチートな

能力を発揮する。弱点は防御がほぼできないということ。

近付かれたら、なすすべがない。だが、それを補って有り余る攻撃手段がある。


まず、この魔法槍士の力量を見たい。攻撃、一撃ごとに属性を変えてくる上級者か、

それとも、属性を固定してどっしりと闘う慎重派か。


ということで、小手調べに仕掛けてみる。

間合いを詰めようとしたら。案の定、風の槍で後方へ吹き飛ばされた。

3秒程フワッと空中へ浮き上がり、1m程後方へ飛ばされた。

のだが、空中に3秒も浮かされるとは、想定外だ。

この魔法槍士の槍の効果は凄まじい。

最初だから様子見で攻撃されなかったが、次はくるだろう。二刀流にしといてよかった。


もう一度、間合いを詰め、また、吹き飛ばされたが、オレは空中で爆薬長剣を

天井へ向けて爆発させ、無理矢理着地する。相手の魔法槍士は、雷の槍に持ち替えて、

疾風のごとく、間合いを詰め(バカッぱや!)ている途中で、オレは、

カウンターの間合いに誘い込むことに成功。爆薬の残りを気にせず

ここで仕留めるつもりで、攻勢に転じる。


魔法槍士は急いで風の槍に持ち替えて、オレを吹き飛ばして迎撃するが、

オレは今度は、相手の槍士の方に、自分が吹き飛ばされるように、

爆薬長剣を連爆させて、空中でその勢いのまま爆薬を使った連撃を繰り出す。


相手の魔法槍士はパニックになり、雷の槍に持ち替えて捌こうとするが、

二刀流を槍で捌けるはずもない。

オレは爆薬長剣を連続起爆させまくって乱舞を繰り出しながら着地。

オレの空中殺法が決まり、勝負あり。


《ありがとう、魔法槍に少し憧れてしまったよ》

「強かったです。あっという間でした」

《あんなに、空中に浮き上がるなんて、焦ったよ》

「はは、まさかあんな返され方するなんて、思わなかったですよ」

《また、闘ったら負けてしまうな》

「実戦だったら一発勝負ですから、または無いですよ。

 負けた自分が言うのも変ですが。」

《そうだな、それもそうか》


ほんの少し、魔法槍士に憧れてしまったオレである。

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