第15話 ハールくんとコミュ修行

〈ルッツォさん、僕に修行をご教授下さい〉

《はい??》

〈この前色々教えて貰ったときに、僕には圧倒的に実地訓練が足りないなと

 思いまして。〉

《う、うん、(大丈夫かな、、)》

《えと、じゃあ。何からいっていいものか。》

〈何でもやりますんで、どうぞ言ってください〉

《えーと、何か悩むけど、オレが色々試してた時に、やったことを

 やろっか。》

〈はい〉

《これが正解ってわけじゃなくて、あくまで経験を増やすのが目的だから。》

《じゃあ、早速、軽めの、お会計すんだ際に、相手の顔を見ながら少し笑顔で

 「ありがとうございます!」って言おうか。だいたい三分の一位の人は

 笑顔を返してくれるから》

〈分かりました、その位余裕です。行って来ます〉


~とある雑貨屋~


〈お会計お願いします〉

"はい、100ゴルになります"

〈はい〉

"100ゴルちょうどですね""ありがとうございました"

《ぁ、ぁりがとぅござぃます〉

カランコローン


  ~ルッツォ~


《近くで見てたけど、イマイチ》

〈は、はい〉

《チラ見じゃなくて、顔を真正面に向けて見ないと》

〈は、恥ずかしいというか、、〉

《最初はそんなもんだよ、タイミングとしては、

 お釣りを受け取った後の瞬間に相手の顔を見て、

 少しはにかむ位の笑顔で「ありがとうございます」って

 ハッキリとかな》

〈僕には難易度が、、〉

《大丈夫だよ、今度からはオレも付いていくから。

 こうゆうのって、一人でやろうとすると、邪魔がいくらでも入るから、、

 これからはツーマンセルにしよう。》

〈心強いです〉

《じゃあ、早速いこう。ダメなら次!次!》

〈は、はい〉


~とある小道具屋(魔法)~


〈これ、お願いします〉

"はい、150ゴルになります"

〈お願いします〉

"50ゴルのお釣りです"

〈ありがとうございます!〉

"ありがとうございます!(ニコ!)〉

〈(ニ、ニコ!)〉


カラランコロロン


  ~ルッツォ~


《上手くいったね、どうだった?》

〈はい!なんか、相手がニコッてしてくれたら、自然と僕もニコッて

 なりました!〉

《それそれ、そういうのが大事!》

〈はい!〉

《後、鼻毛切ろっか、、鼻毛なんか出てたら、折角の笑顔も冷めちゃうし、、》

〈?!は、はい!〉


~ハール、鼻毛~


〈痛!痛!〉


  ~ルッツォ~


《じゃあ、次は、さっきの小道具屋(魔法)のお姉さんのニコッ!、で

 調子が出たから、違うお姉さんにつなげてみようか。》

〈??〉

《起きて最初の一発目って、リセットしてゼロの状態みたいなものだから、

 テンションも安定してなくて、変なテンションで、変な態度とっちゃう

 ことが、あるんだよ。》

《だから、さっきみたいに、調子を出してから、失敗したく無い相手と話す

 んだよ》

〈分かるような、分からないような〉

《まあ、とりあえず、実践!実践!》

〈はい!〉


~とある雑貨屋2~


〈すみませ~ん、これください〉

"は~い、110ゴルです"

〈150ゴルでお願いします〉

"はい、40ゴルですね~"

〈ありがとうございます!〉

"ど~も"


~ルッツォ~


《どうだった?なんか滑らかに話せたね》

〈はい、自分でも恐ろしい位に自然と言葉が出てきました〉

《そだね、これが調子を出した効果だね。今回、店員さんはニコッと

 してくれなかったけど、それでも、いい感じだったよ》

〈はい、自分でもこんなにスラスラ言葉が出てくるとは、驚きです〉

《じゃあ、こんどは可愛い店員さんで試そっか》

〈は、はい!〉


~とある可愛い店員さん~


〈お願いします〉

"いらっしゃいませ"

"一点、二点、三点、以上三点で、300ゴルになります。"

〈500ゴルでお願いします〉

"はい、お釣りが200です"

〈ありがとうございます!〉

"はい!ありがとうございます!"


カッラランコッロロン


  ~ルッツォ~


《良かったね》

〈はい!可愛い人の笑顔がこんなに嬉しいなんて〉

《まあ、今回は、店員さんっていう認知が相手にあったから対応してくれたけど、

 そういうのないと、途端に愛想がなくなるから気をつけてね》

〈は、はい!〉

《(だ、大丈夫かな?)》

《あと、再々行くと気まずくなるから、10日に1回~2回にした方がいいかな。》

〈なるほど〉

《ルウもナリスもパーティーメンバーっていう認知があるから、

 これの延長で出来るはずだよ。こうやって他人の人への依存を増やすと

 同時に散らしておけば、色んな人と話すことにになって、いいんじゃないかな?》

《まあ、基本はこんな感じかな》

〈まだまだ、基本だったんですね〉

《これって、いわば、自分のペースでやってるから。

 相手のペース(苦手な人)で流れの中で受け答えするのも最小限必要で、

 自分のペース(話しやすい人、比較的好きな人)、相手のペース(苦手な人)、

 どっちも練習しといた方がいいかな》

〈はい!!〉


《(自分のペース{好きな人、話しやすい人}は、ポジティブに、

 相手のペース{苦手な人}は、ホントに、ほんの少しネガティブ気味に話すのが

 コツっていえばコツなんだけど、

 まだ、ハールには、早そうだな。)》

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