習作200120 レビューサイト「イッツ・ア・フィクション」4月1日のエントリより

<ヨーク・シャーク・テリア>2021年、PG-12、89分

イプーンス・スタネップ監督、チャーリー・B主演


 2019年夏の前作「沈黙のチワワたちの沈黙」で、イプーンス・スタネップ監督は、アングラサイトにミームの種を提供しました。しかし残念ながら、一部のファンたちを熱狂させた前作のタイトルは、本作の結末を予言するものになってしまったようです。

 中華料理店では、サメのヒレだけを切り取って高級料理に仕立て上げ、残りの部分を捨ててしまいます。ヨーク・シャーク・テリアは、まさにその残りの部分のような映画でした。しかも、その残りの部分には、サメのキバさえ残っていませんでした。

 観衆は、多くの価値あるもの、あるいは、多くの価値のないものを求めてサメ映画を見ます。価値あるサメ映画であれば満足感が残りますし、価値のないサメ映画であれば、「サメ映画らしいサメ映画を見た」と友人たちに自慢できます。サメが全く映らなくても、話の種になるでしょう。

 しかしそのサメ映画がサメとテリアが手を取りあう理想郷を描いた法廷宗教ドラマである場合、話が全く変わってきます。

 本作では、ヒレを捨てたサメと長い毛を捨てたテリアが、人間に煩わされない理想郷を作るためにエクソダスの準備を進めます。そして、彼らは、彼らのエクソダスを阻止しようと襲ってくる客家系のコックやドッグブリーダーたちを法廷闘争で打ち倒し、ついにヨーク州にあるサメとテリアの楽園「ヨーク・シャーク・テリア」にたどり着きます。

 本作を貫くコンセプトは、「パターンの破壊」です。しかし、彼らはやりすぎて、サメ映画として最低限守るべき視聴後の虚しさまで破壊してしまいました。あなたがハイビジョンでこれでもかと映し出されるフカヒレ料理に満足できるタイプのサメ映画ハンターでなければ、おすすめしません。

0.5★/10★


<ゴースト アカシックレコードの盆踊り>2021年、R-14、108分

柳生ポンペイウス監督、明石たこ焼主演


 タイトルとレーティング設定で非常に損をしている隠れた低予算良作。天地開闢のときからの縁で結ばれた幼馴染たちは、盆踊りの練習で互いへの想いに気づくが、やがて二人に悲劇が訪れる。良作であり本サイトの趣旨から外れるため、結末は、映画館で見て確かめてください。

8★/10★

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