第16話 サントーンの街での支援

 大鍋2つ分のスープをぐつぐつ煮て作っていると、色々な人がお手伝いやお礼を言いにに来てくれて沢山声を掛けてくれる。


 それだけでとても心強かった。自分が出来る事をやれて良かったと本当に思う。そう思っていると、スープが出来たので、くっきーにアイテムボックスに仕舞って貰って商業ギルドの地下へ向かう。


 さっきみんなが飲んでいたカップを色々な人達が洗ってくれて準備をしてくれていた。


「わぁ、みなさん。ありがとうございます! 商業ギルドの方へ行ってきますね!」


「私達も一緒に行きます! お手伝いさせてください」


「ありがとうございます。とっても助かります!」


 くっきーを抱っこして、とてとてっと走って商業ギルドに向かう。商業ギルドの地下にも怪我をした人達の姿が沢山見えた。怪我が治りますように。元気になりますように!


「ジークさん、レイナさんっ!」


「サラ様っ!」

「サラ様!」


「スープが出来たので、怪我をしている人達から飲ませてあげてください!」


「「はっ!」」


 くっきーにスープを出して貰って、お手伝いしてくれる人達にも怪我をしている人達にスープを飲ませてあげてくれるように頼んだ。私は動ける人達が並んでくれるのでスープをよそって渡してあげる。


 こっちでもスープを飲んだ人達が元気になっていっているみたいだ。良かった! 元気になった人達がまたお手伝いに来てくれる。全員に配り終わるのも凄く早かった。


「くっきー、他にも怪我をした人はいる?」


『もういないと思うくまよ。みんなサラのスープで元気くまよ』


「良かったぁ」


『ポーション作らなくてもみんな元気にしちゃうなんて、サラは本当に凄いのくま!』


「そんな事ないけど、みんなが元気になってくれて嬉しいよ。でもこれじゃご飯足りないよね?」


『そうくまね~』


「だから、お肉焼いたりしようと思うんだけど、屋台の鉄板とか借りられたら良さそうだよね?」


『あっ、それは良いくまね! まずはジークの所に行くくま?』


「そうだね。相談してみよう!」


 まずはジークさんに相談しよう。きょろきょろと探すと、少し先にジークさんを発見した! とててーっと走ってジークさんの所へ向かう。


「サラ様、どうかなさいましたか?」


「えっと、みんなスープだけじゃ足りないと思うので、お肉とか使える食材でみんなのご飯を作ろうと思うんですけど、屋台とかの鉄板があれば借りたいなと思って!」


「なるほど。確かにもうすぐ夜になりますし、食べて寝た方が明日元気に動けますね。ギルマスが居たので頼んでみます」


「はい、よろしくお願いします」


「サラ様はまた先ほどの調理場で作りますか?」


「うーん、広い場所に作業台があればその方が動きやすいんですけど……」


『サラ、作業台はぼくが魔法で作るくまよ。任せてくま!』


「わぁ、さすがくっきー! 場所はどこがいいかな? 鉄板で焼くなら外だよね」


『そうくまね。外に行ってみるくまよ!』


「じゃぁ、ちょっと外を見てきます!」


 くっきーを抱っこして外に出てみると、色々壊されていてなかなか難しいなぁ。きょろきょろ辺りを見ると、冒険者ギルドの前の広場がちょうど良さそうだ!


「くっきー、あそこはどうかな?」


『あっ、いいくまね!』


 くっきーが魔法で広めの作業台を出してくれた。そこに材料を色々出してくれたので、お料理を始めよう。しかし、これ風が吹いたらダメじゃない?! と思っていたら、くっきーが結界魔法を掛けてくれた。これで衛生問題クリア! さすがくっきー!


 うーん……お肉だけ? 他の材料はそんなに大量にはないな……どうしようかな。


「あの、サラ様?」


「えっ?」


 声を掛けられて振り返ると、さっきお手伝いしてくれた人達が居た。


「あの、何かお手伝いできる事ありますか?」


「わぁ、ありがとうございます! さっきのスープじゃ足りないから何か作れないかなと思って作る所だったんです。お手伝いしていただけるととっても助かります!」


「また汁物でも良いですかね?」


「身体が温まっていいと思いますよ」


「よし、小麦粉のお団子いれよう! そしたらお腹いっぱいになるかも!」


「おだんご……ですか?」


 くっきーに大きな容器を出して貰って、そこに小麦粉とお塩をちょっと入れてお湯を入れて貰ってこねこねこねこね……。みんな不思議そうに見ている。これを繰り返してみんなの分になりそうなくらい作っていく。


 後はお肉を切って貰ってハーブとお塩、胡椒で味を付けて貰う。その間にお野菜を切って大鍋5つ分で作っていく。


(うわぁ、大量でちょっと楽しい!)


 スープが煮えてきたらお団子を食べやすく平べったくして入れていく。小さい子が食べても大丈夫なように平べったい方が食べやすいだろう。


 他の人達も興味津々に見ていたけど、一緒にお団子を作って入れていってくれる。


「サラ様、鉄板を借りられましたのでここら辺に設置すれば宜しいですか?」


「はい、お願いします!」


 ジークさんの後ろにガタイの良い人達が沢山いるけれど、どうしたんだろう? と思っていたら、鉄板の設置をしてくれるんだそう。


「すごい、鉄板が軽々と!」


「ふふっ、サラ様は可愛いらしいですね」


「えっ!? そんな事はないですよー! っていうかサラって呼んで下さい。様はいりませんよ~!」


「サラ様はサラ様ですわ!」


(いやいや、どういう事!?)


 ジークさんの後ろに居た人達が鉄板を置いて、更に火も起こしてくれている。うん、凄く助かります!


 お肉はくっきーのアイテムボックスに大量にあるので、いっぱい焼いちゃうぞー!


「この人数だと、お肉がどれくらい必要なのか全然検討が付かないね」


「ふふっ、そうですね」


『そうくまね~。いっぱい焼いておけば良いと思うくま! お肉が余ったらぼくが持っておくくまよ』


「そうだね。いっぱい作っちゃおう! いっぱい食べていっぱい元気になって貰おうね!」


「サラ様、本当にありがとうございます」


「いえいえ、お料理作っただけなのであんまり気にしないでください」


「サラ様、少し良いですか?」


 みんなに任せてくっきーを抱っこして少し離れた所でレイナさんとお話をする。


「今王宮に連絡を取りまして、こちらに食材や支援を運んでもらう事になりました」


「わぁ、良かったです! お肉はくっきーが持っているけれど、野菜をどうしようか困ってたんです!」


「ふふっ、良かったです。それで数日こちらに滞在をして、街の復興と南にある山の浄化をお願いしたいと陛下からの伝言です」


「そういえば、街の浄化は終わったけど他がまだでしたね……忘れてました」


『分かったくまよ~』


「多分、南の山にも大量の魔物がいると思われます」


「そうですね。明日はそちらに行ってきましょうか」


『行くくまよ。全部浄化してきちゃうと良いのくま!』


「くっきー様、サラ様。よろしくお願い致します!」


 その後はまたお料理に戻って、鉄板で焼くのは屋台をやっている人達がやってくれる事になったので、お肉を渡して焼いてもらう事になった。鉄板の位置が高めだったので、とっても助かります!


 私はスープをお皿に入れて渡す役目です。今回は大鍋5個あるからいっぱい食べて下さいね~!


 みんなが助け合って、協力して仲良くご飯を食べる事が出来た。今日はまだ泊まれないので、それぞれ冒険者ギルドと商業ギルドの中で泊る事になった。


 私はどこで寝ようかなぁ。お外でくっきーに抱っこして貰おうかな。あれ気持ちいいんだよね~、幸せなふわふわが待っている!


「くっきー、私達は外で寝ようか?」


『そうくまね。ぼくが大きくなるとみんなびっくりしちゃうくまね』


「うんうん」


「サラ様、どうしました?」


「どこで寝ようかと思って、くっきーと外に行こうかと」


「なるほど。あのくっきー様は気持ちよさそうですからね」


「そうなんです!」


「では、こちらで寝るのが良さそうだと思います」


「ありがとうございます!」


 くっきーに抱っこして貰って、横になるとすぐに眠くなった。


「くっきー、ジークさんおやすみなさい」


『おやすみくまよ』


『サラ様、良い夢を』


 くっきーのふわふわもふもふで、疲れていた私はぐっすりだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る