第3話 オペラは長い 弐

「はーい。皆さん、こんばんはぁ」


「こんばんは」


「うわ!また続いてるよ」


「何度も驚かないで下さい」


「だって、あのズボラでいい加減でメンドクサイ北浦十五なのよ!」


「それに関しては私も同感です」


「あら? 珍しくツッコマナイのね」


「考えてもみて下さい」


「何を? 」


「我々は、ここにしか存在しないんですよ」


「・・・・・」


「この連載が終わったら私達はどうなるのでしょうか? 」


「・・えーと。存在の消滅? 」


「正解です」


「ちょっと!怖い事言わないでよ」


「事実を言ったまでです」


「ふん!そんな事にビビるアタシじゃないわよ!」


「おや、逆ギレですか? 」


「てやんでぇ!そんなもん怖がってアタシをやってられっか!」


「ほう、そこまで言うからには何か妙案でも? 」


「アイツの秘密をバラシてやる!」


「な!それはつまり」


「そうよ!○○が○○で○○な事、全部ムガムガ・・」


「皆様、少々お待ち下さい」


37分19秒経過


「はーい。皆さん、お待たせぇ」


「お待たせしました」


「あら? 何か記憶が飛んでるんだけど」


「細かいコトは気にしないで下さい」


「ま、そうね。えーっと。何の話だったっけ」


「オペラを観てきたとか」


「そうそう。学園祭でビゼーのカルメンを観てきたのよ」


「楽しかったですか」


「うーん。まぁ、芸大の学生だからオケはまずまず上手いし」


「ほう」


「金管でヘタるとこはあったけど。役者も声楽課の学生だから上手いわよ」


「衣裳とか舞台装置は? 」


「それはまぁ、本物みたいには行かないけど気にはならなかったわ。ただね」


「何かご不満でも? 」


「オケとか歌には不満は無いのよ。もっと根源的なものなのよ」


「また難しい言葉を・・薬の量が多過ぎたかな」


「ん? 何の事? 」


「いえいえ、何でもあーりません」


「露骨に妖しいんだけど? 」


「おほん。それでその根源的なものとは? 」


「長いのよ」


「は? 」


「長いの!上演時間が」


「はぁ」


「休憩入れて3時間以上あるのよ」


「それは・・長いですね」


「でしょお。知ってる曲は最初の方にやっちゃうし」


「ふうむ」


「1番盛り上がる闘牛士の歌は、前半の休憩の前よ」


「それは、つまり」


「そう!後半がクッソ長いの!」


「それはキツイかも知れませんね」


「キツイなんてもんじゃないわよ。カルメンが殺されるトコなんて30分もやるんだから」


「それは確かに長いかも」


「ホントにそう。観てるお客さん全員が思ったに違いないわ」


「何を? 」


「早く殺せ!」


「さもありなん」




オチてないかも・・・・・知れない


オチてなくても・・・・・気にしない



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る