エピローグ

ヤキの呟き


 命尽きてから今日まで数十年が経過した私。その間様々な体験をしたけど、今回は特に異質。


 それでも旦那様が一緒だから楽しかった。向こうの世界で失われた数十年を過ごすも、最終的には彼のもとへと無事戻ってこれたのですし。まぁ、その瞬間の旦那様が見せた態度には少しだけチリっとしましたけれども。


 問題は転移に猫が絡んでいたことですわね。一瞬目があった時、ビビっと感じるものがあったんです。あれは恐らく幾千の転生を繰り返した末の……


 でも少し安心。この先私はずっと旦那様の御傍に居られるそうだから。え? どうしてそんな事が言えるのかって? ウフフ、それはヒ…ミ…ツ…。


 だけど少しだけ心が痛みますの。言ってもアオジョリーナ・ジョリ―村を壊滅に追いやった一端を担う私。いえ、決して悪いのは私だけではありませんことよ? これだけは胸を張って言えますわ。あのドーラやミラカーだって……。おっと、この場にいない者の悪口を言えばまた旦那様に嫌われるからこれぐらいにしておきましょう。


 それにしても運命とは時に非情なもの。今回とてあの悲劇を避けるために打たれた一手なのでしょう。となればこの先別の方法も考えられると思われますの。でもご安心を旦那様! このヤキ、魂が消滅するまではいつまでもいつまでも御傍に……嫌とは言わせませんよ? 尤も、嫌って言われても離れませんけど!


 今回の出来事を逃れられない業の意志により全て消し去られた旦那様。……とオマケ達。しかしそれが幸せというもの。あの出来事をズルズル引きずっても決していいことなどございませんしね。旦那様にはいつもニコニコ笑顔でいて欲しいとヤキは心から思っております。これまでも、そしてこれからもずっと愛してますよ旦那様。貴方の望むお淑やかな女性像を目指して頑張りますね。


 遅ればせながら夏休みをごゆるりとお楽しみあそばせ。あの早咲きのせいで枯れかかっている向日葵など気にせずに!




 あと、キモッチーだけは集団虐殺した事実(ヤキの思い込み)を胸に、永遠その罪の重さへと苛まされてほしかったですわ。ボケが……。

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