第22話
「ねぇ!これはなに?」
「これは…っておいリズ、沙月を探すんじゃなかったのか?」
俺たちが今いるのはショッピングモールだ。
「そうだけど…そ、そう!お姉様に何か買っていこうと思って!」
「いや、どこにいるかもわからないのにお土産って」
「だって…この世界に来て見たことないものばかりだし…気になって」
少し悲しそうに俯くリズ。
まぁ確かにこの世界のものが気になる気持ちもわかるがーー
「今は沙月を探すのが最優先だ。見つけたらまた見にこればいいさ」
「うん、わかった」
けどそうは言ったが…
「どうするの?」
「そうだな、さっき言ってた高校の近くに行ってみるか」
俺たちは電車を乗り継ぎ俺や沙月が通っていた高校へと向かった。
その時、電車の中でキャーキャーはしゃいでいたリズを見る周りの冷たい目線が俺には痛かった。
「懐かしいな」
高校を卒業して以来こっちには帰ってきてなかったからな
「ねぇねぇ!さっきの乗り物?って奴他にもあるの?」
リズはさっきの電車がえらく気に入ったのかさっきから電車のことばかり聞いてくる。
「そうだな…空を飛ぶ飛行機とか海を渡る船とか色々あるぞ」
「そんなのもあるの…魔法がなく遅れた世界だと思っていたけど、こんなに便利なものがあるなら…魔法なんて要らないわね」
「まぁ機会があれば乗るかもな」
そんな事を話しながら俺たちは沙月についての手掛かりになるような状況が手に入らないか…こっちに住んでる友達などに連絡を取り合いにいった。
「はぁ」
結果は…どれも一緒でみんな口を揃えて「いい人だったけど、彼女についてはなにも知らない」と言うばかりだ。
最初の沙月は俺に依存するような人間ではなく普通…いや人の悪口なんて言わないし、彼女の悪口を言う人なんていないような善人だった。
「一回だけ…沙月に家に行ってもいい?って聞いた時…すごい嫌な顔されたことあったな〜」
そう言ったのは上地紗希(かみじさき)クラスでも沙月がよく話していた女子だった。
「それで?」
「うん、その後なんとか説得して家の前まで行ったんだけど結局入れてくれなかったな〜」
「家まで行ったのか!」
「うん…」
「場所覚えてたりするか?」
「覚えてるけど…なんで知りたいの?」
俺は彼女に沙月と付き合っていることそれでいて今彼女が行方不明になっていることそしてそれを探すための手掛かりを探している事を話した。
異世界については話さなかった。
まぁ話しても信じてもらえないしな。
携帯に地図を送ってもらい俺は沙月の実家へと向かった。
(リズは近くのネカフェで待っていてもらった一緒にいると時間とか掛かりそうだったしな)
異世界行っても元カノが一番最強でした… ゼロC @zeroc
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