第12話


「俺は確か…気を失って」

森の中、沙月が投げた魔族が頭にぶつかり気絶した。

目が覚めるとそこは宿のベッドだった。

「…」

まぁそれはいいとして…

「なんでお前がここにいるんだ?」

俺の目の前には椅子に座った魔族がいる。

「はぁ〜やっと起きたか…これだから人間は弱くて困る」小馬鹿にする様に鼻を鳴らす。

「何かすまん…ってだから!なんでここにお前がいるんだよ!」

「めんどくさいなぁ」髪を指で弄りながら喋り始める。

こいつ…一々やることが腹立つな…

話はこうだった。

まず、あの後一度ギルドに行き、今回のことについて話をした。

今後どう対策をしていくかとともに魔族の女の子をどうするか?と言う話になったらしい。

「殺されると思っていたんだけど…人間って馬鹿だよね…殺そうとした奴を助けるなんて…」

そう、結果的に助けるという考えに至り

「じゃあ、誰が預かるのか?」とその時ーー

「私たちが預かります」と沙月が言ったらしい。

沙月が?他人を助ける?なんでウザい魔族を?

彼女が自分の意思で誰かを助けたのに俺は素直に喜ぶ事が出来なかった。

ガチャ

俺の部屋のドアが開く。

「あ!お姉様。おかえりなさいです」

さっきまでの俺に向けていたウザい態度が急変し、猫撫で声で沙月に話しかける。

「リズ。ちゃんとともくんを守れてた?」

「はい!」元気よく返事をする。

いや、守ってはないだろ…

「というかお前の名前、リズって言うんだな」

俺が話しかけるとリズは俺にだけ見えるように不機嫌そうな顔をする。

「はい私の名前はリズ・アーラスです」

すげえなぁ顔めっちゃ不機嫌そうなのに声は甘えるような猫撫で声のまんまだ…

「ま、まぁそれはいいとして沙月なんでこいつを助けたんだ?」

「それはね。私が戦ってる時にともくんを守れる人が欲しかったからかな」

彼女が戦いながら俺を守ることも出来るらしいがやはり今後の事を考え、リズを仲間にすると決めたらしい。

「この子も私に忠実だしね。まぁは向かったら殺すからいいけど」

サラッと怖いこと言うなよ…

そんなこと言うから、ほらリズちゃん顔真っ青だよ。

「お姉様、冗談お上手〜」と棒読みで話したが。

「ん?冗談じゃないよ?」笑顔で言い返してくる。

余計…怖いよ

「ともくん…」

「ん?」

「これからどうするの?」

「そうだな…」

魔族、魔王軍、そして他の転生者今回俺たちは色々知る事が出来た。

やはり今後のことを考えると目標を作るべきか…

そして色々考えた末、俺が出した結論は…

「魔王、倒すか」

「分かった!」

別にこの世界の魔王に恨みがあるわけじゃないけどさ…まぁゲームとかでも魔王倒すのが目標だし…現状この世界で何をやればいいのか分からないし…魔王を倒す。

シンプルでわかりやすい目標となった。



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