第11話


「なんで、こんなことをしたんだ?」

ジークさんの魔法で魔族を抑えつつ、俺は質問する。

「何も知らない!」とそっぽを向くばかりで何も話そうとしない。

「はぁ〜」これだと話が進まないな…

「ともくんが聞いてるんだから…早く話しといたほうが身のためだよ?」

持っている武器を魔族へに向ける。

「ひっ!」とまぁ当然のように怯えている。

「落ち着いてくれ、沙月。そうだな、じゃあどうしたら教えてくれる?」

「……いいよ、教えてあげる。その代わり何個か質問に答えて」

「ああ、わかった」

まぁ質問ぐらいなら…大丈夫だろう

「そこの人を退けて二人は異世界人でしょ?」

「っ!そうだ…俺たちは召喚されてこの世界に来たんだ」

魔族から言われた異世界人、そうか…この世界の人たちからみれば俺たちが異世界人だよな…だがーー

「なんで俺たちが異世界人だとわかったんだ?」

「それは簡単、まず私を見てそこの人みたい怯えなかったでしょ。基本この世界の人は魔族を見るだけで恐怖する、なぜなら絶対に勝つことができないのが分かっているから…けどあなたたちは私を見ても何にも感じない様子だったしね」

「そういうことか」

俺からすれば、この世界に来て初めて見る、亜人…エルフや獣人、魚人など色々この世界にいるのかと思っていたが、普通の人間ばかりでそんな人たちはいなかったからな

ツノの生えた…魔族を見て恐怖よりも珍しさや驚きの方が大きかった。

まぁ恐怖とか怯えは…見慣れてるしな

「じゃあ、こっちの質問だ、何でこんなところにいたんだ?」

「それは、君たちに会いに来たんだよ」

「どういうことだ?」

この世界に来た時、俺たちは王国にいた…

何故、この魔族が俺たちの存在や場所について知っているんだ?

「簡単いうとね、そっちに私たちのスパイがいるの。その方がこっちに情報を流してくれてるの」

その方…という人は言い方的にこの魔族よりも地位が上なのか…?

「それで私は王国側の異世界人はどんなんだろうって見に来たわけ」

「ん?待てその言い方だとそっちにも異世界人がいるのか?」

「当たり前じゃん、王国でもできることが私たちにできないわけないじゃん」

もうこの世界には俺たち以外いないと思っていたが、他にも異世界人…いるんだな

「まぁ、結果は片方は化け物だったけど……もう片方は大したことなかったし」

あ、大したことないって俺のこと…やっぱり俺って弱いんだ…

「ねぇ…大したことないってともくんのこと?」

俺は心にダメージは入ったが、気にしないようにしていた…

だが、沙月が気づきそれに質問する。

「……」魔族は黙ったまま下を向いた。

「ちゃんと答えてよ!ねぇともくんのこと言ったの?ねぇ!」

沙月は魔族の足を掴み、持ち上げる。

「おい!沙月、待てっ」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

「何を?謝るだけじゃわかんないだけど…」

「すいません、彼氏さんのこと悪く言ってごめんなさい!」

「………やっぱ、いったんだ…じゃあ、これで許してあげる…」

そう言い、腕を曲げる。

まさか!投げ飛ばそうとしてるのか?

「待って!沙月…………って、え?」

沙月が投げ飛ばした瞬間、沙月が押さえていた、魔族の履いていた靴が脱げる。

…そしてその勢いで魔族が俺の方へと飛んできている。

「これ、詰んだ」

魔族が俺はとぶつかり、火花が飛び散る。


「沙月…」


「ともくん…ごめんね」


やっぱり、こうなるのか…俺はそのまま意識を失った。


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