第10話


俺は生唾を飲み込む。

今、俺たちの目の前で沙月と魔族の女の子が睨み合っている。

「え?お姉さん…今私を殺すって言ったの?」

「…」話しかけてくる魔族を沙月は無視する。

「無視…まぁ無理だろうけどね」

そういうと、手を振り上げ、そこに氷でできた槍が何本も現れる。

「もう死んでいいよ!」と投げるような動作をすると、氷の槍は沙月へと向かって飛んでいく。

それが沙月に突き刺さろうとした瞬間ーー

「邪魔」沙月が払いのけるように手を横にふる。

そして氷の槍は粉々になり、跡形もなく消えてしまう。

「へぇ〜消去魔法が使えるんだ〜やるね、お姉さん」

いや、さっきのはただ薙ぎ払っただけだと思うが…

沙月は武器を持っていない。

俺が彼女に「殺しちゃダメ」というと「じゃあ武器いらないや」と武器を捨ててしまった。

別に武器を使うなとは言ってないんだが…

そして先程の魔法も消し去ったのも手で薙ぎ払っただけだと思う。

魔族も「じゃあ、これならどう!」色々な魔法を使ってくる。

竜の形をした炎、漆黒の竜巻、蒼い稲妻全て彼女へと命中する。

だが、彼女には傷一つ付くことはなかった。

「なんで…まさか!君…素で魔法無効を付与してるの…」

いや、ただ体が頑丈なだけだと思うが…

「けど…私にこの技を使わせるなんてね…」

沙月の足元に黒い影のようなものが渦巻き始める。

「逃げないの?じゃないと死んじゃうよ?」

「…」沙月はその場から動かない。

あれは…流石にやばいんじゃないか?

影は段々と彼女を侵食していく。

「おい!沙月!」

まさか…さっきの魔法で…影響で彼女の身に何か起きたのか…?

俺は彼女に近寄り、触れようとした…

だが、影は彼女を完全に覆ってしまう。

「ははは、ほんとに逃げなかったよ…馬鹿だよね!」

沙月はほんとに死んでしまったのか…?

俺はまだ彼女を救っていない…

彼女を変えると決めたのに…

「沙月…」

「大丈夫だよ、君たちも同じとこへ送ってあげる!」

先程の氷の槍がまた現れる。

「じゃあね〜」

そしてそれが俺たちへと降り注がれる。

「沙月…ごめんな」

また次の世界…その時があるなら…俺はーー

バッリーン…何が割れる音がする。

「別にいいよ…ともくん」

「へ?」

俺の目の前…そこにいたのは沙月だった。

「なんで…君がさっき影に飲み込まれたはずじゃ…」

魔族は目を見開き驚いていた。

「ん?あれ?あんなの簡単に抜け出せれるよ」

「じゃあ!なんですぐに抜け出さなかったんだよ!」

「考え事してたからかな〜」

「考え事?何を考えていたんだ…」

「それは…今日どうやったらともくんと一緒に寝れるかなって」

「そんな……しょうもない事…を考えていたのか…」

「しょうもない事?」彼女の声が少し荒くなる。

「ああ、ほんとうにくだらないそんな事を考えながら私の魔法を受けていたの!?」

「じゃあ、私も一つ言っていい?」彼女がそう言った瞬間、その場からいなくなる。

「どこに行った!」魔族は焦りまわりを見る。

「上」と声が聞こえ、魔族は上を向く。

「ぐっ!」

その顔をグーパンチで殴られて、魔族は地面に叩きつけられる。

魔族は血を吐き、その場に倒れ込んだ。

そして彼女が魔族に吐き捨てるように呟く。

「さっきからお前の汚ねぇパンツをともくんに見せんな…毒だろうが」

沙月さん言葉遣いが荒いですよ…

もっと女性らしい可愛らしい感じで…

じゃないと読者さん減っちゃいますよ…

こうして俺たちは魔族を倒すのだった。







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