世界はちょっぴり変わったっぽい


城から出てくと城の外にナレーシャたちがいた


「勇者様、やりましたね!」

座り込んでいるウェイスが言った

「流石勇者……信じてたぜ」

ウモリも飛んできて肩にとまった

「みんなただいま。あれ、クマは」

ナレーシャが答えた

「先ほど消えちゃいました」

「えーと、戻すやつ!」

クマがスーッと戻ってきた

「クマ、ただいま」

「あ、生きて帰ってきたんだね……良かったよ」


「みんなで帰ろ」

パーティしなきゃ

ナレーシャが引き留めた

「あ、勇者様、待ってください。お願い事をしないと」

「え、なんだっけ」

「闇のドラゴンを倒すと神様が願い事をかなえてくれるんですよ」

そんなシステムだったっけ

忘れてた

そう思ってたら空が急に光った

空から声がした

「よく世界を守った・・・願い事をかなえてやろう」

「勇者様、神様です」

え、急

神様姿現さないんだ

ずっと空から話してくる

「願いは三つだ」

「んー、あたしケンジと結婚したい」

「……そんなのでいいの……?」

隣でクマが言った

神の声が聞き返した

「ケンジ……?」

「そ、めっちゃ頭良くてめっちゃすごいの。あたしの元居た世界にいるんだけど」

「本来なら異世界ではない者に干渉はしないが……仕方ない、ケンジをこの世界に召還してやる。告白すると良い」

ボワン

ケンジが現れた

手に英検ドリル持ってる

「え、何?ここどこ?え、たくさん外国人いるじゃん。え、お前なんでここに?」

ケンジめっちゃ困惑してる

ウケる

「俺勉強してたんだけど?何?ここ……」

困惑してる姿もかっこいい

さすがケンジ

あたしはケンジに言った

「今あたしドラゴン倒して神降りてきて願い叶うっぽい」

「何が??」

クマが前に出てきた

「あの、ボクが変わりに説明するとね……」


クマが説明するとケンジが納得した

「へえ、世界救ったのかよ」

適応力高い

さすがケンジ

「うん、なんか救ったっぽい」

あたしは改めて言った

「それでね、ケンジ、ここであたしと結婚して!」

ケンジが言った

「何度も言ってるけど俺英検の試験があるから」

「え、でもケンジ、この世界英検の試験はないよ」

「マジで!?」

ケンジ激ヘコみしちゃった

クマに聞いた

「どーしよ?ケンジどうやったら元気出る?」

「……元の場所に返してあげたら?」

「りょ、神、ケンジ戻して」

「願い聞き入れた」


ボワン

ケンジは戻った

クマが言った

「貴重な魔法の回数2個無駄にしたね……」

「最後だ。貴様の願いは何だ?」

あたしは考えた

「えーと、じゃあ、この世界にインスタ欲しい」

「インスタ……?」

「そ、なんかSNS?とかゆうやつ。いいねとかあるの」

「よく分からんがそれでいいのか?貴様先ほどから神の私が引くほどどうでもいい願いばかりだが本気でそれでいいのか?なぜインスタとやらがいるのだ?」

「だってあたし勇者になるよりいいねが欲しいんだもん。ただの女子コ―コーセーだから」

「……愚かな……よかろう。貴様が望むなら……」

空がカッと光った

空からキラキラしたやつが降ってきた

あ、スマホじゃん

触るの久しぶり

マジ懐い

「これで願いは叶えたぞ……」

こうして神様は去っていった


「やった、ここでもインスタできるじゃん」

あ、あたしのアカウント残ってた

みんなもスマホを持ってた

「私もなんかもらいました。このスマートフォン?というものですか?なかなか興味深いです」

「あ、僕のもあるんだ。使うのは初めてだな」

「勇者、なんだこの黒い鏡は?」

ウェイスのスマホ電源オフになってる


とりまあたしはみんなにスマホを教えるところから始めなきゃいけないっぽい

インスタへの道のり長そ


とりまあたしはみんなと写真撮ることにした



☆☆☆☆


あれから1週間が経った


「ここでなんか、この部分押すといい感じになるから上にやる感じで」

あたしはクマにスマホの操作をずっと教えてたけどクマはずっと首傾げてる

「分かりづらい……」

あたしが頑張って教えるけどみんな分からないっぽい

ウェイスがナレーシャに聞いてた

「おい、この画面にどうやってするんだ?」

「ここは設定画面にしてからこの項目を押してください。設定をオフにすればできます」

ナレーシャが独自に研究してみんなにやり方を教えてる

最近みんなナレーシャの方に聞いてる

ナレーシャはかなりマスターしてきてた

インスタも自撮りもすぐマスターした

「スノーで顔を撮ると顔がエルフ顔になりますね。不思議です」

エルフこんな顔なんだ


神がスマホ作ってくれたから街にはスマホ屋さんが出来たけど、みんなやり方分かんないからまだまだ流行る気配はないっぽい


あたしがスマホ見てたらインスタにメッセージ来てた


あ、ギルドの所長からだ

前に投稿したやつにメッセージ来てる

ドラゴン倒してから所長も認めてくれたっぽくて、あたしのことインスタでもフォローしてくれたし最近いいねもくれるようになった

「メッセージなんだろ」

ポチ

【この自撮りの場所はヘル・ラグーンかな?湖の近くに立って撮影しているけれどこの場所は危険だからみんな真似すると困るのでやめてほしい】

・・・よくクレームも来る

いい感じに撮れてたのに

ちえ

炎上したら困るからあたしはすぐに消した


あ、もう一件メッセージ来てる

ポチ

【JK殿~!今日も感謝感激!!d(゚Д゚)★スペシャルサンクス★(゚Д゚)b!ネットを作り上げてくれるとは拙者感激の極み゚+。゚ アリガ㌧ ゚。+゚】


うざ・・・


クマが言った


「ね、ねえっ!ブロックしても僕のもとにメッセージ届くんだけどどうしたらいいの?」

クマのインスタを見た

【クマたんはいつメイド服着るの?キボンヌ(;´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ】

オタクハッキングしてクマにメッセージ送ってるっぽい

ウケる

「着てあげればいいじゃん」

「嫌だよ!」


あたしたちがスマホをこの世界に作ったおかげでインターネットも出来たらしい

オタクがOちゃんねるってサイトを作ったらしくてインスタよりそっちの方が盛んになってるっぽい

あたしはよく分かんないからそっちはノータッチだけど

結局スマホを一番使ってるのはオタクとそのオタクのネット友達だけみたい


ま、いいやいつかあたしは有名なインスタグラマーになるつもりだから


あたしはウェイスに聞いた

「今日はどこ行くの?」

「北の洞窟のモンスターを倒しに行く」

ナレーシャが言った

「気を付けてくださいね、洞窟にいる冷え冷えグマは耳に触るとブチ切れますから」

まだ闇のドラゴンの影響で暴れるモンスターがいるっぽい

あたしたちはそれらを倒す旅を最近やってる


あたしたちは北の洞窟に出かけた


あたしはモンスターを倒して有名になってフォロワーを増やすことにしてる

旅をしながら近くの村に行ってスマホを渡して、ちゃんとフォローするように伝えてる

使いこなせる人も少しいるっぽい


道中で休憩しながらウェイスとスマホを見てた

ナレーシャのインスタ見てウェイスが言った

「……ナレーシャ、この世界でもうフォロワー100人いるのか。あいつモンスター情報発信をマメにしてるしな」

「ウェイスは?」

「俺は60人だな。勇者はもっと多いんじゃないか?」

「あたし10人」

「……フォローしてるのほぼ俺らだけだな」

思わぬライバルは仲間にいた

「でも最近勇者の投稿で流行った……えっとお前たちの世界で言うバズったってやつがあったんだろ?勇者の自撮りだったんじゃないか?」

「バズったのはあたしじゃなくてウモリ撮ったやつ」

「……そうか」

なんとなくウモリ撮ってインスタあげたらめっちゃいいね付いた

まさかのウモリ大人気

ここにもライバルがいた


まあでも、みんなでどっか行って冒険するの楽しいし?

こういう生活も悪くないのかも

もっと活躍すればフォロワー増えるかもだし

とりまあたしはこの世界で一番のインスタグラマーになるつもり

そんでまた神呼んで次こそはケンジと結婚する

よっしゃ、がんばろ


あたしはスノーで自撮りをした

結構盛れた

ハッシュタグ付けて投稿しよ


♯最強のいつメン

♯世界守るカラ

♯今日もハッピー




あ、いいね5件付いた




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