第2話

 ”人は石垣、人は城、情けは味方、仇は敵なり”


 これは信玄がのこした名言である。


 しかし、これが真実かもしれない・・・



 「御屋形様。」


 「なんじゃ。」


 「上杉政虎(後の上杉謙信)が出陣した模様です!」


 「ふむ、兵力はいかに。」


 「敵兵力、およそ2万!」


 「・・・・・・。」


 武田家に危機が訪れた。

信玄の宿敵、上杉政虎が大軍を率いてやってくるという。


 「御屋形様、このままでは敗れてしまいます!」


 「落ち着け、わしに秘策がある。」


 「え・・・。」


 信玄の秘策、それは人は石垣~に則った秘策であった。



 「御屋形様!?」


 「どうした昌景、そんなに驚いて。」


 家臣の山県昌景が目の当たりにしたのは、巨大なお城である。

 

 「あの石垣はまさか・・・。」


 昌景が驚くのも無理はない。

なんと、石垣が人々で出来上がっているではないか。


 「ほら、重いぞ!」


 「なんで相撲取りが上の方にいるんだ!?」


 「配置がおかしいだろ。」


 国民たちが組体操のようになって石垣を形成していた。


 「えーっ、この上にお城が乗るんですか!?」


 「重さに耐えられませんよ!!」


 当然、上に乗るお城も人である。



 「人は石垣、人は城とはこのような意味でしたか・・・。」


 「このような意味って、そのままではないか。」


 「いや、しかし・・・。」


 石垣の上にお城が乗ると、石垣の者たちの表情が苦しくなる。


 「これでは、情けがないではないですか。」


 昌景の一言に信玄は、


 「あ、情けは味方~を忘れてた。」

 「てへっ」


 ドテーン!!


 と音を立てて城は崩れ去ったのだった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る