第17話 想う人あらば盾となるべし。
まずい! あいつが本気出したら骨の1本や2本じゃすまない!
そう思うと反射的にあたしも駆け出していた。生明さんと
あたしはスタートが出遅れていたけれど、必死な時って思った以上にやれるもんだな。なんとか初美に追いついて下半身にタックルをかけた。ただ、本気になった初美を取り押さえる自信はなかった。すぐ起き上がると初美を
全員に緊張の糸が張りつめている。怖くて身がすくむ生明さんと
鬼の形相ってこういうんだな。
初美、あたしの事で苦しくて苦しくて鬼になっちゃってるんだ。そう思うと私も本当に苦しくなってきた。
私はその前でゆっくり両手両足を広げた。生明さんを守りたい気持ちと初美に暴力をふるわせちゃいけない気持ちでいっぱいだった。初美に本気で打ち込まれたらあたしだってただじゃすまない。冷たい汗が首筋から背筋を伝う。とにかく今の初美は尋常じゃない。何をしでかすかわからない。恐怖が走る。
「……どいて」
アンドロイド兵が持つ零下七十度の単分子ナイフのような鋭利で冷たい初美の声にあたしは改めて背筋が冷たくなる。生唾をごくりと飲んでようやくあたしも声が出せた。
「どいたら、そのあとどうするの」
「
初美は瞳の光まるで氷のようだ。
「関係ある。だからどくことはできないよ」
あたしがなんにも気づけないバカだったから初美をここまで追い詰めちゃったんだ。そう思うとなおさら今引き下がるわけにはいかないと思う。意地がぶつかり合う。
初美が冷たく燃える目で突きの構えをとった。
※2021年1月30日 誤記を訂正しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます