第3話ボーイとガールがミートしたら冒険に出るのが筋①

 まぁそんなわけで、八乙女夏月やおとめかづきによって悪評を流されているとはつゆ知らず、俺は空から降りてきた美少女を保健室に運んでいた。もちろんいつ起きてもいいようにお姫様抱っこで…。


「失礼しまーす!」


 俺は中にいるであろう百香先生に向けて元気よく挨拶してドアを開ける。そこには当たり前のように誰もいなかった。


「まぁここにはいないよな。」


 俺はそう呟いて薬品だなの角にある滑り止めを足でおす。


「カチッ」


 音を立てて棚が横にスライドする。いや、ほんと隠し部屋って手が込んでるよな。ていうか、学校にこんなのどうやってつくるんだよ!


「百香せんせーい?いませんかー?」


 部屋の中には怪しげな道具が並んでいる。明かりは蝋燭だけのようである。


「この道具が、SMプレイ用のものだったらいいのになぁー、黒魔術よろしくって感じだんもんな。」


 そんなことを呟いていると後ろに気配を感じる。


「あらあら、城隍くんはそういうことにきょうみがあるのねぇ〜。」


 そこにはショートカットで妖艶な笑みを浮かべた白衣の美女、大人の魅力ムンムンの我らが百香先生が立っていた。因みにスパッツは黒である。


「そんなことあるわけないじゃないですか〜。」


 僕は必死の抵抗をする。ど変態だと思われたらこれから先、生きていけない。


「あるわよ、」


 え?今なんと?


「だから、そういう道具、あるわよ。」


 先生が耳元で囁く。え、あるんですか?そ、それなら…※自主規制。


「で、きょうは何しにきたのかしら?」


 ワンバンボールで撃ち落とした美少女を運びにきましたとは言えない。


「え、えーと…女の子がちょっと気絶しちゃったのでその子を運びに。」


 百香先生が美少女の様子をかくにんする。


「うーん。この学校の生徒じゃないようね。」


 そうなんですよ〜。おまけに空飛んでて〜、服装もおかしいんです!

 しかし、先生はそれ以上興味が湧かないようで診察をしている。


「どうやら気絶しているだけのようね。少ししたら目を覚ますと思うわ。それにしても、こんな可愛い子どこから連れてきたのかしら。」


 うふふ、と笑いながらこちらを見てくる。


「そ、そんなことより!先生何してたんですか?」


 だいぶきつい話題の転換だが、ちょうど話したいことがあったようだ。先生は、嬉々として話し出した。


「ちょうどさっき新薬の生成がおわったの!副作用を確かめたかったから来てくれてよかったわ〜。でも、この娘の気絶程度じゃ使えないし、どう?城隍君、瀕死になる予定とかない?」


 ないです。そんな予定ないです。僕は今までもこれからもずっと元気満々です。ていうか、瀕死になった時にしか使えない薬ってなんだよ!


 と、まぁ僕が百香先生と楽しげな会話をしているとベットで寝ていた美少女が目を覚ました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怠動の最強投手《Perfect Pitch》 右京虚宇 @ukyoukyou160294

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ