第2話「ワンバンボール美少女を撃ち落とす② 」と「ラブコメはツンデレが強いらしい」の二本立てでお送りします

 いやー、びっくりしたね。だって空から落ちてきたのが女の子なんだぜ。しかも美少女。駿も驚きだっての。そんでもって着ている服もなんか変なんだよ。魔法少女かなーなんつってさ。箒は持ってなかったけど。(笑)


 そんでどうしたんだって?決まってんだろ!受け止めたわ、お姫様抱っこでな。


 空から落ちてきた美少女は俺の腕の中でスヤスヤ眠っていた。


「えーと、シータさん?支度すんのにパズーだって40秒もらえたんですけど、俺の場合ほとんどノンタイムってどういうことですか?」


 無反応。俺の軽口もどうやら聞こえてないらしい。


「じょうこうせいたー!何をしているー!」


 これまた面倒なやつの声が聞こえるじゃあないか。

 怒鳴り声と共に校舎の方からこちらに人影があるいてくる。その人相はこれまた美少女である。ただし怒鳴り声に対して表情は不気味なほど笑顔だ。

 その不気味な笑顔のまま俺の腕の中の物を覗き込んだ。


「おい!これはまた、なんて美少女なんだ!いったいどうやったら毎度毎度こんな美少女を腕に抱くことができる!」


 まったくとんだ言い掛かりだ。毎度毎度美少女を腕の中に抱いているわけがない。いるわけが…まぁたまにならなくもないけど。過去を振り返れば…。


「いやいや、全然八乙女の方が美人だよ。確かにこの女の子は可愛いよ。めちゃくちゃ可愛い。細い手足に小っちゃい顔、長いまつ毛に、黒髪ロングのストレートまで持ってる。寝てたって清楚なんだろうなってわかるよ。正直俺にもどストライクだ。」


 と俺は必死にカバーにならないカバーをしたが、だけどね。と俺は続ける。


「ラブコメで最終的に勝つのはツンデレだったりするもんだよ。主人公と仲悪い奴がだんだんとデレていくのはそりゃ男のロマンだからな。まぁ俺は王道のバトルもんが好きだけどな、でも嫌いだったらこんなラブコメについて語ってねぇよ。」


 あはははと僕の笑い声にオードリーの合わせをする筈もなく鋭いツッコミが飛んでくる。


「誰もお前のタイプも漫画の趣味も聞いてない!それに私はどちらかというと運動に勉強、ツッコミもボケも完備の委員長系キャラだ。」


 鋭すぎるツッコミが一周回ってボケの方向に行ったのはスルーしておこう。


「それで、いったいなんの用なんだ?授業中だろ。」


 不満気に口を尖らせながら八乙女が言う。ていうか口尖らせてるの可愛いな!


「今のは委員長キャラはもう白崎で埋まってるての!と突っ込むべき場面なのに…まったくいつものキレがない…。用というか見てたんだよ。お前が城隍がバカ高いフライを投げてるところをな、そしたら女の子を撃ち落とすだなんて、どんなナンパ方法だ。」


 呆れてる。でも残念、あれはフライじゃなくて地面に叩きつけたワンバンなんだぜ。それにしても呆れてる顔も可愛いぞお前!



「とにかくその美少女を保健室に連れて行け。百香先生に診てもらった方がいい、後始末は私がしよう。」


 なんとそれはありがたい。ワンバンボールで女の子撃ち落とした説明なんてできないからな。ここは八乙女に任せるとしよう。さすが!できる女八乙女!


 俺は謎の美少女を抱えて校舎の中に逃げ込んでいった。


 後日八乙女の後始末により、俺、城隍晴太が女の子に全力でボールを投げつけて気絶させナンパをした。という噂が町内中に広まった。


 八乙女夏月許すまじ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る