第43話 路上アート集団Aの活動記録。

 前回までのあらすじ


 ついに役者Aと絶縁したGhost。


 能動的に人と縁を切る、という行動を始めて取ったのですが、不思議な事に一つ縁を切ると新たな縁が巡ってくるのが世の常。

 今回は路上に出ているうちに巡ってきたアートっぽい出会いや、チャレンジについて綴っていこうと思います。




〇小説家Aさん主催のチャリティーライブ。


 もう、のっけから平和的でオシャレ。いやー、いかにもアーティストって感じ。こう言うので良いんだよ(/・ω・)/


 こちらのイベントは小説家Aさんが立ち上げた電子出版社が主催のチャリティーイベント。時期的には東北大震災の翌年の事でした。

 東京にある小さなカフェを貸切って、集まってくれたミュージシャンに演奏をしてもらい、十年前としてはまだ物珍しいインターネットでのライブ配信も同時に行っておりました。

 もちろん録画した動画はアーカイブとして動画配信……うーん、今でこそ常識だけれど小説家Aさん、先見の明があったなぁ(/・ω・)/


 この日、僕は音響のPAやイベントの準備のお手伝いをするために参加していました。演劇の時に色々手伝ってもらった小説家Aさんへの恩返しであり、単純に一緒にイベントをやりたかったという気持ちもあったので(/・ω・)/


 ちなみに、このライブではミュージシャンCさんも出演。チャリティーだろうが、ライブ配信だろうが、お洒落なカフェでの演奏だろうが関係なく、『S〇X! S〇X!』とシャウトしてました。すげぇな!

 ま、その姿を見て一番喜んでいたのは僕なんですけどね(/・ω・)/


 さて、小説家Aさんの事務所主催のイベントですので所属タレントである問題児・ミュージシャンBの事を忘れてはいけません……忘れてました! テヘ!

 そう、所属タレントでありながらミュージシャンBはこのイベントに声を掛けてもらえなかったのです。それもそのはず、ギターも弾けない、歌も下手、技術を覆すほどの情熱も無い彼女が出る幕ではありません。というか他のメンバーとスキルが違いすぎてて浮いちゃいます!




〇小説が一次選考を通過するようになったり、現代詩手帳に掲載されたり。


 実は役者Aと演劇を進めている最中も、コツコツと小説を書き続けていました。書いた物のうちいくつかは公募に出していたのですが、どれもこれも一次選考すら引っかからず(/・ω・)/


 それが役者Aと手を切ってから、不思議と自分の書いた小説が評価されるようになりました。

 と言っても小さな文学賞などで一次選考を通過するくらいですので自慢できるほどではないのですが、僕にとっては大きな進歩。


 また、小説と並行して、以前に詩人Aが企画したイベントの関係で現代詩を勉強するようになっていました。

 自分でも現代詩を書いてみたりして、出来た作品を現代詩手帖に投稿していたのですが、そちらも掲載してもらう事が出来たりと、些細な事でしたが成果が見えるようになってきました。


 まぁ、その上で現代詩に対する否定的な気持ちが覆るどころか、より加速していったのですけれどね(/・ω・)/

 日本の詩の世界の中でも現代詩と呼ばれるジャンルは多くの問題を抱えていると思うのです。

 現代詩人の多くは技巧を磨くあまり実用性もメッセージ性も削がれて難解であればそれで良い、という印象がぬぐい切れず、結果、ガラパゴス化した井戸の底で、お互い慰め合ったりいがみ合ったりのプロレスをしてる連中といった感じ。

 それでいて現代詩以外の詩の体系を非常に軽く見ていて、馬鹿にしている。実際、詩人Aは他分野の詩を鼻で笑っていたのですが、おおいにルサンチマンの含まれた感情であることは間違いないでしょうけれど(/・ω・)/

 特に彼らの音楽歌詞に対する妬みの混じった軽視は不快に感じるレベル。こんなんだからボブ・ディランにノーベル文学賞かっさらわれるのよ(多分、ボブ・ディランは関係ない(/・ω・)/)。




〇ミュージシャンCさんのアルバムジャケット撮影


 ある日の事、ミュージシャンCさんがアルバムを作るという事で、そのジャケットを一緒に作る事になりました……が、そこは愛すべき変態ミュージシャンCさん。どんなジャケットにするのか話していくうちに、ドンドン酷い方向へと話がまとまっていきます。

 箇条書きにするとこんな感じ。


・上半身は裸。

・体中にひたすら、な落書きを『耳なし芳一』が体に書いた経文レベルで書きまくる。

・せっかくだから、某駅の路上で撮影しよう!

・夜の方が雰囲気あるから、暗くなってから行こう。

・注意! 季節は2月ごろ。超寒い!!

・そんなの関係ねぇ!! ひゃっはー(/・ω・)/


 僕の家ヘルハウスで体中に落書きを施したのち、妙なテンションで某駅へと繰り出すGhostとミュージシャンCさんの二人組。

 夜中の十時ごろ、仕事帰りの酔っ払いや、ブンブン排気音を鳴らす暴走族が集まる某駅に着くとおもむろに上半身裸になりな落書きを晒すミュージシャンCさんとそれを撮影し始めるGhost。

 寒すぎて歯がガチガチなるくらいの環境でありながら羞恥プレイを率先してこなしていくミュージシャンCさんですが、なんだか彼のテンションが徐々に上がっていく! そして、生粋の変態っぷりを見せてくれる彼を撮影しているうちに、


Ghost

(あれ? なんか、脱いだ方が楽しそうやん! 僕も脱いだろかな?)


 とすぐに影響を受けるGhost。うーん、僕も人の事言えないのか!?


 とはいえ二人で脱いだら本当に収拾がつかなくなってしまうので、そして体力の限界を感じるくらい寒かったので、その日は撮影を済ませると早々に立ち去ったのですが……ん?

 今、この文章を書きながら当時の事を思い出しているのですが、(なんか僕まで楽しくなってきたー!)って思ってから先の事が思い出せないぞ……。多分、脱いでないよな? 脱いでないはずだよな?


 その後、僕の描いた鉛筆画と、撮影した写真を合成してジャケットを作ったのですが、この当時としては珍しく何の疑いもなく楽しめた貴重な思い出です(/・ω・)/




〇商店街のお祭りに呼ばれる


 こにイベントに参加したきっかけは、ミュージシャンでありながらイベンターとしても活躍している二人組ユニットさんからのお誘いでした。ちなみに彼らと知り合った場所は職安(正確にはジョブカフェと言う若者向けの職安)。某駅で知り合ったわけではないので常識人です(/・ω・)/

 そして二人とも常識人なので、このエッセイにはあまり出てこないよ(/・ω・)/


 彼らは普通に働きながら音楽活動をしていて、さらに月一でバーを貸切ってオープンマイク(飛び入り参加OKの音楽イベント)をしていました。そして、そのイベントは基本的に照明は蝋燭のみを使用する、と言った感じの非常に良い雰囲気の中で開催されていました。

 いやぁ、すっげーお洒落だな。今までの僕の活動がウソみたいやんけ。ま、そのイベントでデスメタル歌ってきた僕だけど(/・ω・)/


 そんな彼らは年に一回、地元商店街からお祭りのイベントの一部を依頼されて準備、主催している売れっ子でもあります。

 そして、その年のイベントの出し物として『ライブペイント』をして欲しいと、彼らから僕ら路上アート集団Aは依頼を受けたのでした。


 いつもは鉛筆画のみを描いている僕でしたが、この日は描く事よりも見せる事を重視したほうが良いと判断。鉛筆は使わずに水彩絵の具を用いて、路上アート集団の面々で作品を二つ描くことにしました。

 とはいえ普段は鉛筆画ばかり書いていて水彩なんてやった事の無い僕です。元暴走族の絵師Aは水彩にコピック等々、何でも使えるマルチプレーヤーでしたが、元キャバ嬢のメンヘラ絵師Bはコピックを得意としています。他にもメンバーが居たのですが得意分野は様々。

 同じ絵なのですがなかなかに共通点が無い。というか、正直な話し、絵のレベルは僕が一番低い(笑)

 そこで僕は考えました。


Ghost

「……」(考え中)


Ghost

「……」(考え中)


Ghost

「もう手で直接描けばよくね?」(なんか考えるの面倒くさくなって来たぁ(/・ω・)/)


 このイベントのためだけに筆とか買うの勿体ないから、もう手で直接行っちゃってよくね? という暴挙に出るGhost。そんな暴挙を面白そうじゃん、と言ってくれた他のメンバーの対応には感謝しかございません。


 そして、いざ本番。

 大きな紙の前に立って、直接手で絵具を塗ったくり、叩きつけるように描きまくるパフォーマンスを行ったところ、イベントを見に来てくれた見知らぬ方々が


「なにあれ、なんかスゲー」


 などなど、お褒めの言葉を頂けました。頂けましたけど、もう十年弱たっているから時効だと思うのでハッキリ言っちゃう!


 あの日、僕は適当に絵具をぶちまけていただけなのである(/・ω・)/




 ちなみにイベント前、僕ら路上アート集団Aの面々のみで打ち合わせをしたのですが、この時に少々いざこざがありました。このいざこざをきっかけにメンヘラ絵師Bが暴走を始め、絵師Aや詩人A、そして僕に対しても攻撃?を始めるようになってしまうのですが、このイザコザについては次のエピソードにて(/・ω・)/


 to be continued(/・ω・)/

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