第42話 解散! 劇団A組!! そして役者Aとは絶縁へ!!


 前回までのあらすじ


 役者Aの暴走によりラジオ局への営業に同行することになったGhost。

 そんな営業先で役者Aは自分たちの紹介もできず、無礼な発言をしてラジオ局の職員さんをブチギレさせるのですが、そんな彼は当時三十歳。ついに僕は悟ります。


 こんな奴と一緒に居ちゃだめだ!(もっと早く気づけよぉぉぉ!)




〇第四回公演の概要


 さて、なんやかんやありながらも、コツコツと第四回公演の準備を進めておりました。今回も相変わらずの一人芝居でございます。

 第四回目ではコメディに挑戦。脚本を書き始めた当初はストーリーの展開や演出のアイディアにワクワクしながら制作していたのです……だがしかーし!


 そんな気持ちも長くは続かない(/・ω・)/


 既に今まで裏方として協力してくれていた人達が、役者Aに怒りを覚えていて誰も手伝ってくれない。もはや誘う事すらはばかられる事態です。

 そして僕の発狂からの失踪、詩人Aの企画をプレゼンに行った際の相手への不作法、そして前回のラジオ局への営業……うーん、さげぽよー(/・ω・)/


 よって今回の演劇を手伝ってくれた人たちは本当に少数です。

 事前準備で手伝ってくれたのは絵師A。演出の一つとして紙芝居芸をやりたかったので、その小道具を彼に描いてもらいました。

 当日は小説家AさんとミュージシャンCさん(靴磨きの人)が手伝ってくれたのですが、ミュージシャンCさんは途中仕事が入り本番前に帰ってしまいます(ちなみに、その当時ミュージシャンCさんは風俗店で受け付けのバイトをしてた(/・ω・)/ なんか幽霊が出るらしく、居眠りしてると金縛りに合うらしい(/・ω・)/ ホント、ネタに事欠かない人だな(笑))。

 と言った感じで、当日の裏方は僕と小説家Aさんのみで行ったわけです。無茶でんな(/・ω・)/




〇第四回公演の練習


 今回は演目は大よそ一時間弱、コメディベースですがアクションも行う予定でした。

 一人芝居ゆえ単調なアクションになってしまうだろうと予想できましたが、そこを簡素な照明機器しかない物の使える物を存分に多用することでアクションに厚みを持たせる事が出来ないか、という実験的な意図もありました。


 そんなアイディアをドンドン取り込んでいこうと思っていたのですが


役者A

「それ面倒じゃん」


 と役者Aが拒否。

 はぁ? 面倒!? 面倒!? 何でお前芝居やってんだよ!?




 そ、それはそうと……アクションの稽古もしなければいけません。

 とは言え僕はアクションに関しては初の経験でしたから(というか芝居そのものが未経験じゃい(/・ω・)/)ある程度の動きを決めてから、演技をしながら動きを煮詰めていこうと考えていました……が!


 いざ、稽古場で動き始めた瞬間! 一歩足を踏み出したまま動けなくなる役者A!


Ghost

「え? 簡単な動きの説明したよね? なんかあった?」


役者A

「……どう動けばいいかわからない」


Ghost

「……は?」


役者A

「足を一歩踏み出して、次にそっちに動いて……ていうのは分かるんだけど、自然な動き方がわからない」


Ghost

「……。……。…………。……基本的に人間の体は爪先が向いている方向に進むから、着地した時に次に進む方向へ爪先を向ければ自然に動けるよ」


役者A

「あ、ホントだ」


Ghost

「ホントだ、じゃねーよ! お前空手やってたんだろ? 基本じゃねーか」


役者A

「……いやぁ、二週間くらいで辞めちゃったから」


 それ、空手やってたって言わねぇよぉぉぉ!

 よく今まで空手経験者自称できたな!

 よく毎回履歴書に空手経験者って書けたな!!

 よく、今まで某駅前の路上で調子に乗って喧嘩紛いの事やってたな!!!

 ただのクソ雑魚じゃねーか!!!




 まぁ、たしかに格闘技経験者にしては動きが不器用だし、リズムもないし、重心もブレまくってたけれど、僕の見る目が無かったのかなぁ……いやいやいやいや、そんなしょうもないウソを経歴として語るヤツが居るとは思わんよ(/・ω・)/


 さて、その後、演技指導と身体の使い方について僕が(!?)レクチャーしたわけですが、肝心の芝居もイモイモしている。

 この辺りで理解したのですが、彼はカッコつけたいだけなんですね。ゆえに演技と呼べるほどの動きは出来ず、結果、大声出して思春期の少年がエロ本に向けるような血走った視線を周囲に送る事しかできない。芝居ぅぇ……。


 さらに芝居の稽古中、厳しめの事を言うと役者Aは現実逃避をし始めました。


役者A

「俺、海外に旅行に行きたいから芝居延期できないかな? 今のうちに世界に出てグローバルな感覚を身につけてフレキシブルに対応できる役者になりたいんだよね」


 とにかく芝居の本番が近づくにつれて「海外、海外」言い始めてまともに稽古をしない!

 そんな状態でコメディの演出をしようって方が無茶な話し……いや、ブラックジョークとしては成立しそうですけどね(/・ω・)/




 さて今回の芝居では役者Aの大根ぶりと並ぶほどの滑る要因がもう一つありました。

 それは、僕のモチベーション!


 失踪後からそれほど時間がたっていないので、この時期も杖を突きながら歩いていたのですが、この時の心理状態的に『笑う』とか、もはや理解できない生理現象なわけです。

 多分、この時は統合失調症と共に、躁うつ病も強烈に発症していたでしょうから(/・ω・)/




〇第四回公演の本番


 そんなこんなで始まった第四回公演。

 もう開演前からお客さんがキレてます。

「客舐めてんのか? 常識ねーのか」とブチギレです。思い返すとホントにスゲェーな(笑)


 お客さんが怒った原因は開場時間が遅れてしまったから。

 それもそのはず。だって裏方が二人しかいないんだもの。

 でもね、実は裏方(僕と小説家Aさん)は頑張ったんです。本当にギリギリだけど、公演直前までに全ての準備を整えたんです。


 にもかかわらず、会場を無理やり遅らせて、


役者A

「精神統一がしたい」


 と言い始めて開演を伸ばす役者A。

 そして、その言葉がお客さんに聞こえて、「ふざけてんのか!」とブチギレるお客。


 さぁさぁ、悪循環はこんな所では留まりません! もっともっと、かましてこうぜ(/・ω・)/!


 キレたお客さんを見て役者Aはパニックを起こします。


役者A

「お客さん怒ってるから今すぐ始めよう!」


Ghost

「あー? こっちはいつでも始める状態にしてるっつーの(怒)!」


 そしてパニックのまま暗幕が上がります。テンパった芝居を見て、僕も小説家Aさんも心の中で


Ghost&小説家A

(あ、これ滑るやつだわ)


 と確信。そういう確信だけは絶対に裏切らない役者A!


 演劇の最初の掴みとして絵師Aが描いてくれた絵を使った紙芝居芸を予定していました。そう予定。予定は未定なのです……。


Ghost

「……あの野郎、紙芝居のくだり全部忘れやがった」


小説家A

「ええ~、今から挽回できますかね?」


Ghost

「いや、アイツ、もう、戻れないくらい脚本飛ばしてますね。今回の芝居、予定より十分以上短くなりますよ」


小説家A

「……うわぁ」


 といった感じに丸っと脚本を忘れる役者A。しかも序盤だったので、物語の伏線や舞台設定なども巻き込んだ飛ばし方です。オワタ/(^o^)\


 そして、せっかく協力してくれた絵師Aの仕事も”完全に無駄”にしてます。

 この時、PA室に居た僕は被っていた帽子を取ったのですが、その姿を見て初めて役者Aは自分のミスに気づいたそうな。その事で再び役者Aはパニック。

 そして最初から最後まで誰一人笑わない、《笑ってはいけない○○》みたいな演劇(コメディ)が始まり、同時に僕の中で完璧に演劇が終わる事となります。


 いやぁ、それにしても、本来なら滑った脚本を書いてしまった僕はへこんでいいはずなのに驚くほど何も感じませんでした……否、何も感じないのではなく、役者Aに対する殺意が他の感情を埋め尽くしていたのかもしれません。




〇演劇終了後。


 もはや事故レベルと言っていいくらいの終わり方をした四回目の公演。お客さんから金返せと言われてもおかしく無いようなクオリティでした……が、しかし!

 なぜか達成感にあふれている役者A。


役者A

「いやホント、世の中ジャ〇ーズとかA〇Bみたいなアイドルを使って下手な芝居見せてるけど、ちゃんと俺みたいに実力のあるやつを使った方が良いよな」


 おいおいおい、なんかゆーとるぞ。

 役者Aのこんな寒い自己陶酔を僕も小説家Aさんも無視。芝居が終わり、まかりなりにもプレッシャーから解放された事で気が大きくなってたんでしょうね。




 その翌日の事。ついに役者Aに絶縁を突き付けるために


Ghost

『二度とお前に関わらんし、路上アート集団Aにも、オレの友達にも関わるな』


 と言う旨のメールを送りました。


それに対しての返事が、


役者A

「オレはGhost君応援しているから頑張って」


 という白々しいメール。

 皮肉で言ってんのか……と思いましたが、皮肉を理解したり言ったりできるほど役者Aは高等な生き物ではありません。彼はただただ、器のでかい男を装いたいんです。

 それにしても腹が立ったのでメールを返しました。


 実は役者Aは自分のホームページを持っていたり、オリジナルの名詞を持っていたのですが、それは役者Aが僕の絵の師匠に頼んで作ったものでした(金は払ってない)。

 SNSや宣材、履歴書などに使っている写真は僕や小説家Aさんが作ったり、撮影して加工した物(金は払ってない)。

 また、劇団A組で使った脚本や演出を役者Aは「自分が書いて、演出した」と言いふらす事もありました(口出ししてただけのくせに)。


 これらの出来事を踏まえて、メールを送りました。


Ghost

『役者Aさんに協力する形で作った創作物のすべてに対して僕らは著作権を主張します。よって、役者Aが使用していた場合、法的処置に出ます。また、劇団A組で行った芝居の脚本や演出はあなたの行った事ではありません。あなたの経歴だと主張するのであれば同様に法的処置を検討します』



 と言った具合に警告を送りました。

 つまり役者Aが自分をプレゼンする際の道具をすべて奪った事になりますね(/・ω・)/

 ……ま、実際、この程度の事で法的処置になんて取りません。やったところで損するのはこっちですし、自分で言っといてなんですが法的根拠も曖昧ですから(/・ω・)/

 ですがアホの役者Aを脅すには、この程度で問題ありませんでした。


 さらに僕に対して「応援している」といった事に対してもイラっと来たんで


Ghost

『僕も役者Aのこと応援してるんで、


 とメールは締めたんですけれど、アイツ馬鹿だから皮肉を理解してないかもなぁ。


 ちなみに、さらに後日の事。

 役者Aは先の演劇で、絵師Aが描いてくれた紙芝居芸を完全に忘れた事について謝罪の電話を入れたそうな。

 とはいえ、その態度もへらへらした形だけの謝罪。

 絵師Aも怒りを通り越して白けてしまい、あーはいはい、と電話を切ったそうな。

 いやぁ、どこまで行ってもクソやなコイツ。




〇役者Aの後日談。海外に行きたがってたのはそういう事かぁぁぁぁ!


 役者Aとの絶縁から数か月後の事。

 少し話は変わりますが、僕はとある大手コンビニエンスストアのオーナー店で深夜タイムのアルバイトとして働いておりました。

 あ、ちなみにブラックバイトです(笑)

 ホント、ブラック企業に縁があるな(/・ω・)/

 とはいえ所詮はバイトなので、ここでは今までのブラックな経験を生かして《オレTSUEEEEE!!》してしまうのですが、それはまた別のお話し(/・ω・)/


 そこで知り合った人、仮にYさん(女性)としましょう。

 Yさんは役者Aと面識のある人でした。少し前までYさんはラーメン屋で働いていて、そこで役者Aとは同僚(アルバイト)だったそうです。


Yさん

「あー、役者A君ね。Ghostさんの友達なんだー。世間って狭いですねぇ」


Ghost

「いや、あのクズとは友達じゃありません。絶対に」


Yさん

「うわ、めっちゃ嫌ってる(笑) けど、わからなくもないなー」


 と、なぜかYさん意味深な感じで言葉を濁します。当然、気になったので聞いてみました。


Ghost

「あいつ、ラーメン屋さんでもトラブル起してたんですか?」


Yさん

「うん、めちゃくちゃだったよ。ラーメンのスープの分量を無視して勝手に作ったり、それを怒られると『自分のこだわりだ。こっちの方が美味い』とか言い出したり」


Ghost

「はぁ? 自分の店じゃねーんだから(笑)」


Yさん

「丸ごとスープをダメにする事もしばしばあって、その度に店長に怒られるのに『自分の味がー』とか言ってたね」


Ghost

「キ〇ガイやん」(あまり使ってはいけない言葉(/・ω・)/)


Yさん

「で、現実逃避なのかな。海外に行く、海外に行く、って言ってて、ちょっと前にバイト辞める段取りもしないでいきなり海外に行って、バイト先の人達全員い迷惑かけてたよ。店長も『アイツがうちの店を全部無茶苦茶にした!』ってキレてた」


Ghost

「!? ちょっと待ってYさん。それいつの話し?」


 Yさんに詳しい話を聞いてみると、タイミング的に最後の芝居の公演と被る……役者Aが海外海外言ってたのは芝居だけじゃなくて、バイト先でも怒られた挙句の現実逃避もあったのか……うーん。




 つまり役者Aという人間を総括しますと、



 と言ったところでしょうか。




〇それから数年の月日が流れ……


 これは数年後に小説家Aさんから聞いた話し。

 何でも海外旅行に行った役者Aはメキシコで強盗に会い身ぐるみはがされたそうな。

 その後、旅先では自衛のためにナイフを持ち歩くようになったのだけれど、イギリスはロンドンの路上でパフォーマンス(現代舞踊的なダンス。ちなみに役者Aはダンスを学んだことはない)をしていたところ、


『不審者がいる!』


 と通報。そこで持っていたナイフが見つかり《凶器所持のため逮捕》されたそうな……。

 もー、死んで。「日本人は和の心がー」とかほざいてたんだから、そのナイフで腹でも切って死んでくれ!


 それにしても芸術の都ロンドンで”不審者として通報される”ってどんなパフォーマンスをしていたんだろう?


 というわけで、はれて前科者になった役者A。

 僕はもっと早く縁を切っておくべきだったのでしょうけれど後悔しても仕方がない。アホと縁が切れた事を喜ぶべきなのでしょう。

 カルマとは不思議な物で一つ縁を切ると、別の新たな縁が巡ってくるものです。それが良い縁となるか、悪い縁となるかは結果を知るまでわかりませんが……。


 さて次回のエピソードでは心機一転。

 役者Aを縁を切ってから新たに舞い込んだ楽しいアホな出来事をご紹介していきます。

 地域の商店街のイベントにお呼ばれしてライブペイントやってみたり、ミュージシャンCさんのアルバムジャケット作ってみたりと、アーティストっぽい事も少しはやってたのよ(/・ω・)/


 to be continued(/・ω・)/

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