第13話 へー、芸能人のイベントってこういうもんなんだぁ(多分違うと思う!!)。

 前回までのあらすじ


 路上で知り合った芸能事務所社長であるC社長と、奇行が目立つ役者Aを引き合わせたGhost。

 そして、なんやかんやで意気投合した二人。役者Aが芸能事務所Cへ所属することが決まりました。


 その約一月後、芸能事務所Cが主催するイベントに招待されたGhostと役者Aはイベント会場に向かうのでした。




〇ここで某県内の芸能事情を補足しよう!(十年ほど前の情報)


 東京に隣接する地方都市、某県。

 県としてのブランド力は全国的には低い方なのですが、定期的に有名なミュージシャンがデビューしたり、東京が近いのでいち早く流行の影響を受けつつも独自の田舎感(良い意味で)がミックスされた環境だったと思います。

 また、県内の中央から北部(確か)には南米系の方も多く、その影響からかラップやブレイクダンスなどのヒップホップ・カルチャーや陽気で頼もしい人柄の人物が多かった印象。


 某県内では、特に音楽シーンが活発で(あくまでも僕の印象)、そのメインストリームは北部と南部でやんわりとですが方向性が分かれていました。


 南部(東京に近い方、Ghostが活動していた地域)でのメインストリームはバンド形式の音楽。特に重低音を響かせるジャンルに人気が集まっていました。ライブハウスやストリート、ライブ・バー等が活動の主戦場、と言った感じです。

 それに対して北部ではアコースティックギターを用いた弾き語りなどのシンプルな物のほか、DTM等で制作した電子音楽、ダンスミュージックなど。クラブやストリート、イベント会場などでの演奏が多いのかな?

 多分、北部の音楽の方が当時全国的に流行っている物に近いのかな? と言う印象でした。

※注 あくまでも僕の印象です。


 芸能事務所Cがあるのは県内北部。そして今回お呼ばれしたイベントの会場がある場所も北部でした。なるほどC社長、なかなか堅実にマーケットを調べているじゃないか。




〇いざイベント会場へ!


 芸能事務所Cの初イベント当日。

 僕と役者Aは二人で某県北部にあるライブハウスへ向かいました(役者Aは今回のイベントではお客さんとして来場)。


 そして僕の手には一束の原稿が入った封筒が。

 そうです。以前から書いていた小説(僕にとっては実質処女作)が完成し、「読ませて欲しい」と言ってくれていたC社長にイベントが終わってから手渡そうと思っていたのです。


 さて、役者Aの運転する車に揺られること約一時間半、何やら道中の景色に見覚えがありました。あれ~、と思ってC社長から貰ったチケットを再び確認。

 あ、このライブハウス、数か月前に僕の所属するデスメタル・バンドがライブで利用させてもらった場所やん(/・ω・)/


 確かその時のライブのチケット代は二千円くらい。そしてそして芸能事務所Cのイベントのチケット代は……五千円。高っか!!


 僕がライブをした時はオールスタンディングでしたが、この日は客席には椅子が並べられていました。

 初イベントと言う事もあってか一般のお客さんよりも関係者の方が多いのかな? と言った雰囲気。

 とは言え、会場はお客さんでほぼ満員状態でした。やはり元ワ〇ミ幹部。C社長、やり手か!?




〇イベントがスタート。そして、ダンスやポップミュージックに不慣れなGhostは地蔵になっていた(笑)


 おとこは黙ってデスメタル。


 生まれてこの方、そんな矜持きょうじを胸に生きてきた二十余年(嘘)。

 如何にキワモノ扱いされようが、如何に女性にモテなかろうが、唯々ただただ一途に、不器用に、おのれのデスボイスを信じて今の今まで駆け抜けてきた……(嘘)。

 それが、それがだ。今、この瞬間、吾輩の前にチャラついたミュージック・イベントの幕が開かれようとしていた……


 アホな事を書いてしまいましたが、結構ワクワクしていました。音楽は割と雑食ですし。まぁ、メタラー=キワモノ、と思われるのは悲しいけれど(/・ω・)/




 ステージの幕が上がるとそこに立っていたのは以前C社長と一緒に居酒屋で出会ったダンサーA。そしてもう一人、芸能事務所Cの新しいメンバー、ダンサーB。


【プロフィールに登場していない人物紹介】

〇ダンサーB

・二十代後半。男性。

・芸能事務所Cに所属。

《所有する芸術スキル》

・ハウスダンス

・ゴリマッチョ系。エグザイル系の男らしい系。つまりイケメン。

・変態じゃなさそう(ここ重要!)。


 ま、変態じゃないのでこの後、僕と関わる事はないんですがね(/・ω・)/


 ダンスについて何の見識も持たない僕ですが(せいぜい空手のの知識くらい(/・ω・)/)、ダンサーA、B両人のキレッキレな体の動きに感心してしまったのを覚えています。




〇意外と高い、出演者のレベル。


 さてイベントは二人のダンサーのダンスに加え、歌(カラオケですけど)ありトークありで三時間ほどの内容でした。

 まぁ、たった二人で、初イベントで三時間お客さんを飽きさせないなんて到底無理な話し。

 合間合間にゲストとして芸能事務所Cと契約を結んだ講師陣がステージでパフォーマンスを行っておりました。


 この講師のダンサーが結構凄い方のようで、某ジャ〇ーズ事務所の某ユニットの振付を担当し、イベントの二日前に放映されていたミュージック・ステーションにて某ユニットの後ろで踊っていたそうな。

 よくもまぁ、そんな人を連れてきたもんだ、とまたまたC社長の手腕に感心してしまったのですが、それを踏まえても三時間……長く感じるぞ。


 講師のダンサーがミュージック・ステーションで披露した曲を踊った後、しゃくを持て余しているのか、をダンサーA、Bが歌い始め、その後ろで講師が踊ってMステを再現……それが終わってしばらくした後にを講師が歌ってダンサーA、Bが踊り始め……と言った感じで同じ曲を何度も繰り返すようになり、それを見ていた僕はと言えば、


Ghost

(え? デジャブか? 時間がループしているのか!?)


 と動揺し始め、落ち着きを失い、次第に貧乏ゆすりが止まらなくなってきました。(注・当時のGhostは統合失調症が末期症状である! 同じことが繰り返されたり、リフレイン多めの曲を聴くとストレスを感じ、頭がパーンってなる)

 このデジャブ、これだけでは終わりません。


 公演の三時間が終了し、なんか疲れたなー、なんて思いながら立ち上がる僕をあざ笑うかのように巻き起こる拍手!


 そう、アンコールです!


 こういったイベントでは定番ですね。

 そしてアンコールで披露された曲が……やっぱり某ジャ〇ーズの同じ曲! Mステの再現!! もう、ええて!!




 さて、イベント終了後、ライブハウスの出口にはイベントの出演者や講師たちが並んでお客さんをお見送りしていたので、今がチャンスとばかりに僕はC社長に近づいて、


Ghost

「へっへっへ。社長、社長。例のブツ《小説》です」


C社長

「お! 完成したんだね! 読ませてもらうよ!」


 と言った感じで僕の目的も達成。ちょっと疲れましたがイベント自体はそれなりに楽しめたと思います。

 もう一度見たいかと言われれば、遠慮しますけれど(/・ω・)/


 ちなみにこの時点で芸能事務所C主催の次のイベントが決定していました。まだ内容は未確定でしたが、そのイベントには役者Aも出演が決まっていて


役者A

「俺の活躍が見せられるねぇ」


 と鼻息も荒かったのですが、イベント開催一週間前になってGhostに泣きついてくるのでした。


 そのお話はまた次回。


 to be continued(/・ω・)/

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