第8話

『今日は、最近話題のヴァンプちゃんとコラボしまーす♪ ジル~』


 『こんばんは。バーチャルバンパイアクイーンのジルで~す。 ギャ~、のえるちゃんだー!!』


【バイトゾンビ】:コラボしたがってたのえるちゃんと会えて早速キャラ崩壊で草

【モブおじさん】:あ~、いいっすねぇ。これが百合の花か~


『今日は、初めましての記念にこちらのチャンネルでは歌ってみたり、事前に言っていたマシュメル回答しまーす。ジルチャンネルでは私の苦手なゲームを訓練します!! よかったらジルちゃんの方も登録してあげてね♪』


久しぶりにこんな他人行儀で遥と会話した気がする。どこか遠いようで近い距離。推しとして、先輩Vtuberとしての背中の遠さと親友という近い距離。俺は今、どちらで接しているのだろうか? のえるちゃん? 遥? それともその両方......?


ただわかるのはこの時間がとても愛おしく、切なく、思い出の瞬間だってことは分かる。二人で頑張って企画して、二人のチャンネルが盛り上がれるように......。万全の態勢と整えて、身バレせずここまでこれた。俺は本当に幸せだ。推しと同じ空間に立っている。親友が達した高みを見ることができた。それを共有することができた。


『闇夜の帳は下ろされた。血を吸われた我が僕たち~、ヴァンプクイーン、ジル・ド・ウニマニエルだ! 今日もよろしくね? じゃあ早速、紹介しましょうね。のえるちゃ~ん』


やっと彼女を呼ぶことができた。この時、チャンネル登録者数22万人。のえるちゃんは40万人......。まだまだ俺の方は彼女の背中も見えない。自分が見ていた時よりも増えている。俺もまた、自分が見ていたのえるちゃんの登録者数と同じ20万ほど......。まだまだだって思うけど、遥とこうやってゲームを配信できるのは素直にうれしい。みんながそれで笑ってくれたりしてくれるから俺たちも楽しんでできる。これが彼の見ていた世界。そしてこれから俺が体験していく世界なんだ!!

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