Episode 3:愉快な女子達
9月、レベッカ達は目標人数を達成するため、仲間になるべき者を探していた。
「効率よく探せるための逸材を用意しておいたよ。」
レベッカが用意したのは、元より友達の「マリア愛美」であった。彼女はカリフォルニア州からやって来たコンブリオ家の娘で、夏休みの間で情報収集をしてきた。手にした情報をもとに、探すこととなった。今掴んでいる情報は「ウインナーシスターズ」と「猫に懐かれている飼い主」、彼女の提供はそれだけであった。順番に「ウインナーシスターズ」からいくことにした。マリア愛美に付く形でその森へ移動した。
ここは森の中。「アゴゴ」と呼ばれている妖精、森の生物が住む、自然豊かな地域でもある。ここを訪れたレベッカ達は、ウインナーシスターズを探すため森の中で探索していた。
「愛美よ、その姉妹とやらはどこかね?」
「うーん確か、その奥にハウスがあるから。」
その奥へ進んだ先にあったのは家らしき建物だった。目的の仲間はこの家の中にいる、レベッカは早速ドアノックしてみた。
「どちらさまですか?」
「仲間を作っている者だよ。」
レベッカの一言で、室内へ入れてくれた。
「愛美から聞きました。あなたのいう仲間集めとは、そういうことですね。」
彼女の名は「ヘルバタ」。ウインナーシスターズの一人でもあった。ヘルバタは客に粗茶を出した。片方がいないことに、レベッカは彼女に質問した。
「シスターズといっても、片方はどうした?」
「姉さんの事ですか?姉さんなら今時パトロールしています。」
ヘルバタの姉は外出中だった。
「では単刀直入に入る。私たちの仲間になってよ。...?」
恒例のパターンに対するヘルバタの答えはこの通りだった。
「その前に、姉さんの事を知ってもらう必要があります。最後まで聞いてくれたら、仲間になれという話も考えてあげます。」
「またいつものパターンか...どんな話かな。」
過去の話なのか姉の話なのか内容が気になって仕方ない、レベッカとマリア愛美は彼女の姉の事を聞くことにした。
姉の名前は「ハーヴ」、森の番人でもある。4歳の頃から風の使い手に憧れてたという。常に明るくお気楽な性格であると同時にトラブルメーカーでもあり、同年代の子とはなかなか釣り合わない。
「君の他に同年代の子がいるのか?」
「はい、姉さんの他にいます。」
もう一人の子は「ビート」、ハーヴとは友人関係にある。身長は彼女より5cm低いらしい。可愛らしい男の子でもあった。
「話はそれだけかな?やけに短いようだが。」
「私たちまだ子供ですので。9歳。」
三人ともまだ子供なので、これ以上過去を語れなかい。
「じゃあ迎え入れてもいい?」
「決定権は姉さんにあります。何のことわりもなくそうしたら、さすがにコマってしまいます。もう少し待ちましょう。」
ヘルバタの言うとおり、ハーヴが戻ってくるまで待つことにした。
「...やけに遅いな。」
時間経ってもハーヴは戻ってこなかった。
「姉さんの事だから、どこかトラブルが起きているのでは...。」
「そういえば君の姉はトラブルメーカーだったよね?」
「...私、見てきます!」
ヘルバタは家から飛び出していった。この様子でトラブルが起きているのは間違いないだろう。レベッカもハーヴに会うため、ヘルバタについていくことにした。
川の端も、崖の壁も、森のありとあらゆるポイントを見て回ったのだが...。
「ヘーチ、ツタに絡まれて動けないべ。」
「姉さんったら...。」
トラブルはただの絡むツタだった。そのツタをほどき、ハーヴを助けてやった。のちに家に戻り、レベッカの望みを彼女に聞かせた。
「話は聞いたべ。仲間になれっていいたいのだべ?」
「兄貴の望みなんだ。私たちの仲間になってほしい。」
「うーん、どうしようだべ。」
「友達百人できると思って。」
「...じゃあ、あたいのことを知ってほしいべ。そうしたら、考えてあげるべ。」
「それなら妹さんから聞いた。これ以上話すことはないだろう。」
「ヘーチが話したべか?話を変えるべ。...あたいのボーイフレンドの姉チか、この話にするだべ。」
ビートの姉の話を聞くことにした。
その姉の名は「
「...まさかこれ以上話すことはないだろうな...いや、ビートが君と同い年ならなぜ、かなり歳を離れてるんだろう?」
「あたいだって、わかんないべ。まだ子供だし、忙しくて話せそうにないだべ。」
「実際に会ったの?」
「...あたいのボーイフレンドに聞いただけだべ。姉チには会っていないだべ。」
ロドゆいの事はビートに聞いただけで、詳しいことはわからないらしい。
「これ以上話すことはないだべ。だから...おまえのチカラになるだべ。」
「じゃあ、仲間になってくれるのね。」
チカラになってあげるという形で仲間になってくれた。
「これもあたいの意思だべ。感謝するといいだべ。」
ウインナーシスターズが仲間に加わり、現在の仲間が10人になった。
「そういえば、『猫に懐かれている飼い主』を拾ったべ。川の近くに転がっていたんだべ。」
彼女のベッドに寝かせていたのはそう、その通りだった。
「飼い主の名前はなんていう?」
「まだ聞いてないべ。昼寝でもしてるだか?」
唐突に飼い主は目覚めた。
「みぇー...ここは...。」
「気がついたべか?」
「この人が噂の『猫に懐かれている飼い主』か。」
「ミコ、私の名前みぁ。」
「ミコ...猫の名前みたいね。早速、私たちの仲間になってよ。」
「!!...そんなに仲間になってほしいなら、私の事を知ってほしいみゃ。」
「また同じパターンかい!!ていうか、謎だらけじゃん。」
「あたいも知りたいべ。どうして森に流れてしまったかを。」
ミコはなぜ森に流れてしまったのか、皆はその経緯を聞くことにした。
「食糧を集めに来たけど、何らかの拍子で滑って川に流されて、気がついたらここに寝ていたみゃ。」
ただそれだけ...ではなく、彼女はこの世界の人物ではないことを告げた。
「私は異世界から来たのみゃ。」
ミコの話はここまで。さて、どうする?
「話はそれだけかな?もういいの?」
「私は半獣人みゃ。故にか、カナヅチみゃ。」
「その話はもうわかったから。」
「え、もういいみゃ?じゃあ約束通り、仲間になってあげるみゃう。」
「やったぁ!!ご協力感謝する。」
ミコが仲間に加わり、11人目になった。ウインナーシスターズに連絡先を教え、レベッカとマリア愛美、ミコはそれぞれの自宅に戻っていった。
次の日、原作者はカラダデカイを呼び寄せるために、アイス早苗にカラダデカイ召喚を依頼した。実は3月頃でカラダデカイを呼び寄せるつもりだったが諸般の都合により見送られたという。
「前回は諸般の事情による呼び損ねてしまったが今回は、よし、今度こそさ。アイス早苗よ、カラダデカイを無事呼び寄せよ。仲間に加わってくれ。」
「わかってるよ、それくらい。」
今回は彼女一人でカラダデカイを呼びにあの場所へ向かった。Dr.デカボットの管轄下にある蔵、長く使われていないものの保管場所として利用していた。アイス早苗は堅牢なセキュリティを掻い潜り、潜入した。そのなかには「未使用マシン、お蔵入りになったもの、ガラクタ」が揃っていた。
目的のものを探すアイス早苗だが...何者かに先を越されてしまったようだ。
「...越されたか。」
唯一の手掛かりは、カラダデカイと第三者の足跡だった。
「カラダデカイの足跡をたどればいいという話だ。もう一人の足跡が気になるな。どうやって掻い潜ったかは知らないが、あたしのバディを連れ去るとはいい度胸だな。後で覚えてとけよ。」
足跡をたどるために、蔵の外に出た。しかし、セキュリティを掻い潜るためなのか、その足跡は途切れていた。ただひとつ言えることは、どこかへ飛んでいった形跡があるということであった。
「仕方ない...一旦出直そう。」
アイス早苗は蔵を後にした。ダレの倉庫でカラダデカイを調整していた人物とは、意外な人物だった。
「ここにいたの?お父さん。」
「...早苗。」
黒田博士は今までどこで何をしていたのか、問いたいアイス早苗であった。その時の博士はどこで何をしていたのか、その事情を知ることになった。
確かに例のヴィランにやられて生死不明になっていた。だが、かろうじて生き延びていた。例のヴィランの一部始終を、博士は目撃した。最期を確認し、全て終わった。博士の所持金は全て例のヴィランに取られてしまった。北海道から本州に戻るためには何年もかかったそうだ。長年かけて戻ってきた博士は、カラダデカイのメンテナンスをしなければと思い、蔵へ入った。現在の管理者は先代ではなく、二代目Dr.デカボットことラインハルトにあった。権利者あるいは所有権が変わると誰一人このゴーレムに触れなくなってしまう。昔使っていたキーカードは、現在のDr.デカボット由来の施設へのアクセスに使えない。そこで博士はすり抜けを使った裏技で蔵に入り、カラダデカイを再起動させた。その後すぐに脱出し、現在に至る。
「...とにかく、生きてて何より。遠かったでしょう...。」
長らく離れていて、もう会えないはずがこのような形で父である博士と再び会えたことに感激するアイス早苗であった。そしてちょうどメンテナンスが完了したことによりカラダデカイは起動した。
「Starting Operating System. Select your language : Japanese. 起動完了。黒田博士ヲ確認。ゴ無沙汰デス、黒田博士。」
「1999年10月以来だな。たった今、君の性能と機能は現代に合わせて拡張してある。ありがたく思え。」
「ありがたく思え...お父さんの台詞だったの?」
「久シイナ、早苗。2002年6月10日以来ダナ。オレガ今ニナッテ目覚メタコトヲ、アリガタク思エ。」
「...そうだ、原作者があんたを呼び寄せるとおっしゃっている。彼らの仲間になってほしいと。」
その要求に対してカラダデカイの返答はこうであった。
「...オマエガヤツノ仲間ダトイウノナラ、仲間ニナッテヤル。アリガタク思エ。」
「私はDr.デカボットの下に戻る。しばらくの間、君をメンテナンスできない。早苗を頼む。」
「モチロン、黒田博士ノ娘ヲ守ルコトガオレノ使命デス。アリガタク思ッテクダサイ。心配ナサラズ、アナタノスベキコトヲ全ウシテクダサイ。」
カラダデカイが仲間に加わり、12人目になった。帰路についていた二人だが、彼の過去の話については全員揃ってから聞くことにした。
「半年かかってすまん。諸君、改めて紹介しよう。俺が呼び寄せたゴーレム、カラダデカイ・デカボットだよ。」
「コレカラモヨロシク。」
「ねえ、君のこと知りたいよ。教えて。」
「あたいも知りたいべ。おまえの構造、気になるべ。」
「ソンナニオレヲ知リタイノカ。全テ語ッテヤルカラ、アリガタク思エ」
彼の本名は「次郎・フォン・ヴィトゲンシュタイン」。Dr.デカボットの親戚なのか血縁者なのかは謎として1998年頃、何かしらの事故に遭い、脳や脊髄以外深刻な状態にあった。そこで先代は治療と称して元より計画していた「プロジェクトゴーレム」の一部として彼を生かした。見ての通り、外見は人間ではなく、ゴーレムのようなものに変わってしまった。また2002年6月頃を最後に6年間放置されてしまったが、黒田博士の生還によりお蔵入りされずに済んだ。
「黒田博士ガ来ナカッタラ、オレハズット蔵ノ中ダッタ。」
「だが実際の博士は生きており、君を解放してくれてたんだろう?何よりだ。目覚めさせてくれたことをありがたく思ってよ。」
こうして新たな仲間が増えたことにより、あと少しで達成可能に近づきつつもあった。レベッカを含めた最大16人揃えば、原作者のユートピアといえる夢のビッグイベントの準備が捗れそうだ。
その後、各地に他の未来人が現れた。それを確認した原作者は、レベッカ達に偵察を頼んだのであった。
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