Episode 2:フランスの訪問者
5月下旬、遠い国「フランス」からはるばると来た。彼女の名は「エミリア・ショーヴァン」。通称「ヒメ」と呼ばれている。腕のいいピアニストで、フレデリックの曲ならなんでも弾けるという。彼女がここに来たという目的は、日本文化を知るためでもあった。したがって、国全土をあちこち巡っていた。
「
ピアノのある店に寄り、きままに弾いた。この国の当たり前を知らないのでそれはどうかと、インターネット上での噂が広がっていった。このことをキャッチした原作者は現場に向かえとレベッカに頼んだ。
「ショパンの曲を弾き続けていて今も噂になっている。彼女の調査を頼む。ついでに、使命を忘れずに。」
「兄貴のお望みならば喜んで。」
早速ピアノのある店を探し、店内に立ち入った。そこには12の練習曲「主に(別れの曲、黒鍵、革命)」を弾くヒメがいた。弾き終えたヒメは、レベッカに話しかけてきた。
「język
「そうだよね。女子高生よりでかい私。それより、おはなししようか。場所変えよう。」
「
また前々回と同じくドーナツチェーン店舗に寄った。
「
「これはさておき、兄貴と私の友達になってくれない?」
「
今回の条件は前回とは違うようだ。
「実家にピアノあるかね?」
「
「そうだ、ピアノ教室でやればいいじゃん。移動しよう。」
そうと決まれば、二人はピアノ教室に移動した。
「Cześć!
「ちょっとお客様、それは困るでしょう!」
「悪いね。あたし、język
「なんか悪いことになってきた。他を当たろう。」
結局ピアノ教室の先生方に弾かれた。
「参ったな、ピアノがなきゃ仲間入りにできない。...ん?メロディカという手もあったか。楽器店にあるかな。」
次は楽器店に入り、鍵盤ハーモニカを探した。
「...どのメロディカにする?」
「これより、
「じゃあ、キーボードはどう?高いよ。...電源が必要だが。」
「もう結構。」
まずいな、機嫌損ねてしまったようだ。場所を変えようと、公園へ移動した。
ピアノがなきゃ話にならない、何か方法を変えなければと考えるレベッカであった。
「君の生き甲斐はピアノかね?」
「あたしは
「そうか。...とりあえず条件を変えよう。仲間になったばかりの二人と同じように過去の話を。」
「...わかった、あたしの昔話を聞いてくれたら
ピアノの演奏を聴くことができなかったが、代わりにヒメの昔話を聞くことにした。
ヒメはワルシャワ生まれであり、ショーヴァン三姉妹の末っ子でもある。彼女が生まれたときに、父親は既にいなかった。生後1年後、母親と生き別れてしまった。
4歳頃、イタリアからはるばる来た近藤一族と出会い、まだ6歳の白之助と初対面した。彼の父親に洋服を購入してくれたり、肉親がいなくなっても心優しい一族に少々恵まれていた。イタリア帰郷の途中でベルリンに滞在した、ざっと3年間であった。
7歳になったヒメだが、問題が起きた。先代Dr.デカボットの娘「ヴァルトラウト・フォン・ヴィトゲンシュタイン」によるトラブルで列車はことごとく乗れなくなった。仕方なくヒッチハイクを利用して、パリへ向かうことにした。約1年もかかる長旅だった。
到着後、あの音楽家と同じ名前の少年「フレデリック」と出会った。彼はショパンの曲が得意らしく、ヒメも音楽家の曲が弾けたのも彼のおかげであった。一方陰で見ていた白之助は焼き餅焼いてることを二人は気づかなかった。
4年の間、彼と白之助は恋敵として激突していったその時、ヒメは結核におかされていた。ショパンさえ苦しみ続けたこの病で2年間長引くはめになってしまったのだが、黒田博士の特効薬による症状の抑制はできたようだ。
4年後、恋敵に勝った白之助はヒメと結婚した。これは黒田博士との協力に貢献したからこそ、14年間ともにいたからこそ、恋に落ちたのだ。20歳を迎えた時、子供を授かった。「ロザリー」、2人にとって初めての家族の一人であった。その幸せが続いている2人だがその後、彼女にとって重大な問題が起きた。
フレデリックは病魔にかかってしまった。この状況で家庭どころじゃなくなり、看病を余儀なくされた。ヒメは最後まで彼を看取った。
フレデリックの没後、白之助は何もしてあげられなくて、力不足であると後悔し、今のヒメじゃ一緒に暮らせないという理由で離婚した。ロザリーの親権は白之助にある、彼は娘を連れて日本に発った。両親がいなくなった、姉2人はワルシャワにいたまま、近藤一族はイタリアに帰った、ヒメはまたひとりぼっちになった。1年後、白之助に会うために来日し、現在に至る。
「
「ないとも。元カレに会うためか。君の目的、私にもなんとなーくわかる気がする。それで、友達になってくれるかな?」
「あたしの話、最後まで聞いてくれたことだし、...認めてあげる。今日からあなたはあたしの
「よっしゃあ!三人目!!」
「...あなたの仲間のこと?」
「うん、その通りだよ。」
ヒメが仲間に加わった。これで三人目になった。
「おっと忘れてた。元カレを探すんだったな。」
同時に、白之助を探さなければならなかった。だが休息が必要だ、この件はまたの機会で。
夏休みに入り、レベッカは元より友達である「アンジー楓」と「モグ」を呼び寄せた。元カレ探しを手伝ってもらいたいと。2人はヒメのクエストに同意した。
「探し物なら任せて!」
「しゃあねぇな。俺も付き合ってやるぜ。」
探すといったものの、ノープランで探すのは難しい。そこで原作者に頼るほかなかった。
「原作者にじゃ、なんか悪いな。」
モグにいい考えがありそうだ。
「俺の知り合いなら、何か知っているそうだ。ついて来い。」
レベッカとアンジー楓はモグについていくことにした。
前回行ってきた公園に色っぽい女がいた。モグの知り合いとはこの人の事であった。
「紹介するぜ。こいつはリサななだ。」
レベッカとアンジー楓、陰ながら見ている原作者は初めて彼女を目にした。レースクイーンに出てくるような外見だが、本業はプロレスラーだ。
「あたしは黒澤奈々。よろしく。」
「こちらこそ。ヒメの元カレについて何か知ってる?」
「ブルースから聞いた。ビャクちゃんの事ね。あの人なら忍者村にいるよ。」
彼について心当たりがあるらしい。
「実際に行ってみないとわからないな。案内してほしい。」
そうと決まれば早速、忍者村へ移動した。
ここは忍者村。伊賀忍者の集まりの村でもある。リサななは白之助のいる場所へ案内した。
「ビャクちゃんいる?」
そこにいたのは、まだ5歳のロザリーだった。
「ねぇね、パパはさんぽ。」
「外出中だって。」
白之助は外出中だった。
「居場所教えてくれるかな?」
「わかんない。」
居場所を知ろうとするレベッカだが、ロザリーにはわからない。だがリサななは彼の行き先に心当たりがあるようだ。
「あたしについてきて。」
そのままついてきて、秘密の場所まで到着した。白之助にとってオアシスまたは休憩所でもあった。そこに彼はいた。
「あれが噂の...お初にお目にかかる。」
「リサ殿、これはどういうでござる?」
「ごめんビャクちゃん。どうしても客人があんたに話があるんでね。」
「お主ら、それがしに何のようでござる?」
「ヒメが君に会いたいとおっしゃってるので。」
「エミリア...すまぬが今のそれがしには、合わせる顔がないでござる。」
幸せにできないと離婚してしまったことを気にしているだろう。
「どうしてもいやなのか?一度離婚したくらいで、合わせる顔がなくてどうする。」
「とんだ臆病者だな。」
「まことにすまぬでござる。」
これではヒメとの再会は難しいようだ。なんとかしてそうするようにとレベッカは原作者に電話した。「兄貴、そういうときはどうするの?」
その回答はいたってシンプルなものであった。
「仲間に加わってほしい。」
そう、当たり前のことであった。
「話を変えよう。君、私たちの仲間になってくれない?」
いきなりのフレンド申請に困惑する白之助であった。
「仲間になってどうするでござる?」
「これも兄貴の願いだよ。騙されたと思って、私たちのもとに来てよ。」
「......。」
「断る理由はないはず。」
「承知したでござる。」
「そうと決まれば、兄貴のハウスへゴーだ。」
「ただし、それがしの話を聞いてくれたら考えてやるでござる。」
「またこのパターン。この前ヒメに君の事を話してくれたけど......ま、改めて聞くとしよう。」
前回では彼に所々触れていたが、今回は改めて話を聞くことにした。
白之助はイタリア・ヴェネツィア生まれの日本人であり、彼の両親はどちらも日本人で、新婚旅行の際にできていた。諸般の都合で日本に帰ることができなくなった一族は、そのままヴェネツィアに滞在した。4歳の頃より、家族とともにポーランドへの長旅に出ることとなった。列車に乗り換えながら。
「ここから君の話はヒメと同じじゃん、それで娘を連れて日本に発った。君はここで何をしていたのかな?」
「本題はここからでござる。」
日本へ到着した白之助とその娘は、忍者村に足を踏み入れた。その後、忍者マスター「菊子」の弟子として修行に励んでいた。白之助の傍に小波家の娘「小波小鳥」、侍「石川土左衛門」、「半場半蔵」、その3人が伊賀流をともに学んでいた。それと破門されていた忍が少なからずいたそうだ。
「それだけ?」
「ただそれだけでござる。」
「忍者としての腕はどうよ?」
「じきに一人前寸前でござる。」
「最終試験みたいな?」
「そういうものでござる。」
彼はこれから最終試験を行うので、菊子のもとへ移動した。
「なるほど、師匠の前にか。」
菊子は試験内容を説明した。
「私の前に己の力を示せ。」
白之助はただただ、菊子の前に忍パフォーマンスを見せた。一年間修行してきただけあって、相当な技量であった。
「それだけ?」
これっぽちの物足りなさに目を疑うレベッカ。
「アンジー楓、ヒメを連れてきてよ。」
「合点承知。」
アンジー楓は密かにヒメのいる場所まで飛んでいった。彼の物足りなさにがっかりさせられている菊子の反応とはいかに?
「白之助、そなたは迷ってらっしゃる。このままでは卒業できんのよ。」
「何をいっているのでござる。それがしは迷ってなんか...。」
「エミリアの事だろう?」
「...関係ないでござる。」
「過去に縛られている限り、一人前になれんぞ。」
この状況では試験に合格できない、レベッカの注文でアンジー楓は連れてきたヒメを彼の前に提供した。
「連れてきたよ。」
「エ、エミリア!?」
「ビャク、会いたかったわ。」
動揺する彼を目にした菊子はあきれるばかり。
「そなたはまだ未熟者だ。」
「ねぇ忍者マスターさんよ、その未熟者を俺たちが預かるというのはどうだ?」
「修行だと思っていかせてあげたら?」
この提案に対して菊子は答えた。
「...エミリアの事であろうだし、いいだろう。白之助、そなたはそなたの進む道へ歩め。」
「師匠...かたじけないでごさる。」
白之助がレベッカ達の仲間になった。元々仲間であるアンジー楓とモグ、いつの間にか仲間になったリサななに続く7人目であった。こうして新たな仲間を迎え入れたことでレベッカの周囲が賑やかになった。少しだけ浮いて有名になってきた、これだけでは物足りないと感じる原作者。引き続き、残り半分の仲間を集めるよう努めるのであった。
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