八首目 わが庵は

 おはヨークシャテリア。八首目です。


・詠み人:喜撰法師


・わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢやまと人はいふなり


・訳:私の草庵は、京都の東南、鹿の鳴く山里で、この通り心静かに暮らしている。それなのに俗世の人は私が厭世的になって、憂いて宇治山に隠れ住んでいると言う、おかしなものだ。


・訳の説明:いきなり出てきた「東南」は「たつみ」のことです。十二支の「辰」と「巳」で表す方位。

「しかぞすむ」がなぜ「鹿ぞ住む」ではないのかと言うと。「然り」の意味もあるからだそうです。むしろ、「然り」の意味の方が強い。「然り」は→「このように」とか「この通り」の意。

「うぢやま」もなぜ「宇治山」じゃないかと言うと、「うぢ」が「憂し」にかかっているからだそうです。


 そんなん、分かる訳ないだろ。


「人は」の「は」の部分で、俺そう思ってないけどね。と言う、喜撰くんの気持ちを汲んであげないといけません。

つまり、この歌は、––––引き籠ってるけど、変ですか? ––––と言う、開き直りの歌のような気がします。


 おかしいのは俗世も厭世もお互い様です。厭世ってどこでしょう?


 この歌を詠んでしまうこと自体が、心静かに、……とは言えていないような気がします。



・わが身をば よをうぢやまに隠れすみ 互いにふみし きぎの葉の音


・訳:世を憂いて、山(宇治山)に隠れ住みました。なので、お互い文(不見にもかかる)で、近況を聞いたりたり、言葉を交わすのは最低限にしましょう。心静かにくらしたいので。


 私なら、そんな風に詠みますね。でも、「心静かにくらしたい」が入ってないですね。


・わが身をば よをうぢやまに隠れすみ 互いにふみし さやけき葉の音


 あ、いいんじゃないですか? これも新聞に送ってみて下さい。

 

 まぁ、適当なんで、「をば」はおかしいとか言われそうですけど。もしかしたら、「ふみにし」にしないと、否定の意味が入って来ないかもしれません。

 でも、それでもいいです。

 

 お互い、清かな葉の音に耳を傾けられる、そんな日々を過ごせば、心静かに暮らせますよ。でも貴方のことを無視している訳ではありません。貴方が葉を踏んでいる、その音で貴方を感じています。


 そう言う感じのつもりで詠んでみました。

  

 ドヤァ。



 はい。えぇ、喜撰くん なんですが、6歌仙の一人だそうです。ややこしい。

 36歌仙ではありません。6歌仙です。

 謎な人です。

 宇治山に住んでいた。からか、どうかは分かりませんが、……えぇと、ちょっと面倒くさいこと言いますよ?

 

 百人一首は、前にも書いた通り、藤原定家が撰者です。

 藤原定家は、「万葉集」などから歌を採りましたが、その中の一集に「古今和歌集」があります。

 で、「古今和歌集」の編纂に携わったのが、紀貫之です。


・わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢやまと人はいふなり


 この歌は「古今和歌集」の中に入っていましたが、撰者である紀貫之も、喜撰法師のことは良く分からない人だ。そんな風に評したとか、していないとか。

 

 6歌仙を選んだのは、紀貫之であると言うのが、相場のようです。

 でも、6歌仙の中に紀貫之は自分も入れちゃってます。

 

 そして、喜撰法師のことは、喜撰法師と書かずに「宇治山の僧」と書いて、なんだか、個人としての存在を認めないような書き方をしているそうです。


 喜撰くんは、仙人だったんじゃなかって、そんな言い伝えも残っています。


 じゃぁ、需要はないだろうけど、やりますね。


「そこ、宇治山じゃなくて、蓬莱山じゃない? ちがう?」


 蓬莱山であれば、「ヤレヤレ、俗世がうるさくて、しょうがないな」そんなスタンスで詠んだのも、納得がいきます。


 あ、最後に「喜撰」はお茶の名前になったそうです。「宇治茶」ってあるもんね。

 高級茶らしいですよ。ペリーが(黒船の)飲んだとか、飲まないとか。

 

 逆か。


 ペリーに飲まされて、眠れなくなったとか、そんな感じ。


 寝る前のお茶はダメです。

 でわ、おやすみなさい。




*「学研:実用特選シリーズ 見ながら読む歌の宝典 百人一首」


を参考にしています。


人物については、ネットのサイト等での独自の調査になります。

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