七首目 あまの原

 おはヨーグルト。七首目です。


・詠み人:安倍仲麿


・あまの原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも


・訳:澄み渡る空を天空はるかに仰げば、のぼりきった円月は、私の思い出を誘い出す。あの月。ふるさと奈良の春日の三笠山の空にのぼっていた月だ。いまもそこにのぼっているかも知れない。


 1200年以上経った今も、のぼっているんで安心して下さい。


 望郷の歌だそうです。知りませんでした。

 教科書に載っていた気がしますが、そんな風に習った覚えがありません。

 

 あまの原は、大空のことだそうです。『地名』だと思っていました。

『ふりさけ見れば』 は、遠くを眺めればと言う意味だそうです。『振り向けば』と言う意味だと思っていました。

 

 つまり私は、あまの原と言う場所で、仲麿さんが何をしていたのか知りませんが、雲の多い夜に、まぁ、歩いていたと。……すると、突然、雲が割れて(裂けて)、月明かりが背後から差して来たので、振り向いて見ると、三笠の山に月がのぼっていたよ。

 

 と、そんな歌だと思っていたら、そもそも、コレ、仲麿さんは日本にいないんですって。

 仲麿さんが見ているのは、唐のお空にのぼっているお月さまなんですって。

 

 えぇ、ビックリじゃありませんか。

 地名だと勘違いしていた、あまの原 からイメージされる景色でさえも、かなり広い景色を思い浮かべるのに、唐のお空を通して、三笠の山に出ている月を見ているんですって。

 

 一気にワールドワイドな歌になりましたね。一気に景色が広がりましたね。

 

 仲麿さんの周囲がどんな景色だったのか分かりませんが、板敷の床から開け放した扉の先、月に照らされる欄干を跨いで野原を走り、唐の国の林を、山を飛び越え、星々が瞬く夜の海を渡り、視線は三笠の山に辿り着くのですよ。

 どんだけ視力が良いんだ。って話です。


 安倍仲麿さん、晴明さんと なんか関わりがあるのかな?と思って調べて見ると。どうやら祖先なんじゃないかって……そんな噂です。

 仲麿さん(仲麻呂とも書く)は、だいたい西暦700 - 770年頃に生きた人だそうで、一説では齢19くらいで、唐へ留学したそうです。吉備真備さんと一緒に。

 頭の良かった仲麿さんは、唐で玄宗皇帝に仕えてボチボチな地位まで出世します。


 玄宗皇帝がピンとこない? 楊貴妃の旦那さんだそうですよ。

 うらやましいですね、楊貴妃に会えていたかも知れないなんて。


 で、仲麿さんは結局、日本に帰って来れません(ら抜き?)。唐の国で亡くなってしまうそうですが、たぶん不自由はなかったと思います。先に出世したと書きましたが、どれくら出世したのかと言うと、現地の人に妬まれて、酒に酔わされて幽閉された。

 なんて与太話が残るくらい唐で活躍したそうです。だから、良い暮らしをしていたと推測されます。


『吉備大臣入唐絵巻』なる物がこの世には存在するらしいのですが、そこには、絵巻の主人公である吉備真備の横に、貴族の衣装を着た赤鬼が描きこまれているそうです。

 この赤鬼がお酒を飲まされて殺された、(そんな事実は無いそうですが……)安倍仲麿が生まれ変わってなった鬼の姿だと……そんな風に言われているとかいないとか。


 とにかく天才だったそうです。でもなぜか、『仲麿・36歌仙』では、検索に引っかかりませんでした。36歌仙では無いのかも知れません。

 あ、ちなみに、かなりイケメンだったと思われます。


 んでわ行きますか。


「千年の時を超えて 同じ月を見る」


 今、見ている お月さんも、仲麿さんが望郷した月と一緒だよと……

 ならば、仲麿。お前を、思い馳せ返してやる。

 そんな想いを込めた、今日の一言です。


 真面目な話し、1200年前の月は、どんな風に見えていたんですかね?


じゃあ、おやすみなさい。





*「学研:実用特選シリーズ 見ながら読む歌の宝典 百人一首」


を参考にしています。


人物については、ネットのサイト等での独自の調査になります。

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