第9話




***チェギョンSIDE




 チェギョンは自分の家の部屋で考え事をしていた。シスの様子を見たいがために、直々に提案にしてしまった。僕は人が嫌いなのに……はぁ。欲がでてしまったか。

 ベットに腰かけ、窓の脇にある小さなテーブルに目を向ける。その上には一輪の薔薇が刺さっている花瓶がある。薔薇からは危険な雰囲気が漂っていて、赤黒いオーラが見えている。


「そうだ……兄を探さなくては……」


近頃、シスに気を取られていたせいか、兄のことを忘れていた。


°˖✧˖ °


すると枯れていた薔薇の花びらが、少しだけ赤く色付いた。

 !? 兄上……お前……近くに居るのか!?


°˖✧˖°°˖✧˖°


チェギョンの瞳は、強い意志を持ったライオンのように鋭い目つきであった。







***シスSIDE



 初勤務日から約一週間が経った。私の毎日は、ほぼデザインという仕事で埋め尽くされている。今日なんて、土日なのに家事を全くせず、頭のなかはデザインのことばかりだ。


「んん~~~~!!」


ソファに勢いよくダイブし、全身をバタバタさせる。

 デザインが浮かばん! 夏のデザインって何!? 何!?


「がぁぁぁぁ!!」






「おはようございます!」とジェンに挨拶をしてデスクに座る。


『あ、おはよう! ^^』


「ジェンさん、デザイン出来上がりました?」


『ん? 出来たよ! だから今日、社長に提案してくるんだ!』と、ルンルンに話すジェンさん。


「えっ! 本当ですか!? ってことは、ジェンさんが一番乗りですね!」


 デザインが出来ても、あの噂のせいでわざと社長に会いに行かない人がいたり。みんな、社長になんて会いたくないんだよね、きっと、怖くて。


『うん! どういう人だか、ちゃんと目に焼き付けて来ないと!^^』

 椅子をクルクルと回しながら言った。


「じゃあ、どういう人だったか、教えてくださいね!」


『👌』




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