第7話



~~~



 社長室に戻り、席に座ってもう一度、ビン・シスの履歴書を見る。大学名はあまり有名じゃないな。学歴は他の奴の方が良かったが、まぁ、何とかなるだろう。


履歴書に貼ってある写真を見つめ、頬を緩ます。また会えるなんて思わなかった……。いや、まだ本人か分からないのに、なに期待してんだよ僕は。ただ似ているだけかもしれないんだぞ。それに僕は人間じゃないんだ、死神なんだ。そして僕には問題があるんだ……。前のように恋をしてはいけない。








***シスSIDE



シスは、面接終わりに近くのカフェによって、コーヒーを飲みなら自己反省をしていた。


「はぁ」 


心の中で……緊張しすぎ! 最初声小さすぎ! なぜか分かんないけど手汗かき過ぎ! シスの体は緊張がまだ残っていて、小刻みに震えている。大丈夫! ビン・シス! きっと、きっとうまくいっているはず!


「心配しない……」「大丈夫……!」



「いや、やっぱダメかもしれない……!」

そしてテーブルにぐだーっと倒れ込んだ。





数日後、シスの元に一枚の便箋が届いた。


「合格ぅ!?」  

 部屋の中に響き渡るシスの声。


「わぁぁぁぁぁぁ! やったー!!!」

 シスは、ベッドに飛び込み、足をバタバタさせ喜んだ。







 初の出勤日。会社の中に入った瞬間の解放感。


絶対ここいい会社に決まってる! だって、先輩たちが生き生きしてるもん! シスの中の期待の風船が大きく膨らんだ。

 

 シスが働く場所は、[デザイン部]昔から絵は得意であったので、デザイン試験は自信があった。もしかして、デザインの能力があったとか? なんてね。案内地図を見ながら、デザイン部を探す。


「12階か」


12階の廊下を歩いていたら、デザイン部のお洒落な看板を見つけた。ここがデザイン部か……。


「ふぅ~」 

 呼吸を整え、ドアノブに手を添え、勢いよく扉を押す。

 

はようございます!!」 

 あ、ヤバ、間違った……!


おはようーと、部屋にいた先輩方がシスを見て言う。


「おはようございますぅ……」

 どうしたらいいか分からず、シスはその場に立ち尽くす。


「おはよう。あなた、新人さんよね?」 

 美しい女性だった。彼女の髪は濃い茶髪で、真珠のように輝いた肌、磨いたように光っている瞳がとても印象的だ。


「あ、はい」


「よろしく、私は部長の、ユ・ハニよ」 


歳は30後半ぐらいかな? いや、それより若い?


「よろしくお願いします」

 ロングヘアーがとても似合っている。


「はいはい! みんな注目して! こちら、新人さんのビン・シスちゃんよ」


「ビン・シスです。宜しくお願いします」

 すると一斉にシスに拍手が送られる。


「じゃあ、シスちゃんは、あそこのデスクよ。仕事、ジャンジャンバリバリ頑張ってね」


「はい!」

 ジャンジャンバリバリ、か……。シスは指示されたデスクへ行き、椅子に座る。すると「よろしく~」と、隣のデスクの男性が話しかけてきた。歳は、25? 私の一個上ぐらいかな。


「お願いします」


「僕、ジェングって言うんだけど、ジェンって呼ばれてるからね!」


明るいな^^ 陽気が一番いい。


「ビン・シスです」


「うん、知ってる^^  あ、さっき、はようございますって言ってたでしょ?」


「そ、それは! ……秘密にしてください!」

 すると、ジェンさんはピースをしながら笑った。



 この部には14人部員がいて、それぞれ協力しながら作業を行っていた。デザイン部は他の部からしたら、楽な方かもしれない。デザインすればいいだけだからね。今の課題は一か月後の会議までに、夏に似合うファッションのデザインを考えてくればいい。それだけ。







***チェギョンSIDE





今日、シス来ているかな……。そんな期待に浸りながら、社長室に入る。


「いや、来てるのが普通か。来てなかったら普通クビだ。はは、あ~今日は気分が良い」 

 深く椅子に座るチェギョン。


「あ、そうだ!」


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