顔面蒼白、ロイヤルミルクティーに手をかざす

「  焼いたマシュマロをビスケットで挟んで食べるやつ あれいつかやってみたいんですよねぇ ふわぁ~ ふわふわぁ~  」

「見てよあれ……なんて無垢むくな笑い顔なのかしら」

「たぶんあの人『ライフライン』の意味わかってないわよね」

「ええ。それにあの人のごみ袋パンパンじゃない。『物には限度がある』というのが道徳のすべてなのに」

「舞台はタワーマンションの高層階」

「ええそうね。おそらく長い廊下ですれ違うのよ」

「ケモノのように?」

「ええ。われわれはみなモンスター。突如とつじょさくの下をのぞきこむ。あらやだ。中庭が滝つぼのように『せかせか』している」

「私たちには大きい脳みそがあるので、まっさかさまに落ちてゆくのが自然でしょうねぇ」

「腰が重くても?」

「それって頭の声なのよ?」

「え、そうなの? それなら命綱は頭につけなくちゃいけないわね。『ヤッホー!』」

「やっほー」

「他意なく、『こんにちは』とあいさつをしてみました」

「こちらこそ。まったくありがたい話よねぇ。というのは嘘で、たんに金平糖をクラッシュしただけよ」

「心の論理」

「おひなさまするどいわねぇ」

「おほほ、パソコンに電卓は簡単すぎるでしょう?」

「うふふ、雛壇ひなだん

「油断ならないアルマジロ」

「ダンゴムシかわいそう」

「カマイタチどちらの意味で言ってます?」

「てのひらは五本指。水掛け論を押し問答するほどのことなの?」

五臓六腑ごぞうろっぷに染み渡らない」

「なら……南国に融雪剤をばらまきます?」

「まったく、空中庭園は空中分解すればいいのよ」

「『澄み渡る空』なんて言い出したのはどこのどなた? 今すぐ手をあげてバックフリップしなさい」

「好きじゃないジャンルの歌のサビはうるさいだけね」

「し・ら・ふ・な・ら、駆け足で白藤をとってきて」

「『忍び足』という名の五音節」

自戒じかいして使っているはずの本棚がたわんでいる」

「それ、生きたそらがしないわね」

「そら見たことか(まずは神さまの言うとおり)」

「太陽系の男の子(阿弥陀籤あみだくじはこんがらがった直線なのよ)」

「前提からして趣味があわないのよ」

「私たち、何パーセントくらい『皆の衆』なのかな」

「『烏合うごうの衆』と思っているのは体制側だけだ」

「へぇー」

「豚は電気ショックで殺される」

「どえっ! ……それってほんとう?」

「ええ、心の論理」

「ジャスミンティーこんなに美味しいのに!?」

「あいづちを五回」

「ほかの人たちは?」

「鶏は首を切られて殺される」

「愚問、愚問」

「あのこたち、咳がとまらないの」

「希望を希望する」

「牛は自白を強要され続けた末、怒りのために自ら光となる」

いな。網戸を外して掃除する」

「爪切りに爪を喰わせ続けるのは普通のことでしょう?」

「ならシュンギク。シュンギクはどうなの?」

門外漢もんがいかん。天ぷらとかでいいんじゃないかな」

分水嶺ぶんすいれい。私たちの『サ行変格活用』はただのニュアンスに堕落だらくしてしまうの?」

「なお分水嶺。フリージアの花にお醤油をぬる愉快犯を思い浮かべてごらんなさいよ」

笑止しょうし。『痛いの痛いの飛んでゆけ』とはまさにこのこと。すべてのアスパラガスは切り刻まれて殺される」

「てのこうは五本指。議論の余地。ひろびろしている。前提としてミントブルーは味ではない」

「よしんばハムスターのグルグル、あるいはコロコロ、カラカラでもいいのだが」

「『いわゆるあらゆるものは答えようのないことを問われ続ける』とのこと」

「よしわかった。明日あすから共食いすれすれで運用していく。あ、阿僧祇あそうぎ、自白剤にお砂糖とガムシロップは入れますか?」

「あれはごみの日……ハムスターボールを誤認しまして、妹に殺されるかと思いましたが――今となってはいい思い出です」

「おや? パラパラと空が降ってきました」

「おもむろに万華鏡まんげきょうを取り出す(いちどきりの世界と言われても正直困る)。なんだ……ただのイナズマじゃないですか」

「肩に手を置く。さすがにフィットネスしすぎじゃないですか?」

「うっふん。わかる? Tシャツの説明書が見つからなくてね」

「この時間泥棒めが。じゃあ私、五分後に『こんにちは』って絶叫するからね?」

「ええ。バックステップ。急がば回れを示唆しさします。ラブ&ピースは文法です」

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てくてく詩集 倉井さとり @sasugari

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