第4話 龍が如く

「・・・ぐっ!・・・ぐはっ!!」

「ゲ~ロゲロゲロ・・・!!早く吐いた方が身の為ゲロ?」

伝説の彫り師の情報を聞き出す為にジャクシが男2人をいたぶり続けていた


「―――止めろ!ガマガエル!!」

「・・・お前、生きてたゲコ?・・・もう勝負は、ついたゲロ!」

チェンの登場にジャクシが呆れ返る


「・・・勝負?遠くへ飛ばせば勝ちっていう勝敗では、ないだろう!!」

「ゲ~ロゲロゲロ~!!そんな見え見えの口車に乗るほど、俺様は、バカじゃないゲロ!時間を稼いで何を企んでいるゲコ?」


・・・ちっ!

その手には、乗ってこないか・・・!!


・・・早くしろ!

これ以上は、待てないぞ!!


「喋らないなら・・・―――そこでコソコソしてる奴に聞くまでゲロ!!」

「―――キャァァァーー!!」

厨房に向かって長い舌を伸ばし、簡辛ガンシンの足に舌を巻き付け、引きずり出す


「お前、そこで何してたゲロ?正直に話すゲコ!!」

「ワタシは、この店の金庫の鍵と借金の借用書の紙を探してただけアル!!」

「・・・・・・本当に何してるゲロ!?」

想像の斜め上をいく、返しにジャクシが心の底から驚いた表情を見せる


「俺様をコケにする奴は、例え女だろうが容赦しないゲコーー!!」

「―――キャァ!!」

簡辛ガンシンの顔、目掛けて殴り掛かる


『―――何してやがんだ!テメーー!!』


「「「―――っ!!!」」」

店の外まで響き渡る程の怒号を飛ばす


「・・・そんなデカイ声出して何ゲロ?お前、俺様の相手になるとでも思ってるゲコ!?」

「―――!!」

「ずいぶん利口な男ゲコ!!」

自信満々に答えたチェンをジャクシが鼻で笑う


女にも平気で手を上げるような男に情けは、いらないな!

形振りかまわず、いかせて貰うぜ!!


『蛙ごときが我と接戦になる訳がなかろう!・・・一撃だ!一撃で貴様を仕止めてやる!!』


「ゲ~ロゲロゲロ~!!大きく出たゲロな!なら、見せてみろ!!悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ俺様の前でな!!」

簡辛ガンシンから舌を離して、ジャクシが戦闘体勢へ入る


「・・・・・・今ネ!!」


―――狙い通り!!

作戦成功ヨ!!


―――店内へ突入する数分前―――


「オイ、良いか!何がなんでも人命が最優先だが全員を助けるのは、容易では、ない!!」

「・・・どうするネ?」

「一度、お前に敵の意識を集中させる!その後、俺が奴を怒らせて他に意識がいかないようにする!!」

木の枝で地面に作戦内容を図式で書いて簡辛ガンシンへ説明する


「・・・なるほど!チェン、、良いんだネ!!」

チェンの作戦を聞いた簡辛ガンシンが感心する


「―――オイ!って何だ!って!!他にも良いところいっぱいあるから・・・!!」


・・・予想通り上手くいったネ!

後は、アイツを倒すだけヨ!!


「・・・もう一度、店の外まで吹っ飛ばしてやるゲロ!!」

再び助走なしの一足跳びでチェンの目の前まで移動して殴り付ける


「・・・ゲ、ゲコ!?」

思いっきりチェンの腹を殴ったのにチェンは、顔色1つ変えずにその場からも一歩も動いていない


『・・・それが全力か?』

「―――舐めるな!!」

蛙の特性を活かして店の壁や天井へ跳び上がり、四方八方、高速で跳び回る


「・・・なっ!・・・これじゃ・・・ドコから襲って来るか予想が付かないネ!?」

店内の人を避難させた簡辛ガンシンが驚きの声を上げる


「ゲ~ロゲロゲロ~!!人間がこの動きに着いて来れると思うなゲコ!!」

『・・・ご託は、いい!さっさと来い!!』

この状況でもチェンは、構えを取るどころかその場から微動だにせずに佇んでいる


「―――死ねゲローー!!」

チェンの後頭部へ殴り付ける


「・・・ゲ、ゲロ!?」

またもや攻撃を受けても微動だにしない

「―――連続で行くゲロ!!」

再び高速で四方八方に跳び回り、何度もチェンを殴り付ける


「・・・い、一体どういうことアルか?」


・・・なんで!

チェンは、あんなに攻撃を受けても平気アルか!?


―――悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ男の拳ヨ!!


ワタシの掌底を受けたのとは、比べ物にならない筈なのに・・・


・・・どうして?


「どういう肉体からだしてるゲロ?恐ろしい程の打たれ強さなのか!?」

チェンのあまりの頑丈さにジャクシが疑問に思い始める


「俺様は、悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ!強者!!言わば食物連鎖の頂点といっても過言じゃないゲロ!・・・食らえ!―――みだじた!!」

舌を長く伸ばし、舌を上下左右、鞭のように動かし、チェンへ叩き付ける


「・・・な、なんて威力ネ!?壁や床が削れていくヨ!これが人間のする技アルか・・・!!」


これは、流石のチェンも一溜まりもないんじゃ?


『・・・貴様、面白いな!食物連鎖の頂点が蛙だと本気で思っているのか?』

舌による衝撃で衣服が破れていき、上半身の肌が露になっていく


『・・・そんな貴様に教えてやろう!』


「『―――食物連鎖の頂点を!!』」


「「・・・な、なな、何じゃ、コイツはーー!!」」

チェンの異形な姿に驚きの声を上げる


「・・・ば、化け物ゲロか?」

チェンの身体には、龍の入れ墨が彫られていて、その入れ墨の龍が瞬きしたり、喋ったり、チェンの皮膚の上を動いている


『化け物じゃない!我は、龍だ!!頭が高いぞ!!』

「これは、忠告だ!手加減は、するから死ぬ気で生き延びろよ!!」


「・・・・・・!!」

チェンの身体に彫られた入れ墨の龍が意志を持って普通に会話する光景に唖然とする


・・・ど、どういうことネ?

こんな人間・・・


―――いや!

こんな悪魔デビルズ刺青モンモンを持った人間、見たことも聞いたこともないヨ!!


彫られた入れ墨が独りでに動き、意志を持ってるなんて・・・


チェンという男は、本当に人間アルか!?


「・・・な、何ゲロ?その奇妙な身体は!?」


『滅び逝く命に話す意味は、ないだろ?』

「―――ちょっ!・・・ま、待って!!まさかをやる気・・・―――スゥゥゥーーー!!」

チェンが大きく息を吸い込んでいき、どんどんどんどんお腹が膨れ上がっていく


『―――熱息ホロブレス!!』


「―――ゲコォォォーーー!!」

チェンが吐き出した息が熱風となってジャクシを店の外まで吹き飛ばす


「・・・オイ!ロン!!だから加減しろって言っただろ!!」

チェンが自分の入れ墨に向かって怒り出す


『本気を出せば、天変地異を巻き起こすぞ!!』

「・・・あっ!これでも加減は、してくれてたのね!!」


「・・・・・・ポカーン!!」

驚きのあまり簡辛ガンシンの口が塞がらない


・・・な、何ネ?

何をしたアルか!?


ただ強く!勢い良く息を吐き出しただけなのに・・・


―――この店の壁どころか6軒続く店の壁ごとジャクシを吹き飛ばしたアル!?


これが人間のした技?


これは、もう天災ネ!!


・・・お、恐ろしい!

恐ろし過ぎるヨ!!


―――けど!

それ以上にこのチェンという男に興味が湧いたネ!!


一体、彼は、何者アル!?

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