61~70 探偵といえば?

061. 憧れのキャラクターを教えてください。

▼架空の人物に憧れたことはありません。


062. 印象的な女性キャラクターを教えてください。

▼大沢在昌さんの天使の牙シリーズ「はつみ(明日香)」ですね。いわゆる心と体が入れ替わるという、いまでは定番設定の刑事ものですが、かっこいいハードボイルド作品でかなり印象に残ってます。


063. 印象的な男性キャラクターを教えてください。

▼伊坂幸太郎さん『グラスホッパー』に登場した「槿あさがお」です。車通りの多い交差点などでターゲットの背中を押して車に轢かせる「押し屋」という設定のキャラクターですが、驚くのがこのキャラクターが妻子持ちという点です。もともと『グラスホッパー』自体、暗殺者が物語を動かしているので荒唐無稽な能力を持った登場人物が多いのですが、槿は背中を押すだけの暗殺者でしかも妻子持ちという庶民感もあり妙に親近感が湧くので好きです。


064. 先生といえば?

▼学者や研究者という意味ではないほうの「先生」はパッと思い浮かびませんでした。すみません。


065. 探偵といえば?

▼『パルプ』(チャールズ・ブコウスキー著/柴田元幸訳)の「ニック」です。その粗野な性格から編み出される捜査手法は粗雑でおおよそ探偵という肩書きから想像されるようなスマートさやハードボイルドさは感じられませんが、だからこその魅力があります。口調は荒々しく原文ではFワードが頻繁に飛び出しているであろうと思われるセリフも多く、いわゆるホームズやポワロのように鋭い推理とほとばしる弁舌によって颯爽と事件を解決する探偵を想像すると悪い意味で裏切られます。とはいえ古今東西の探偵が真っ当な常識人ぞろいとはゆめゆめ思っていませんし、『パルプ』自体の設定が一般的な探偵小説のセオリーを凌駕しているので、さもありなんといったところではありますが。


066. ベストカップル、ベストコンビといえば?

▼恋愛小説や青春小説はあまり読みません。すみません。


067. 本に登場する場所で、行ってみたいと思うのは?

▼トマス・モアの想像した『ユートピア』の世界です。中世はまだ「ディストピア」という逆説的な概念が存在しないと思うので、彼の思い描いた「ユートピア」はおそらく本当の意味で調和のとれた美しい世界なんだろうと思います。あとは同様にユートピアのような島が舞台の『黄金時代』(ミハル・アイヴァス著/阿部賢一訳)があります。島に時計はなく、水の流れで時間を把握するスローライフなシステムや島民が自由に物語を書き加えることができる本があるなど独特の風習があり、幻想的で行ってみたい場所です。また途中まで読んで積ん読していますが、『夢幻諸島から』(クリストファー・プリースト著/古沢嘉通訳)なども、独特の気候や生態系を有した架空の島のガイドブックのような体裁の作品で、ちょっと行ってみたいと思ったことがあります。


068. 子供の出てくる作品といえば?

▼子どもが主人公の作品、じつは種類的にはあまり読んだことがありません。絵本でも自分が所有しているものは動物が主人公で、その語り手として子どもが出てくるものはありますが、おそらくそういう意図の質問ではないなと感じます。


069. 動物の出てくる作品といえば?

▼動物が主人公or動物が多数登場する作品はたくさん読んできましたが、自分のなかでは『ドクター・ラット』(ウィリアム・コッツウィンクル著/内田昌之訳)が良くも悪くも最も印象的です。ある日世界中の動物たちが人間に反旗を翻すため暴走するなか、たった1匹の実験ラットだけが人間の味方をして行動するという物語なのですが、この実験ラット、気が狂っているんですね。作品のテーマとしては書かれた当時非常に問題視されていた動物実験とその批判なのですが、人間の味方をするのが気の狂ったネズミというのがいかにも皮肉的で面白いです。初版が1970年代とかなり古い作品で文章自体も言い回しが独特であったりと若干読みづらい部分もありますが、拙作『科学博士のスキゾフレニア』の「ドクター」の元ネタになっていたりと心証としてはかなり好きな作品です。


070. これまで出会った中で、もっとも感情移入できたキャラクターは?

▼感情移入というには若干語弊がありますが、あやうく全ての感情を持っていかれそうになったキャラクターに伊藤計劃さん『ハーモニー』の霧慧トァンがいます。結末があんな感じですし当時の精神状態があまりよくなかったこともあるので気のせいかもしれません。

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