第19話 本気出さないで負けるのは格好悪い

「そりゃこっちの台詞だ、まさか、こんなところで、ゴッドハザードの奴に遭遇するとはな。」


目の前に現れた女性は、自分が咥えていた2つに重なった木の板のようなものを口から外し、白い羽をその中に入れながらそう言った。


「あ、あの」


氷柱が何か言おうとすると、紅 紫杏は「ああ、これ?これは、リードって言うんだ。


オーボエって楽器につかうものなんだけどさ。」と言って、リードを黒いケースの中にしまった。だが、氷柱の疑問はそこではなかった。


「なぜ、あなたがここに」


総副隊長である彼女今は、軍事国家の消滅事件、ゴッドハザードの捜索に関わっているはずだったからだ。


「ん? 可愛い部下がピンチな時に駆けつけるのはごく当たり前のことじゃない?」そう言って紫杏は氷柱の頭をなでた。その感触があまりにも心地よくて氷柱は羞恥と快楽が混ざった感情に襲われた。


『私が呼んだんだ』この声は、交差!!


『いやぁ、君がワームハザードと交戦すると聞いてから、ピンチになりそうな感じだった応援として紫杏総副隊長を呼ぼうと思っていたんだよ』


「さーてと、大人しく捕まってくれって言っても聞かないよな」


紫杏は、ワームハザードに向かってそう言う。


するといきなりブワッ!!!!辺り一面の虫が、襲い始めた。


「返答はなしね、氷柱、ちょっと借りるぞ」そう言うと、紫杏は氷柱を抱きかかえた。


その瞬間、ドッ!!!!!! 辺り一面が爆発した。


「なるほど、さきほど登場した際に、まわりに、スモークをまき散らしていたというわけか」


 表情を1ミリも変えずに能面のような恰好でワームハザードは言う。


「まあ、そうだな。ところで、この攻撃は、さっきの質問の答えでいいかな?」


紫杏は、氷柱を抱きかかえながらそう言った。するとワームハザードは、口をニヤリとして、「まあ、お前の存在は、全世界にしられている。だから、お前の能力に虫どもが対策なしで突っ込んできたとでも?」そう言った途端、さっきの虫たちが数はさっきより少なくなったが、紫杏めがけて襲ってきた。


すると、紫杏は右手の人差し指を立てて、笑みを浮かべた。


「なんのつもりだ? 降参すると言うことか? 冗談じゃない。お前に待っているのは、死の運命それだけだ」


すると、紫杏は、そのままニヤリをしながら「おい、だれが降参したんだよ誰が、まあ、私が何をしているのか見てれば分かる」と言い、「離れるなよ」と言い氷柱を胸の中に抱きかかえた。


その時、氷柱は、みた、紫杏の右手に、竜巻のような、風の回転があることを、そして、次の瞬間、虫たちがさっきよりも勢いよく、襲ってきた。


しかし、よくみると、紫杏の右腕に集まってきていることに気付いた。正に飛んで火にいる夏の虫であった。




「フッ虫たちを集めたからと何だ? 言っていただろう? お前の対策は十分にしてあ・・・」


言葉が終わらない内に、ドドドドドドドドドドドドド!! と右手に爆発が起こった。その爆発音はさっきより大きかったが、範囲は全て紫杏の人差し指に収められていた。


右手にいた虫たちは、一瞬にして、焼き消された。紫杏は、ポンッポンと、膝を煙を払うように叩く。そして、ごちそうさまでしたと言うようにケロリとした表情で、手を広げて


「んで、対策がなんだって?」と、ワームハザードを挑発した。


これが、特殊警察課総副隊長の実力、たった人差し指一本だけで、その場にいる5兆匹ぶんの蟲を全員右手に掌握することができる、さらに、煙の能力を操ることにより、威力の高い爆発をおこすことも可能。


「なるほど、やはり、この程度の炎の耐性では、ダメか。本当は、その氷の能力を操るあの女を殺しておきたかったのだが、残念だな。ひとまずここは、退散しよう」


挑発には乗らず、冷静にそう言うと、ワームハザードは、自身の体を大量の虫に姿を変えた。


そして、あっと言う間に突風が過ぎたようにこの場から姿を消した。

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